【角田裕毅F1第3戦分析】母国入賞は叶わずも、今後に向け自信を深めた鈴鹿「毎周違うことが起きてマシンの理解が進んだ」
2025年F1第3戦日本GPの土曜日の予選後、予選12番手だったウイリアムズのカルロス・サインツがフェラーリのルイス・ハミルトンのアタックを妨害したとして、3グリッド降格ペナルティを受けて15番グリッドとなったため、予選15番手だった角田裕毅(レッドブル)はひとつ上がって14番手から日曜日のレースをスタートすることになった。
レースは事前の予報で雨の可能性もあったが、雨はレース前に上がり、路面もほとんど乾いたなかで全車ドライタイヤでスタートが切られた。
スタート直後の1、2コーナーで13番手からスタートしたリアム・ローソン(レーシングブルズ)とサイド・バイ・サイドとなった角田だが、角田がとったイン側は「路面が少し濡れていたし、外側の方が有利だったので、リスクを考えて」敢えて無理に抜きにかからなかった。
しかし、ヘアピンの立ち上がりでローソンが失速したのを見逃さなかった。「特に何も考えず、自然な駆け引き」の末に、スプーンでズバっとインを差して、早々にひとつポジションを上げた。
しかし、ここからが厳しかった。
「鈴鹿であの順位(14番手スタート)からポイント圏内へ上がるのが難しいことはわかっていた」という角田には、もうひとつこのレースが厳しくなるだろうとレース前に覚悟していたことがあった。それは「今回のセットアップが雨寄りだった」(角田)ことだ。そのため、第1スティントではピエール・ガスリー(アルピーヌ)に、第2スティントではフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)に迫りながら、ストレートでなかなかオーバーテイクできなかった。
それでも、「ポイントを獲得できるシチュエーションが来ることを願っていた」という角田だったが、その後も天候に変化はなく、さらにレース中にアクシデントも起きず、淡々と進行。この結果、角田はピットストップのタイミングでポジションを上げただけにとどまり、12位でチェッカーフラッグを受けた。
レースを終えた角田は複雑な心境だった。
「初めてレッドブルのクルマで53周のレースをして、毎周毎周違うことが起きて、いろいろなことを学ぶことができて、クルマを理解する点ではかなり進められたので今後へ自信を深めることができました」
その一方で、応援してくれたファンに、入賞というプレゼントを贈ることができなった。
「やっぱりホームグランプリなのでポイントを獲りたかったです。与えられた時間のなかで最善は尽くせたと思いますが、一年に一度のホームグランプリで、トップ10を狙っていただけに残念です」
ただ、昨年の10万2000人から11万5000人へと増加した日曜日のスタンドを見て、思いを強くしていた。
「日本GPの前のファンフォーラムなどのイベントから多くのファンが応援してくれて、今日も毎周毎周声援を送ってくれて、ものすごくエネルギーになりました。日本でのF1の注目度が確実に上がっていることを感じた1週間でした。この勢いを無駄にせず、次こそはトップ10だけでなく、もっといい状態で来て、もっと上を目指したい」
その思いは多くの日本のファンも同じだろう。