グランプリのうわさ話:ルノーのF1パワーユニット技術を巡ってマニュファクチャラーが駆け引き
事件はサーキットの外でも起きている。もちろん、サーキットの中で起きているのは言うまでもない。水面下で蠢くチーム、ドライバー、グランプリにまつわる未確認情報を調査員が独自に調査。送られてきた報告書を公開する。
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ルノーは、これまでF1エンジンの設計・製造を行ってきたビリー−シャティヨンのファクトリーでF1パワーユニット(PU)部門の活動を終了しても、引き続きこのファクトリーでハイブリッド時代に競争力のあるパワーユニットを生産できると確信しているかもしれないが、他のマニュファクチャラーは違った見方をしている。外部サプライヤーとしてのビリー-シャティヨンのサービスを使うか、同部門を買収して将来のグランプリエンジンを開発するか検討しているようだ。
今週初めに報じられたように、アウディはアルピーヌにひそかに接近し、同社初のF1エンジンの開発を加速させるために、フランスのファクトリーが2026年仕様のパワーユニットの特定の領域を担当する契約を締結しようとしているという。フランスの情報筋によると、両者の交渉はすでに進んだ段階にあるということだ。
アウディとポルシェのモータースポーツ部門間のライバル関係を知っていたルノー・グループCEOのルカ・デメオは、そのニュースをポルシェの幹部に漏らした。その結果、彼が望んだ通り、このスポーツカーメーカーも、アウディとの交渉を阻止するためとはいえ、アルピーヌとの契約に関心を持つようになった。ポルシェがアルピーヌF1チームを丸ごと買収するという話もあるが、今のところそれは行き過ぎだと思われる。
最後に、ヒョンデがビリー-シャティヨンのファクトリーを買収するといううわさが浮上している。シリル・アビテブールがルノーF1チーム代表だった頃からの同部門との個人的なつながりや、ヒョンデが間もなくWRCから撤退する可能性が高いという事実が火に油を注いでいる。デメオとブリアトーレは自社のエンジン部門に信頼を置いていないものの、他の人々はそれを手に入れることにかなり強い関心を持っているようだ。
F1の商業権保有者が今年ロンドンで開催された『F1 75』イベントを“大成功”と評しているものの、2026年にはF1マシンのグループ発表は行わない予定だ。O2アリーナで開催されたイベントでは、すべてのチームが2025年のカラーリングを発表したが、ドライバーも全員が参加した同イベントでは必ずしも実際の新車が披露されたわけではなかった。しかし、F1が毎年同じ方式を繰り返さない理由はいくつかある。
最初の理由は、チームが独自の新車発表会を開催できないことにあまり満足していなかったことだ。独自の新車発表会は、一般的な自動車発表会よりもはるかに多くの露出が得られるため、スポンサーが非常に喜ぶイベントだ。さらに、このようなイベントを毎年開催すると価値が下がるという事実があるため、ステファノ・ドメニカリと彼のスタッフは、この方式は特別な機会のために取っておくべきだと考えている。つまり、このようなイベントは、F1の80年目のシーズンが始まる2029年に開催される可能性が示唆されている。
最後に、1月の最後の5日間にバルセロナでテストを実施するなど、シャシーとパワーユニットが完全に新しくなる2026年のマシンの準備のために全チームが行う必要がある作業量を考えるに、そのようなイベントの追加は、チームのリソースを過度に圧迫することになる。
これらすべてのことを考慮し、『F1 75』のようなイベントを毎年開催する計画は廃止された。いつ再開されるかは明確に示されていないが、2029年より前にならないことは確実だ。
イモラは2026年からグランプリ開催枠を失うかもしれない。しかしイタリアの情報筋によると、10月の週に予定されている次の世界評議会で来年のF1カレンダーが承認されるまでは、その決定を覆す希望はまだあるとのことだ。今週初めに発表されたカレンダーがすでに公式のものとなっているのは明らかだが、マドリードのサーキットを予定通りに準備するために必要な作業の完了については依然として疑問符がついている。
FIA内部関係者は、F1に必要な構造物がすべて完成した状態でイベントが開催されることを合理的な疑いの余地なく保証するために、スペインのプロモーターに厳しい期限を課したことを認めている。
最近カルロス・サインツがサーキット建設予定地でデモランを行い、プロモーターはほぼグランプリごとにチーム、FIA、F1と連絡を取ってきたものの、スペインではプロジェクトの資金調達について多くの疑問が投げかけられている。
さらに、シルバーストンとの契約を失ったばかりだが、今年のイギリスGPのオンラインエントリーをいまだに提供しているとされる運営会社にチケット販売を委託する契約を締結したことから、プロジェクトの経済的実現可能性についてさらなる疑念が生じている。なお、シルバーストンはチケット購入について公に警告を発している。
そのため、イモラには来年のカレンダーにレースが組み込まれるかもしれないというわずかな希望がまだ残っている。彼らは、次回のFIA世界モータースポーツ評議会までその希望を持ち続けるだろう。