2025.06.13

フェラーリ代表の将来を疑問視する報道に「気分が悪くなる」とハミルトン。大きな信頼を置く恩師を擁護/F1第10戦木曜会見


2025年F1第10戦カナダGP FIA会見 左からランス・ストロール(アストンマーティン)、ルイス・ハミルトン(フェラーリ)、フランコ・コラピント(アルピーヌ)
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 2025年F1第10戦カナダGPドライバー会見には、同国出身のランス・ストロール(アストンマーティン)が出席した。ストロールは前戦スペインGPの決勝レースを右手首の痛みで欠場したが、今回無事復帰を果たした。

Q:ランス、まずは健康状態について教えてください。手首の調子はどうですか?

ストロール:ありがとう。調子はいいよ。

Q:チームからスペインGP後に手術を受けたと聞きました。再発しない自信はどれくらいありますか?

ストロール:大丈夫だと思っている。

Q:その根拠は? 今週、南仏ポール・リカールで旧車を走らせて、問題ないと判断したということですか?

ストロール:実はスペインの数週間前、イモラやモナコから悩んでいたんだ。そのままバルセロナに来て、あの週末は本当に過酷だった。手術を受けてから今週マシンを走らせて、かなり調子がよかった。自信はあるよ。

Q:具体的に、何が問題だったんでしょう?

ストロール:数年前に負った古傷が原因だった。最近また痛みが出て、でもやっと治ったということだ。

ランス・ストロール(アストンマーティン)
2025年F1第10戦カナダGP FIA会見 ランス・ストロール(アストンマーティン)

 ストロールのいう「数年前の古傷」とは、2023年の開幕前、トレーニング中の事故での右手首骨折を指すのだろう。あれから2年を経て、再び痛み出したのはどういうことだったのか。

 実はスペインGPの予選でQ2落ちを喫したことで、怒りに任せてガレージ内の壁かロッカーを殴り、それで右手首を痛めたのではないかという報道が、一部のメディアで流れていた。その流れで以下の質問が出たようだが、ストロールはあくまで「以前から古傷に悩んでいた」という主張だった。

Q:予選後にガレージに戻った時、かなりフラストレーションを感じていたという噂がありました。何が起こったのか、そして手首の調子と関係があるのでしょうか?

ストロール:フラストレーションを感じていたのは確かだよ。あの予選に限らず、イモラからの過去3レースのことにずっと不満を感じていた。手首の症状が運転の妨げになっていたからね。なのでレース出場は難しい、おそらく不可能になるだろうとわかっていたんだ。

ランス・ストロール(アストンマーティン)
2025年F1第9戦スペインGP ランス・ストロール(アストンマーティン)

 カナダGPは、ルイス・ハミルトン(フェラーリ)にとっても忘れられないグランプリのひとつだ。F1デビュー年の2007年、チームメイトのフェルナンド・アロンソを抑えて自身初のポールポジションを獲得し、4回もセーフティカーが入る荒れた展開のなか、キャリア初優勝を果たしたのだ。

ハミルトン:あの初優勝は本当に素晴らしいものだった。さっきもちょうどエンジニアたちと、2007年の予選や自分のラップを見ていたところだったんだ。当時はレース中の給油があったので、2台の給油タイミングを必ず何周かずらしていた。そしてフェルナンドは世界チャンピオンだったので、いつも軽い燃料で走っていた。予選でも僕は、少なくとも1割はフェルナンドより重かった。それで前戦のモナコで、それは不公平だとチームに抗議した。せめては同じにしてほしいと。そしたらカナダから同じ給油量になって、予選でポールを獲得して、レースも勝つことができた。自分が正しいと感じたことのために、戦わなければならないと思った瞬間のひとつだったね。

ルイス・ハミルトン(マクラーレン)
2007年第6戦カナダGP ルイス・ハミルトン(マクラーレン)

 フェラーリは現在、コンストラクターズ選手権で2位につけているとはいえ、首位マクラーレンにダブルスコアをつけられている。そんな状況に対して、イタリアを代表するスポーツ紙『ガゼッタ・デル・スポルト』などが、チーム代表フレデリック・バスールへの大批判を展開したようだ。

Q:イタリアの主要紙2紙がバスール代表を攻撃し、彼の将来について疑問を投げかけています。この件についてどう思いますか?

ハミルトン:記事は読んでいないけど、そんな話を聞くと気分が悪くなるね。僕がフェラーリにいる主な理由はフレッドの存在が大きいし、その機会を与えられたことに心から感謝している。みんな懸命に努力しているんだ。確かに状況は完璧じゃない。でもフレッドには、ずっとここにいてほしいと思っている。彼こそが、僕たちを頂点へと導いてくれる人物だと信じているからね。

 ハミルトンはかなり熱く、バスール代表を擁護した。下位カテゴリーのF3ユーロシリーズ、GP2選手権でハミルトンがチャンピオンになった際のチーム代表は、いずれもバスールだった。いわばハミルトンの育ての親であり、「僕がフェラーリにいる主な理由はフレッドの存在が大きい」とまでいうほど、ハミルトンは今も絶対的な信頼を置いている。それだけに彼への批判は、許せなかったのだろう。

ルイス・ハミルトン(フェラーリ)
2025年F1第10戦カナダGP FIA会見 ルイス・ハミルトン(フェラーリ)


(Text : Kunio Shibata)

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