「裕毅と同じように、彼も僕をプッシュしている」新人ハジャー、ローソンからのプレッシャーに直面
レーシングブルズのルーキーであるアイザック・ハジャーにとって、先週末のF1第5戦サウジアラビアGPでは、焼けつくような太陽だけが熱源ではなかった。ハジャーは、チームメイトのリアム・ローソンからの激しいプレッシャーにも直面していた。
レッドブルから姉妹チームに移籍したローソンは、サウジアラビアGPの予選Q2ではハジャーを0.227秒上回った。レースでは、ローソンは10秒のタイムペナルティを科されたため、最終的な結果では11位から12位に落ちたものの、10位のハジャーからわずか1.4秒遅れでフィニッシュしており、力強いペースを見せつけた。
ハジャーはこのレースで、復活したチームメイトが試練をもたらすことを思い知ることとなった。
「今週末の彼は、本当に、とても速かった」と20歳のハジャーはローソンについて語った。
「予選では彼はマシンの性能を最大限に引き出した。彼は確実に強くなってきている。(角田)裕毅が僕をプッシュしたように、彼もまた僕をプッシュしている」
ハジャーの言葉は、彼が現在描いている急な学習曲線を反映しており、ローソンの復活は、レーシングブルズ内にすでにある激しい競争にさらに拍車をかけている。
ローソンのレースは、フラストレーションの物語だった。ミディアム〜ハードのタイヤ戦略は他のほとんどのドライバーと同じだったが、結果を出すことができなかった。12番手からスタートしたローソンは集団のなかを突き進み、フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)、ガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)、ジャック・ドゥーハン(アルピーヌ)、エステバン・オコン(ハース)、ランス・ストロール(アストンマーティン)をオーバーテイクしたが、ドゥーハンをコース外で抜いたことで、ペナルティを受けることになった。
「残念ながら、(僕の戦略は)今日はうまくいかなかった。クルマをオーバーテイクしてレースを過ごした」とローソンは嘆いた。
「レース終盤は全開で走り、フェルナンドとの差を10秒にしようとしたが、結局のところポイント獲得のためにはならなかった。今日、僕たちが間違った結末を迎えてしまったのは残念だ」
しかし、ハジャーが語ったローソンの調子に関する評価に彼も同意し、「僕たちとって、これまでで最速だったと思うが、残念ながら十分ではなかった」と語った。
完全に調子が整ったのかと尋ねられたローソンは、次のように述べた。
「そう思う。昨日は明らかにトップチームのスピードには及ばなかったので、マイアミに向けてこの点を改善できるよう取り組んでいく」
一方のハジャーは、ハードタイヤからミディアムタイヤへの交換戦略で“完璧”と自身で評したレースを展開し、10位に入賞して1ポイントを獲得した。しかし、最後の10周では、よりフレッシュなタイヤを履いていたにもかかわらず、ウイリアムズのカルロス・サインツとアレクサンダー・アルボンのふたりの後ろで足止めされ、フラストレーションを感じていた。
「完璧なレースだったけれど、たった1ポイントしか獲れなかったというのは……厳しいものだね」とハジャーは語った。
「ピットストップ後にウイリアムズの2台が前にいることを知ったとき、もうダメだとわかった」
オーストラリアでの開幕戦で起こしたつらいクラッシュからの回復を振り返るハジャーからは、情熱が光り輝いていた。
「これはレースに対する愛だ。僕は本当にレースが好きなので、すべてを捧げている」
「だからこそ、メルボルンのような厳しい状況でも落ち込むことはない。僕はドライビングとベストを尽くすことが大好きだ」
次戦の第6戦マイアミGPに向けて、ハジャーのレースへの情熱と、ローソンの復活への渇望は、フィールドとガレージの両方でさらにスリリングな戦いが繰り広げられることを約束している。