2025年F1第12戦イギリスGPレース後会見 オスカー・ピアストリ(マクラーレン)からニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)に、「レゴ製トロフィーはどう?」と質問

【】「何事もポジティブじゃないとね」レゴ製トロフィーをめぐる質問に、大人な対応を見せたヒュルケンベルグ/F1 Topic

7月9日

 2025年F1第12戦イギリスGPで行われた国際自動車連盟(FIA)のトップ3会見。これは表彰式の後、3人のドライバーがミックスゾーンへ行き、各国のテレビ局のインタビューを受けてから、テレビ局以外のメディア用に行われるものだ。

 通常であれば、3人はほとんどまとまって移動するのだが、今回はランド・ノリス(マクラーレン)が母国グランプリ初優勝で、ニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)が悲願の3位入賞を果たしたということで、このふたりへの質問が長かった。テレビ局の取材を終え、先に到着したオスカー・ピアストリ(マクラーレン)は、約15分ほど、待ちぼうけを食らった。

 しかし、このとき、ピアストリはあることを考えていた。それは、ヒュルケンベルグへの質問だった。

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2025年F1第12戦イギリスGP 2位に入賞したオスカー・ピアストリ(マクラーレン)。優勝した僚友ランド・ノリスと、3位のニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)の到着を待っていた

 司会者からの代表質問が終わった後、会見は一般記者との質疑応答に移った。ブラジルの記者が「カナダでのペナルティと比べて、少し一貫性がないように感じますか?」と質問すると、ピアストリは「違いはわからない。僕は、今回のペナルティがルール内で下されたと信じているということ。それ以上はわからないよ。後で確認してみるけど」と答えた後、マイクを手にしたまま、ヒュルケンベルグのほうを見て、こう話し続けた。

「僕からもニコに質問があるんだ。F1で15年以上も待って、やっと手にしたトロフィーが分解できるレゴ製だったなんて、どういう気持ち?」

 突然のピアストリからの質問にヒュルケンベルグは驚いて、こう聞き返した。

「え? ごめん。なんだって?」

 ピアストリは再び質問する。

「だから、レゴ製だっていうことをどう思っているのかだよ。だって、分解できちゃうし、来週お店へ行って買えそうなやつじゃないか」

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2025年F1第12戦イギリスGPレース後会見 オスカー・ピアストリ(マクラーレン)からニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)に、「レゴ製トロフィーはどう?」と質問

 若いピアストリからの、少し失礼にも思える質問に、ヒュルケンベルグは大人の対応を見せた。

「いいや、僕はレゴが大好きだよ! いいじゃん、娘も遊べるし。もちろん、金や銀製だったら良かったかもしれないけど、文句は言わないよ。何事もポジティブじゃなきゃいけないからね」

 ちなみにこのトロフィは、F1が世界選手権創設75周年を記念して、レゴと商業提携して作られた特別仕様。優勝トロフィは2717個で、2位と3位は2298個のレゴブロックで作られている。ドライバー用の3つと、コンストラクター用の合計4つのトロフィーを、7人の職人が210時間以上をかけて制作した傑作。来週お店へ行っても、決して買えない特別なレゴ製だった。

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ニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)の3位のトロフィー。2298個のレゴブロックが使われている


(Text : Masahiro Owari)