ルクレールを勝利から遠ざけた原因不明のトラブル「リタイアを心配するほどだった」とフェラーリ代表
フェラーリのシャルル・ルクレールは、F1ハンガリーGPで驚きのポールポジションを獲得して、マクラーレンを含む全員を驚かせた後、レースの3分の2以上の間、勝利に近づきつつあるように見えた。第1スティントでオスカー・ピアストリ(マクラーレン)を背後に抑えることに成功しただけでなく、15周目までにリードを3秒にまで拡大したのだ。
ピアストリがアンダーカットを試みた時、フェラーリはその1周後に反応し、ルクレールはリードを維持することができた。だが、ルクレールはその後、少しずつペースを失い始めた。第2スティントではギャップが縮まり、39周目にはわずか1.6秒にまで迫られ、アンダーカットを未然に防ぐべく、フェラーリが先に動いた。マクラーレンの方は、スティントを引き延ばし、終盤にタイヤを有利な状態に置くことを選んだ。そうしてピアストリはルクレールの前に出た。
しかしそのころのルクレールは、ピアストリのタイヤのコンディションよりもさらに大きな問題を抱えていた。
ルクレールはレース中に何度か無線でチームに対して長々と怒りを爆発させたため、さまざまな憶測が飛び交った。少なくとも27周目の無線は、スクーデリアがレースコンディションにおいて選んだハイブリッドパワーのデプロイメント設定について、意見が一致していないことを示していたようだった。
42周目の2度目の無線については、ルクレールはレース後にマシンを降りるとすぐに、自らの発言を撤回した。ルクレールは、最後のピットストップでのフロントウイングの調整がバランスに悪い方向に影響したと考えていたが、後にその考えを打ち消した。
「無線で言ったことを取り消す必要がある。僕は問題の原因として、あることを考えていた。でも、マシンから降りてから、もっと詳しい情報を得た。シャシーに由来する問題であり、僕たちには他にやれることは何もなかったことが分かった」
スポーティングディレクターのディエゴ・イオベルノが、パルクフェルメから出てきたルクレールに素早く駆け寄り、説明したことで、ルクレールがメディアの前で感情を爆発させることを避けられた。
冷静さを取り戻したルクレールは、「40周目くらいからその問題を感じ始めた。そしてそれは周を追うごとに悪化し、終盤には2秒もペースが遅れていた。マシンは全く運転不能な状態だった」と説明した。
「どうやらデータ上ではそれほど明確ではなかったようだ。でも、問題があったことは間違いない」
チーム代表のフレデリック・バスールは、ルクレールの突然のペース喪失の原因となる問題があったことを認めたが、その問題が何なのかについては明言を避けた。
バスールは、「かなり奇妙な状況だった。レースの最初の40周はすべてコントロール下にあった。だが最後のスティントは悲惨だった。マシンは非常に扱いにくく、バランスが崩れていった。正直言って何が起こったのか現時点では正確には分かっていない」と説明した。
「シャシー側で何かが壊れているかどうかを調査しなければならない。一時はレースを完走できないのではと思った。4番手でフィニッシュし、ポイントを得られたのは幸運だったかもしれない」
「ある時点で約1秒を失った。シャルルは、ピットストップ中にフロントウイングを調整した際にミスがあったのではないかと、我々に聞いてきたぐらいだ」
誤ったタイヤ空気圧、適切でないタイヤ温度、サスペンションの問題、あるいはモノコックの一部の破損など、スクーデリアがマラネロで調査すべき問題はたくさんある。フェラーリは、ルクレールの突然のペース喪失に対する決定的な答えを出せないままに、ハンガリーを後にした。