「能力をフルに発揮できていない」アントネッリ、保守的なアプローチが足かせに。限界を探るべく異なる取り組み方に挑戦
わずか18歳のアンドレア・キミ・アントネッリは、メルセデスでのF1デビューシーズンのなかで、7度の世界チャンピオンであるルイス・ハミルトンが残した巨大な空白を埋めるにあたって、目まぐるしい感情に直面している。
FIA F2で1シーズンを過ごしただけでF1の大舞台に昇格したこの若きイタリア人ドライバーは、輝きを放つ瞬間を見せているものの、特に予選で潜在能力を完全に発揮するべく今も取り組んでいることを認めている。F1第13戦ベルギーGPで行われた詳細なインタビューのなかで、アントネッリは自身の進歩、苦闘、そしてシングルラップのペースをマスターするためのつかみどころのない鍵について振り返った。
アントネッリのルーキーシーズンは、雨のなかで行われた第1戦オーストラリアGPで4位という素晴らしい成績を収めてスタートし、彼の潜在能力の高さが証明された。その後アントネッリは、第6戦マイアミGPのスプリント予選ではあったが初のポールポジションを獲得し、第10戦カナダでは初の表彰台を獲得するなど、期待を上回る瞬間を迎えた。
「確かにいくつかの点で期待を上回った」とアントネッリが語ったと『Racer』が報じた。
「こんなに早くポールポジションを獲得したり、表彰台に上がれるとは思っていなかった」
しかし、今シーズンのヨーロッパラウンドは課題をもたらした。アントネッリは第7戦エミリア・ロマーニャGP以降の8レースのうち2レースでしかポイントを獲得しておらず、4回リタイアしている。これは調子のよかった序盤戦とは対照的だ。
「もちろん、常にそこに行って勝つという考え方だ。シーズンに入るとすごく興奮して、『あそこに行って、最初のレースで勝つぞ』という感じだ」
「最初のスタートではとても緊張した。でも当然ながら、状況把握がうまくなると、状況をもっと現実的に捉えられるようになり、どこで取り組むべきかということが見えてくる」
アントネッリはレースペースにおいて目覚ましい進歩を遂げ、タイヤマネジメントやレース距離におけるマシンの限界への挑戦がますます快適になったと感じている。
「今シーズン前半でレースペースが大幅に向上したと感じている。レースペースではずっと楽に感じ、限界や、マシンとタイヤがどれだけの力を発揮できるかということを、より早く感じられるようになった」
レース中には、車重が重く、グリップレベルが低いほど限界を感じ取りやすくなり、「マシンは少し滑りやすくなる」という。
しかしながら、予選は依然としてハードルとなっている。より軽いマシン、フルパワー、そして高いグリップのコンディションは、アントネッリがまだ習得していない積極的なアプローチを要求してくる。
「予選では、すべてを極限までプッシュすることが大事だ」
「マシンは週末の間で最も軽く、フルパワーで、タイヤも新品、路面のグリップも最大だ。そのためにポテンシャルは本当に高くなるが、そのポテンシャルがどこにあるのかを理解するのは少し時間がかかる」
F1の公式セッションデビューとなった昨年のイタリアGPのフリー走行1回目に起きた高速でのクラッシュは、アントネッリに衝撃を与え続け、10代の彼は慎重なアプローチを取るようになった。
「できるだけ多くのことを学ぶのに、できるだけ多くの距離を走ろうとしていたせいで、週末によってはアプローチが少し保守的になりすぎていたと思う」
しかし、この考え方は彼の学習の役に立つ一方で、マシンの潜在能力を最大限に引き出す力を制限してきた。
「まるで鍵をかけられているような感じで、このせいで自分の潜在能力をフルに発揮できていないように感じる。今ではより多くの状況を経験したので、少し違ったアプローチを試して、もっと限界を探ってみようと思っている」
彼はミスが起きる可能性は認めているが、それはマシンの限界を理解する上で重要なことだと考えている。
「もしミスが起きても大丈夫だ。マシンの限界がどこにあるのか、そしてどこまでプッシュできるのかをより深く理解していれば、今後の役に立つはずだ」
アントネッリにとって最大の課題は、予選で安定したパフォーマンスを発揮することだ。予選では「疑問符が多すぎる」という状況に陥ることが多い。彼は「成功するか、諦めるか」という向こう見ずなアプローチを拒否し、代わりにコントロールと精度を追求している。
「僕はコントロールを保ちたいし、どこまでマシンをプッシュできるかを本当に理解し、知りたいと思っている。そして、絶対に限界を超えない微妙なラインに到達したい。だから今、僕はそれをやろうとし、理解しようとしている」
このつかみどころのない鍵の発見にどれだけ近づいているかと問われると、アントネッリは次のように答えた。
「それは100万ドルの価値のある質問だ」
彼は、マイアミ、鈴鹿、カナダなど、マシンのパフォーマンスがよかったレースでは、自身の潜在能力の解放に近づけたと感じたと述べた。
「マシンが本当によかったレースでは、走行中に自信が持てたし、自分の力を発揮できるところまで近づくことができたと思う」
「でも、マシンが少し扱いにくくなったときには、自分自身の力を解放するのに苦しんだ。僕はプッシュするための自信を見つけるのに苦戦してきた」
14回のレースを経験したアントネッリは、困難なコンディションでも走行中に自信と信頼を築くことに引き続き集中している。
「だから今は、たとえより困難な状況にあっても、自信を見出し、マシンを心から信頼することが僕にとってはとても重要だ」
シーズンが進むにつれ、この若きイタリア人は、F1の最前線で戦うために必要な大胆さと慎重さのバランスを取りながら、予選での苦境を克服する鍵を見つけようと決意している。