ハミルトン、フェラーリでの初モンツァに臨む「戦う理由が増えた」とペナルティから巻き返しを誓う/F1第16戦木曜会見
今週末のモンツァは、ルイス・ハミルトンにとってフェラーリ移籍後初めてのF1イタリアGPとなる。同グランプリでのハミルトンは、ミハエル・シューマッハーと並んで最多となる5勝を挙げてきた。しかし今季は新たな環境への適応に苦しみ、期待された結果を出せていない。そのうえ前戦オランダGPでの黄旗無視で、5グリッド降格ペナルティを科されている。
Q:オランダでのペナルティがここまで持ち越されたことに、不満はありますか? そのハンディキャップがあっても、表彰台は現実的な目標でしょうか。
ハミルトン:ペナルティを知ったときはショックだったよ。でも仕方ない。白黒はっきりした話ではない。黄旗で間違いなく減速したけれど、彼らにとっては十分じゃなかったということだ。文句を言っても意味はないし、前に進むだけだ。とはいえ今週末は厳しい戦いになるだろうね。予選でQ3に入るのも大変だし、トップ5に入るのも難しい。そのうえで5グリッド降格だからね。フェラーリでの初めてのモンツァでこれは正直つらいけど、むしろ戦う理由が増えたと思っている。絶対にポジションを取り返すよ。
Q:不本意な結果だったとはいえ、オランダでは多くの収穫があったのでは?
ハミルトン:レースでは間違いなく手応えを感じたね。結果は残念だったけど、チームはすごく前向きで、問題の原因をすぐ深掘りしてくれた。(レースでのクラッシュも)集中力を欠いたわけじゃなく、いくつかの要素が重なったんだ。シフトアップの問題でリヤがロックしてスピンしたり、雨粒でラインが少し外れたりね。同じ姿勢で今週末のレースに臨めば、結果はついてくると信じているよ。
7月に44歳を迎え、最年長現役F1ドライバーとして活躍を続けるフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)は、今週末が実に22回目のイタリアGPとなる。
Q:フェルナンド、「スピードの殿堂」と言われるモンツァは、年々どんなふうに変わってきましたか?
アロンソ:すごく変わったね。僕は昔のレイアウトのモンツァも走ったことがある。でも一番大きいのは、マシンの変化だね。そのため感覚が全然違う。20年前はリヤウイングがほとんどない状態で、ストレートではマシンが浮いてるみたいだった。とてもマシンをコントロールできてるとは言えなかった。今はそうじゃない。ダウンフォースがずっと安定していて安全なんだ。もちろん運転は今も簡単じゃないけど、常にコントロール下にある感じだね。それにヘイローとかハンスといった安全装置もある。昔はここに来ると「危険だ」、「速い」、「アドレナリンが出る」って強烈に感じたけど、今はそれを感じにくくなった。それが一番大きな違いだよ。
今回の会見には、ここモンツァでメルセデス入りが発表されたアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)、そしてここでF1デビューを果たしたフランコ・コラピント(ウイリアムズ)も出席した。
Q:F1のCEOを務めるステファノ・ドメニカリが「若いファンは集中力が短い。だからもっとスプリントを増やすか、決勝レース自体を短くする必要がある」と話していました。どう思いますか?
アントネッリ:個人的にはスプリントの週末は楽しい。走行時間が少ないから最初から集中しないといけないしね。でもレース自体を短くするのはどうだろう。今ですらほとんどのサーキットで1ストップ戦略だし、短くするならピットストップのルールとかを大きく変えないと意味がない。長いレースだからこそ展開を組み立てられる部分もある。一方でスプリントが増えるのは悪くないかな。
コラピント:僕自身は走るのが楽しいから、長かろうが短かろうが関係ない。とにかく走れるなら嬉しいよ。
アロンソ:どちらも必要ないんじゃないかな。特にレース時間の短縮はね。サッカーだって90分は長いけど、みんな全部を集中して見てるわけではない。途中でキッチンに行ったりしているだろう? それでも誰も、「60分に短縮しよう」なんて言わない。ステファノが決めるならそれに従うけど、個人的には変える必要はないと思う。
Q:レース時間が短縮されたら、失うものの方が大きいですか?
アロンソ:そう思う。キミが言った通り、長いレースには自分の位置を取り戻すチャンスがある。でも短すぎると、例えば予選での失敗を挽回できる余地がない。タイヤの周回数もみんな似たり寄ったりだから、追い抜きも難しい。長いからこそ戦略の自由度があるんだ。これまで僕が何度も主張してきたように、給油を戻すのが一番だよ。戦略が変わるからね。
アロンソはこれまで、たとえ非力なマシンでも緻密な戦略や自身の持つドライバー力で、予想を覆す結果を何度も出してきた。戦略に十分な自由度がなければ、純粋に速いマシンに乗るドライバーが勝つだけ。F1はそれではいけないという信念が、アロンソにはあるのだろう。