
【】全職解任もレッドブルとの契約下にあるホーナー。完全離脱後に考え得るF1キャリアの選択肢
7月11日
クリスチャン・ホーナーは、レッドブル社によってモータースポーツ部門のすべての役職から解任されたものの、依然としてレッドブル社に雇用された立場にある。解任発表が行われた7月9日、彼はファクトリーでF1チームスタッフたちに対して別れのスピーチを行い、そのなかで、今もレッドブルとの契約下にあることを明かした。
ヘルムート・マルコおよびオーストリア側株主との権力闘争に勝利した後、ホーナーはレッドブルのレーシング部門における明確なリーダーとなった。レッドブル・レーシングおよびレッドブル・パワートレインズのCEOとして、ホーナーはF1のエンジン部門とシャシー部門の両方を掌握し、チーム代表としてレースチームおよびファクトリー全体の責任者の立場にもあった。
さらに、正式な発表こそなかったものの、ホーナーはレッドブルの若手ドライバープログラムの全権も掌握していた。そのため宿敵マルコに残された責任は、「マックス・フェルスタッペンを満足させること」と「若手ドライバーの作業監督」というふたつの小さな仕事をこなすことだけになっていた。

当然ながら、それほどの権限を有していたホーナーは非常に多忙であったが、今では20年ぶりに何の役職も持たない身となり、家族の待つ自宅に戻り、弁護士と協力しながら、レッドブル社から可能な限り最良の補償パッケージを得たうえで、同社とのすべての関係を断とうとしている。
契約解消の条件に双方が合意するまで、ホーナーは他のいかなる企業とも契約することが許されない。そのため、彼がF1の世界にとどまるつもりであるにしても、当面は待たなければならず、さらに現雇用主によって“ガーデニング休暇”が義務付けられないことを願うしかない。
それでは、レッドブル社から完全に離脱した後、ホーナーは次にどこへ向かうのか? トト・ウォルフを除けば、現職のF1チーム代表のすべてが就任から最長でも2年半しか経っていない現状を踏まえると、ホーナーがすぐにどこかのチームに迎えられる可能性は高くはないだろう。
加えて、レッドブル・レーシングのすべての頂点に立つCEOを務めていたことを考えると、単なるチーム代表として誰かの指示を受け、CEOや取締役会に報告しなければならないという立場は、ホーナーにとって魅力的とは言えない。
3年前にフェラーリがフレデリック・バスールと交渉を行っていた際、ホーナーとも話し合いを持っていたことは周知の事実であるが、その時にはホーナーはレッドブルに残る道を選んだ。
バスールは、素晴らしい実績を持った人物であるうえに、現在、ドライバーのルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールの全面的な支持を得ている。それにもかかわらず、彼が問題に直面しているのをみれば、ホーナーが今、フェラーリとの交渉を再開しようと考える可能性は低い。

チーム代表を必要としているチームのひとつがアルピーヌだ。ただ、スティーブ・ニールセンがマネージングディレクターとして9月から加入することに合意しているため、もしここに加わるなら、エグゼクティブアドバイザーであるフラビオ・ブリアトーレの下で働き、ニールセンと責任を分担することを受け入れなければならない。それはホーナーが望むところではないだろう。
より野心的な目標を狙うとすれば、それはF1のCEOステファノ・ドメニカリの後任を狙うことである。ドメニカリの契約は2029年末まで延長されたばかりだが、彼には何らかの圧力がかかっていると考えられている。
しかしホーナーがその座を狙えば、現チーム代表の一部から強い反発を受けることになるだろう。特にマクラーレンのザク・ブラウンやメルセデスのトト・ウォルフは、ホーナーとの個人的な関係が悪いため、強硬な反対者となるとみられる。
こうした状況から考えると、ホーナーが次のキャリアを定めるのは簡単ではなさそうだ。しかし、彼の経験、人脈、そして優れた経歴を考えれば、グランプリの世界で再びトップ職に就くのは、時間の問題だ。
(Text : GrandPrix.com)
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