複数の電子機器問題に対処しながら2位を維持したラッセルの走り。マクラーレンを脅かすか【トップチーム密着:メルセデス編】
マクラーレンのオスカー・ピアストリが2位のジョージ・ラッセル(メルセデス)に15秒以上の差をつけてポール・トゥ・ウインを飾った2025年F1第4戦バーレーンGP。3位には正しいポジションからスタートしていなかったとして、レース中に5秒ペナルティを受けていたランド・ノリスがラッセルから約1秒差で続いた。その結果だけを見れば、マクラーレンの圧勝劇のように思えるレースだが、じつはラッセルは手負いのマシンで掴み取った2位だった。
このレースでラッセルは、数多くの電気系トラブルに悩まされていた。そのひとつがDRSのトラブルだった。レース中、ラッセルは誤ってDRSを作動させてしまい、レース後に調査を受けたが、作動後にすぐにフラップを閉じてスロットルを戻していたため、処分は科されなかった。
DRS以外にもマシンの走行位置を確認するトランスポンダーにも問題が発生していた。レース中、コントロールラインを通過するラッセルを確認することができず、タイミングモニター上でラッセルが最下位へ転落するなど混乱も生じた。
さらにブレーキ・バイ・ワイヤの問題とその他の電子機器の問題にもラッセル車は直面していた。チームはすぐにはこれらの問題を解決できなかったが、ステアリング上のスイッチを用いてリセットすることで解決する方法を見つけ、無線でラッセルに伝えて、ポジションを失わずに済んだ。
トト・ウォルフ代表は「原因はまだわからない。マシンの配線に問題があったのかもしれないし、F1のシステム障害が引き金になって、我々のシステムに影響したのかもしれない」と語った上で、次のようにラッセルの冷静な対応を称賛した。
「コーナーごとにブレーキ・バイ・ワイヤが機能したりしなかったりする状況を想像してみてほしい。ジョージが今日披露したスキルは2位以上の価値のある素晴らしいものだった」
チームメイトのアンドレア・キミ・アントネッリは、5番手からスタートしながら11位に終わった。しかし、この結果も実力を反映したものではない。アントネッリは2回目のピットストップでソフトタイヤに交換したが、その直後にセーフティカーが導入された。セーフティカーが導入される直前に2回目のピットストップを行ったドライバーはアントネッリを含めて7名いたが、アントネッリだけソフトだった。そのため、ソフトでは最後まで持たないと考えたチームは、セーフティカー導入時にもう一度ピットインさせ、より新しいソフトタイヤに交換した。
しかし、終わってみれば、ステイアウトさせても問題はなかっただろう。それでも、アントネッリはポジティブなこともあったと無得点に終わったバーレーンGPを悲観していない。
「課題だった予選でのペースが向上したことはポジティブ。ジェッダ(サウジアラビアGP)では、予選でさらに上を目指し、今度こそレースでいい結果を手にしたい」
マクラーレンの速さは揺るぎないが、バーレーンGPのように特定のサーキットではメルセデスが脅威になるかもしれない。