フェルスタッペンの圧勝にホンダ/HRC渡辺社長「見ていて本当に感動した」。レッドブル角田裕毅の初レースにも言及
2025年F1第3戦日本GPの決勝で見事、ポール・トゥ・ウインで優勝を果たしたレッドブルのマックス・フェルスタッペン。レッドブルとホンダのタッグの最終年の母国グランプリ、鈴鹿サーキットで当初の劣勢を覆しての圧勝に、HRC(ホンダ・レーシング)の渡辺康治社長も喜びの表情を見せた。その渡辺社長にレース後、レッドブルに移籍した初戦の角田裕毅の感想と共に聞いた。
当初はマクラーレン勢が優勝候補に上がっていた今回の鈴鹿での日本GP。その予想を覆して、レッドブルの4連覇中のチャンピオン、フェルスタッペンが意地の走りで今季初優勝をホンダの母国で達成。フェルスタッペンは今回の勝利で、鈴鹿4連勝となった。
「すべてが完璧な走りで、彼の鈴鹿での4連勝を達成してくれた。我々とレッドブルのパートナーシップの最後の鈴鹿で、このように優勝を飾ってくれたことにはもう、本当に心から嬉しいですし、心から感謝しています。本当に彼と一緒に仕事ができたこのパートナーシップは我々にとっての貴重な財産だと思います」
予選での最後のQ3のアタック、そして今日のレースとフェルスタッペンの能力の高さを改めて感じさせる週末となった。
「そうですね。本当に技術、ドライビングスキルもさることながら、やはり気持ちで走っているように見えましたし、彼はやはりホンダとの最後の鈴鹿ということをすごく思っていてくれて、最初から思ってくれたので、やっぱりその気持ちが走りにも現れているなと思いました。我々も見ていて本当に感動しましたし、本当にすごいなと思いましたね」
角田裕毅選手も移籍後、まずはしっかりとレースを走り切った。
「上出来じゃないですかね。フリー走行の時からいろいろ走行時間が(赤旗で)なくなったり、決勝までいろいろあった中で言うと、しっかりとレースを走り切ってくれたし、これが、これからの彼の残りのシーズンにつながっていくし、今シーズン中の表彰台を期待しています」
レース前には角田選手にどのような声をかけたのか?
「あの、『落ち着いてね』って言った自分も落ち着いてないかったです(笑)。本当にね、久しぶりに自分がドキドキしているので、なんか『自分のドキドキが移っちゃったらどうしよう』と思ったのですけど、落ち着いた走りをしてくれたのでよかったです」
改めてレーシングドライバーとしての角田裕毅選手の強みはどのような部分だと感じているのか。
「僕はやはり、彼の意志の強さはすごいなと思っています。最初から『ワールドチャンピオンになりたい』と言葉に出して、そして努力して結果を出していく、その有言実行の姿勢というのは本当に素晴らしいと思います。我々の会社でも『能ある鷹は爪を出せ』という言葉があるのですけど、その能力をきちんと実行していくところが彼の1番優れいるところだと思います」
「あとコミュニケーション能力も高いですよね。今回、新しくレッドブルのチームで新しいスタッフたちとの仕事もやっぱり、しっかりとコミュニケーションよくこなしているというのは心強いですし、それがいい結果につながっているのだと思います」
今回の鈴鹿の木曜のFIA会見ではリラックスした角田はユーモアはたっぷりに返答し、海外ジャーナリストたちを沸かせた。
「そうですよね(笑)。本当にこれまでの日本人ドライバーの従来の枠を超えた、スーパースターになれるんじゃないかと期待しています」
そして今回の鈴鹿は2009年の日本GP再開後、記録となる26万6000人の観客が訪れた。
「本当にこんなに多くの方々に見に来て頂いて、おそらくたくさんの新しいお客様が増えていると思いますので、これから我々ホンダとしてもF1をもっと頑張っていきたいですし、それによって日本のF1ファンも、もっと増えていくことを期待しています」
ホンダ/HRCの来年の鈴鹿では、違うチーム(アストンマーティン)とのタッグでの戦いになる。
「来年の我々はまた新たなチャレンジをする年ですので、それはそれでしっかりと結果を出せるように頑張っていきたいと思います。ただ、今度はレッドブルは敵になるわけですからね。非常に強いライバルがいるので、レッドブルが恐れるようなチームに、いつかはなっていきたいなと思います」
フェルスタッペンのポール・トゥ・ウインを含めて、ホンダ/HRCとして今回の日本GP、鈴鹿は満足な結果と言えるのだろうか。
「全体的には満足な展開だと思います。角田裕毅のポテンシャルも確認できたので、これからの活躍が期待できるなと思いました」
今回の鈴鹿の翌週には第4戦バーレーンGP、そして第5戦サウジアラビアGPと3連戦の始まりでもある。まさにレッドブルと角田裕毅のレースが始まったばかりで、フェルスタッペンも今季初優勝を挙げたばかり。今回の鈴鹿がレッドブル、ホンダ/HRC、そして角田裕毅のこれからの大きなターニングポイントとして記憶されることになるのかもしれない。