2025.06.15

トラブルの修復で走行時間を大幅ロス。予選11番手は「よくリカバリーした」とホンダ折原GMが評価【角田裕毅F1第10戦展望】


2025年F1第10戦カナダGP 角田裕毅(レッドブル)
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 2025年F1第10戦カナダGP土曜日の予選前に行われたフリー走行3回目で、赤旗時に角田裕毅(レッドブル)がオスカー・ピアストリ(マクラーレン)をオーバーテイクしたとして、10グリッド降格の処分が科せられた。

 問題が起きたのはセッションが開始して20分が過ぎたときだった。ピアストリが最終コーナーでコンクリートウォールに接触。ピアストリは接触によって右リヤタイヤがパンクしていたため、スロー走行でピットへと向かっていた。そのため、アイザック・ハジャー(レーシングブルズ)がピアストリをオーバーテイクしていったが、このときはまだ赤旗が出されていなかった。

 ハジャーがピアストリを抜いた後に、飛散したパーツを片付けるために赤旗が提示される。このとき、ピアストリに接近していた最初のマシンが角田だった。角田はバックストレートでピアストリに追いつき、抜いていった。スチュワード(審議委員)の報告によれば、「81号車(ピアストリ)は時速86kmで走行し、22号車(角田)は時速171kmで走行し、81号車を追い抜いた」という。

 角田はこう語る。

「僕はそのペナルティを受けるに値しないと思います。もちろん、赤旗下ではオーバーテイクできないことは理解しています。でも、オスカーはバックストレートで時速80kmで走行していました。しかも、彼は大きな損傷を負い、パーツを散乱させていました。破片が自分に当たる可能性があったので、後方を確認してラインを右に変えました。もちろん、通常より大幅に速度を落としました。これ以上、どうすることもできません。本当にフラストレーションがたまります」

 バックストレートでは通常時速300kmで走行しているので、角田の時速171kmはかなり減速したといえる。ただし、赤旗での追い越しは原則禁止。角田の次にピアストリに接近したルイス・ハミルトン(フェラーリ)がオーバーテイクしていないことを考えれば、もう少し慎重になるべきだった。

 ただ、角田の気持ちもわかる。なぜなら、角田はこのとき右フロント周りにトラブルを抱えていたからだ。少しでも早くピットに戻りたかったのには、もうひとつ理由があった。土曜日から角田はフロアを新しいスペックに交換していたため、セットアップの調整が必要だった。

 急いでピットインした角田だったが、トラブルを修復するのに時間を要し、ほとんど走ることができないまま、フリー走行3回目は終了した。

角田裕毅(レッドブル)
2025年F1第10戦カナダGPフリー走行3回目 角田裕毅(レッドブル)

「金曜日とはかなりクルマの挙動が違って、それに合わせたセッティングができないまま予選を迎えたので、正直Q1で脱落することを覚悟していた」と語る角田。なんとかQ1を14番手で通過したが、Q2で10番手のハジャーにコンマ1秒足りずに11番手に終わり、Q3に進出することはできなかった。

 チームメイトのマックス・フェルスタッペンがQ2からミディアムタイヤを履いて、最終的に予選2番手を獲得。角田にはミディアムタイヤを履くという選択肢はなかったのか。ホンダ・レーシング(HRC)の折原伸太郎(トラックサイドゼネラルマネージャー)はこう語る。

「FP3でまともに走ることができていなかったので、予選では同じコンパウンドで走り続けて、(新しいフロアを搭載したクルマに)慣れていくことが重要だという判断だったと思います」

角田裕毅(レッドブル)
2025年F1第10戦カナダGP 角田裕毅(レッドブル)

 ペナルティは残念だったが、フリー走行3回目でトラブルに見舞われながら、予選で11番手につける速さを見せたことは大きな収穫。これでスペインGPの謎の失速の不安は払拭できた。折原GMも、次のように評価した。

「FP3であれだけ時間をロスしたなかで、予選11番手は『よくリカバリーした』と言っていいと思います」

 ペナルティは残念だが、ここはオーバーテイクが可能なコース。最後尾から追い上げていってほしい。

角田裕毅(レッドブル)
2025年F1第10戦カナダGP 角田裕毅(レッドブル)


(Text : Masahiro Owari)

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