2025.06.18

選手権首位のマクラーレンを差し置いて優勝を争ったメルセデスとレッドブル。駆け引きはレース後も続く【トップチーム密着】


2025年F1第10戦カナダGP ジョージ・ラッセル(メルセデス)&マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
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 2025年F1第8戦モナコGPと第9戦スペインGPを2連勝したマクラーレンだったが、続く第10戦カナダGPで優勝争いを演じたのは、メルセデスとレッドブルだった。

 予選でポールポジションを獲得したのはジョージ・ラッセル(メルセデス)。マックス・フェルスタッペン(レッドブル)は2番手からスタートした。逆転優勝を狙いたかったフェルスタッペンだったが、タイヤのマネージメントが想像していた以上に難しく、トップのラッセルを追い詰めるまでは至らず、先にピットインする苦しい展開となる。

「タイヤのデグラデーション(劣化)が非常に大きく、最初の2スティントではタイヤが急速に消耗してしまった。だからアグレッシブな戦略に変えて、早めのピットストップになった。そのため、最後のスティントが想定よりも長くなり、ゴールまで持たないかもしれないと考えていたなかで、2位でフィニッシュできたのはポジティブだった」

マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2025年F1第10戦カナダGP 2位に入賞したマックス・フェルスタッペン(レッドブル)

 フェルスタッペンの追撃を許さず、自身とチームに今シーズン初優勝を持ち帰ったラッセルは、カナダGPでの勝因を次のように分析した。

「トリプルヘッダーの前まで、僕たちは毎レース、自分たちが持っているポテンシャルを最大限発揮してきた。カナダに臨むにあたって、僕たちにポールポジションやレースでの優勝を争うポテンシャルがあることはわかっていたよ。今日も気温は高かったけど、タイヤがオーバーヒートすることはほとんどなかった。モントリオールのアスファルトは非常に滑らかで、低速コーナーが多いため、タイヤに大きなストレスがかからないからね。そのチャンスをしっかりと活かすことができた」

ジョージ・ラッセル、桑原克英エンジニア、アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)
2025年F1第10戦カナダGP表彰式 左から優勝ジョージ・ラッセル、桑原克英エンジニア、3位アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)

 メルセデスのラッセルとレッドブルのフェルスタッペンの2陣営ふたりによる戦いは、チェッカーフラッグが振られた後も続いた。

 レース終盤にセーフティカーが導入されていたときに、隊列を先導していたラッセルが、急ブレーキをかけたことで、直後を走っていたフェルスタッペンが一瞬前に出るという事件が起きた。

 ラッセルがレースエンジニアのマーカス・ダドリーに「フェルスタッペンがセーフティカー中に僕を追い越した」と伝えると、フェルスタッペンもレースエンジニアのジャンピエロ・ランビアーゼに「ジョージが突然、アグレッシブにブレーキを踏んだ」と無線を送った。

 レッドブル側は、ラッセルが予選後のインタビューのときから、フェルスタッペンのペナルティポイントに関するコメントを語っていたため、ラッセルの行為には注意を払っており、フェルスタッペンからの無線にランビアーゼは「ラッセルの行為は、かなり明白に見える。駆け引きに引っかかるな」と注意を促していた。

 結局、レースコントロールが不問に付したため、レース後、レッドブルは国際自動車連盟(FIA)にラッセルに対する抗議を提出。ラッセルはフェルスタッペンにペナルティが科せられるよう、意図的にブレーキを踏む危険な行為をしたとともに、それを無線で語ってレースコントロールにアピールしたとして、スポーツマンシップに反する行為を行ったと主張した。

 しかし、スチュワードはレッドブルの抗議を却下した。元々フェルスタッペンとラッセルは過去にもレース中の行為でもめたことがあり、相性は悪い。ただし、今回の抗議はドライバー同士の問題というよりも、チーム同士の駆け引きのひとつだと考えられる。

ジョージ・ラッセル(メルセデス)&マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2025年F1第10戦カナダGP ジョージ・ラッセル(メルセデス)&マックス・フェルスタッペン(レッドブル)

 ドライバーズ選手権ではフェルスタッペンが155点で3位、ラッセルは136点で4位につけている。またコンストラクターズ選手権ではメルセデスが199点で2位、レッドブルは162点での4位にいる。

 今回のカナダGPはマクラーレンのチームメイト同士が激しいバトルを演じただけでなく、マクラーレンに続くメルセデスとレッドブルの間でも、激しい火花が散った1戦だった。



(Text : Masahiro Owari)

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