ルノーCEO退任を悲しむガスリー。チームの主要人物の離脱が続く今こそ「団結、協力し合うことが重要」
アルピーヌのピエール・ガスリーは、ルノー・グループCEOのルカ・デメオが7月に退任するという発表について、悲しみと懸念を表明した。このニュースはルノーのF1運営の将来に新たな不確実性を投げかけている。
7月15日に正式に退任するデメオは、ルノーの自動車部門の方向性を再構築し、アルピーヌブランドを通じてF1への野望を復活させる上で極めて重要な役割を果たした。デメオの指揮下でルノーは経営を合理化し、アルピーヌを独立したパフォーマンスブランドとして位置づけ、F1を世界戦略の中心に据えた。
現在アルピーヌは、2026年に向けメルセデス製パワーユニットへの切り替えや新たなリーダーシップ体制など、抜本的な変革の準備を進めている最中だが、デメオの突然の離脱は、エンストンを拠点とするチームの安定性と長期的なビジョンについて懸念を引き起こしている。
デメオ指揮下の2023年にアルピーヌに加入したガスリーは、15位に終わった第10戦カナダGP後にこのニュースについて尋ねられると、失望を隠さなかった。
「まず、すべての情報を得る必要があると思う。僕はルカとはとてもよい関係を築いている。彼は僕をチームに迎え入れてくれた人で、とても刺激的な人だと思う」とガスリーは語った。
「だから当然ながら最初の反応は、彼が去ってしまうのはとても悲しいということだ」
アルピーヌにおけるデメオの影響力は、パドックをはるかに超えて広がった。彼のリーダーシップにより、ルノーの財政は安定し、チームのF1での成績が低迷するなかでも、モータースポーツプログラムに新たなアイデンティティが注入された。チームはここ数シーズン、経営陣の刷新を何度も繰り返してきたが、デメオは長期的なF1プロジェクトに尽力し、裏方として確固たる地位を保ち続けた。
「彼にはそれ相応の理由があるはずだ」とガスリーは続けた。
「結果として、チームは現時点ですべてが順調というわけではないが、ファクトリーでは今も多くの素晴らしいことが起こっていると思う」
「僕にとっては、2026年もこの勢いを維持することが重要だ。なぜなら、状況や実績が大きく変わる可能性があるからだ。そして僕たちは、そのことを心に留めておく必要がある」
アルピーヌは、5月に突如チームを去った元チーム代表のオリバー・オークスの後任として、F1界のベテランであるスティーブ・ニールセンを新チーム代表に任命するものとみられる。こうした変化のなかで集中力を維持する難しさについて尋ねられると、ガスリーは状況のなかに人的要素があることを認めた。
「それは理解できる。そう感じるのはまったく普通のことだし、人間として当然だ」
「そして、こういう時こそ僕たち全員がチームとして団結し、協力し合うことが重要だと思う。互いに助け合い、長期戦を信頼することだ」
アルピーヌにとって、今後数カ月は極めて重要な時期となるかもしれない。デメオの離脱により、ルノーがF1への投資を継続する意欲があるかどうかという疑問がふたたび浮上するのは確実で、ガスリー、彼のチームメイト、そしてチーム全体が、新たなリーダーがどのような方向を選択するのか不安とともに待つことになるだろう。
ルノーを去るデメオは、自動車業界から完全に離れることになる。月曜日には、グッチやイヴ・サンローランなどのブランドを所有するフランスの高級品複合企業『ケリング』のCEOに就任することが確認された。