マルコもレース終盤のフェルスタッペンに困惑。過去のインシデントや誤った決断により「感情に飲まれてしまった」
2025年F1第9戦スペインGP終盤の「ひどい事態」を見たレッドブルのモータースポーツコンサルタントのヘルムート・マルコは、最終的に大きな損失をもたらしたマックス・フェルスタッペンの攻撃的な行動に困惑したと認めた。
スペインGPの決勝レースで、フェルスタッペンは表彰台に向けて順調なスタートを切ったが、55周目と遅いタイミングでセーフティカーが導入され、リスタート時にシャルル・ルクレール(フェラーリ)がフェルスタッペンから3番手の座を奪ったことで、形勢が変わってしまった。そこから、フェルスタッペンはジョージ・ラッセル(メルセデス)と争うにあたって次々と不安定な判断を下すようになった。そのため、レッドブルがダメージを最小限に抑えようと躍起になり、マルコが答えを探し求めるなかで、緊張は一気に高まった。
フェルスタッペンがラッセルに衝突し、10位に降格するという物議を醸したレース結果について、『Servus TV』から月曜日の夜に質問を受けたマルコは、レッドブル陣営内でも現世界チャンピオンの行動に対して混乱と不満があったと明かした。
「マックスはポジションを返したくなかった」
「しかし、彼はそうするように指示された。彼は抗議の気持ちでそうした」
リスタート時に、バルセロナの最終コーナーの出口でトラクションを失ったフェルスタッペンは、ルクレールに追い抜かれた。しかし本当のドラマは、その直後にラッセルがターン1で大胆な動きを試みたときに始まった。フェルスタッペンは当初、ラッセルにコースアウトさせられ、退避路に出ざるを得なかったと主張していたが、それでもラッセルより先にコースに復帰することができた。
「ストレートで、ルクレールがマックスのマシンに接触したと思う」とマルコは振り返った。
「それからラッセルとの状況が起きた」
「そして、マックスはレギュレーションを細かいところまで理解していると言わなければならない。彼はすぐにこう言った。『彼はコントロールを失っていたから、僕はコースアウトしなければならなかった』」
「内部での議論では50対50だった。また、それはセーフティカーランの直後に起こったため、10秒ペナルティの影響はレース中の場合よりもはるかに大きくなる」
しかし、フェルスタッペンの問題はそれだけでは終わらなかった。フェルスタッペンは、仕方なくラッセルにポジションを譲るため、64周目のターン5への進入時にスロットルを離し、ラッセルを先に行かせようとしているように見えた。しかし彼はその後ふたたび加速し、メルセデスのドライバーに衝突した。
「マックスはスロットルを離したので、我々は彼がラッセルを先に行かせようとしているものと思った。だが突然、彼はまた加速した」
「彼のなかで、どのような誤った判断や思考プロセスが生じていたのかはわからない。そして言われているように、混乱が始まった」
その結果、フェルスタッペンは10秒のタイムペナルティと、スーパーライセンスにペナルティポイントを3点科され、レース出場停止の可能性に大きく近づいた。
フェルスタッペンは後にソーシャルメディア上で自身の過失を認め、この出来事は「正しいことではなく」、「起こるべきではなかった」と述べたが、すでにダメージが生じていた。
スチュワードの決定に同意したマルコは、その行為を弁護しようとはせず、代わりに背景を説明し、フェルスタッペンとラッセルの過去が、判断ミスを助長した可能性があると述べた。
「過去にも問題はあった」とマルコは認めた。
「それは不必要なものだったし、多くのポイントを失った。しかし、残念ながら起こった数々のインシデントや誤った決断のせいで、彼は感情に飲まれてしまった」
レッドブル内でさえ、その影響は抑制されており、スペインGPのレース後は長い報告会は行われなかった。マルコは、「人はみな自分の道を行く。マックスがそんな気分のときは、彼を放っておくのが一番だ」と語り、またフェルスタッペンが珍しく過ちを認めたことについて、「そう簡単にマックスは過ちを認めない」と皮肉混じりのコメントをせずにはいられなかった。
物議を醸したこの出来事を受けて、フェルスタッペンは感情的にも戦術的にもリセットしなければならないというプレッシャーのなか、カナダに向かうことになる。フェルスタッペンをめぐる激しい衝突を何度も見てきたマルコにとって、ひとつはっきりしていることは、マックス・フェルスタッペンの頭のなかで何が起こっているかに関係なく、レッドブルにはこのような週末をこれ以上続ける余裕はないということだ。