批判を集めたモナコGP特別ルールが2026年も継続か。故意のスロー走行が横行、レースを操作
2025年のF1モナコGPで初めて、2回のピットストップ義務づけという規則が適用されたが、現時点では、それが来年も維持される見通しであることが分かった。
今年のモナコGP終了後には、この規則が将来も継続されると予想していた者はいなかった。しかし、7月30日に世界モータースポーツ評議会(WMSC)の承認を得て発表された2026年F1競技レギュレーションのなかには、「モナコでのレースにおいて、各ドライバーは、仕様を問わず、少なくとも3セットのタイヤを使用しなければならない」と記載されていた。
つまり、ドライバーは78周のレースを同じ仕様のコンパウンドで走り続けることが可能だが、最低2回タイヤ交換を行わなければならないということになる。
今年のモナコGPで、レーシングブルズとウイリアムズが明確に示したように、2ストップ義務という規則は、レースに悪影響を及ぼした。オーバーテイクがほぼ不可能なサーキットにおいて、チームメイト同士が協力し合い、後方を走る方のドライバーが大幅にペースを落として後続グループを抑え続け、前を走る方のドライバーがフリーピットストップを行うことを可能にするという戦略を成功させたのだ。
その結果、全体が事実上3つのグループに分断された。先頭集団は通常のペースで周回。その後ろでレーシングブルズのリアム・ローソンに抑えられたグループは、約4秒遅いペースで周回せざるを得ず、さらにその後方のグループは、ウイリアムズのカルロス・サインツの後ろでさらに遅いペースで走行、その結果、アレクサンダー・アルボンがポジションを落とさずにピットストップを行うことが可能になった。
今年の規則に批判的だったサインツは、この規則が来年、廃止されるのではなく、微調整されたうえで維持される予定であることに驚きを示した。
「マシンの実力よりも2、3秒遅く走る。それによって、最終的にはレースを操作し、結果を多少なりとも操作していることになるんだ」とグランプリ・ドライバーズ・アソシエーション(GPDA)理事でもあるサインツは語った。
「将来的にこれができなくなるような方法を見つけるべきだと思う。そうでなければ、毎年、こういう行為が増えていくだろう。このまま続ければ、今後、どのチームも、僕たちがやったことをますます容易に実行できるようになり、行き過ぎになるのではないかと懸念している」
しかし今後、2026年競技レギュレーションからこの規則が完全に削除される可能性は残っている。FIAシングルシーターディレクターのニコラス・トンバジスは、「今年見たことが、必ずしも繰り返すべきもの、あるいは目指すべきものだとは考えていない。対処すべき問題がある」と述べたからだ。
「現時点では、2026年の規則には依然として、モナコでのピットストップは2回と定められている。しかし、今は8月で、来年のモナコは6月に行われる。スポーツ諮問委員会でさらに議論する予定だ」
トンバジスは、チーム側からの提案を受け入れる姿勢を示している。
「チームには創造性と積極性を求める。我々FIAはまだ特定の解決策に固執しているわけではない。改善につながる提案があれば、間違いなくそれを支持する。この件は、今後の数回の会議でスポーツ諮問委員会およびF1コミッションとともに議論されるテーマのひとつである」