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レッドブルのピーキーなマシンでペレスと同じ困難に直面したローソン/スペイン人ライターのF1コラム
レッドブルのマシンで苦戦し第3戦日本GPで角田裕毅との交代が発表されたリアム・ローソン。レッドブルにいったいどんな問題が起きていたのだろうか。スペイン在住のフリーライター、アレックス・ガルシアが2025年シーズンの開幕2戦を語る。
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2025年シーズンのF1世界選手権第2戦中国GPで見てきたことを考えると、マクラーレンと彼らが今年も明らかに栄誉を獲得する最有力候補であること、もしくはオスカー・ピアストリと彼がタイトル候補になるかもしれない可能性、あるいはルイス・ハミルトンが上海のスプリントレースですでに1度首位でチェッカーフラッグを受けたにもかかわらず、フェラーリが苦境に立たされていることなどに話題は集中するはずだ。しかし、今シーズンの大きな話題はそれらのどれでもない。それよりも、レッドブルとリアム・ローソンに何が起こっているかということだろう。
本稿執筆時点ではまだ公式発表はないが、数日以内にレッドブルが日本GPに向け、リアム・ローソンと角田裕毅の交代を発表するはずだと聞いている(注:3/27に角田裕毅のレッドブル移籍が正式発表された)誰に聞くかによって違うが、これはホンダと角田にとって恩恵なのかもしれないし、日本人ドライバーが2台目のRB21でどのように活躍するかを見るためのテストなのかもしれない。あるいは今年の残りの期間に向けた決定的な変更なのかもしれない。残念ながら、それが起こるまで、他に言うべきことはあまりないが、否定できない事実は、ローソンがこれまでのところ、どのレッドブル・レーシングのドライバーよりも苦戦してきたということだ。
■regist■レース結果の点では、ローソンの今シーズンのスタートは、2014年にダニエル・リカルドがチームに加入したときと、その5年前にセバスチャン・ベッテルが加入したときとしか比較できない。しかし、どちらの場合もパフォーマンスは明らかに優れていたが、ローソンの場合はそうではなかった。マックス・フェルスタッペンの新しいチームメイトはQ1を突破できず、中国での予選2回とも最下位のドライバーになるなど、ほとんど理解しがたいほどの低調ぶりを見せた。フェルスタッペンのパフォーマンスを考えれば、レッドブルが心配するのも無理はない。
昨年、チームはセルジオ・ペレスを“1年は長すぎた”と感じられるほどチームに留めたことで、多くの批判を浴びた。わずか数カ月後、ローソンの問題はすでに困難であった状況に多くの背景を加えることになったようだ。そして、リカルド以降、フェルスタッペンのチームメイトとして優れたパフォーマンスを発揮できたドライバーがいないことを考えると、これはおそらくドライバーの問題ではなく、チームの問題である可能性が高い。
MotoGPでホンダに所属していたマルク・マルケスの状況を思い出さずにはいられない。彼の驚異的な才能のせいで、彼のために作られたバイクから他のチームメイトがパフォーマンスを引き出して運転することは不可能だった。
バイクは十分速かったので、すべては順調だった。チームが技術的な方向性を誤った瞬間に、それをすぐに修正することは不可能になった。その点では、他のライダーは役に立たなかったも同然だった。レッドブルも非常に似た感じだ。
フェルスタッペンのドライビングの正確さは有名であり、他のドライバーができない方法でマシンを限界のところで維持することができる。これは、ドライバーはパフォーマンス不足を補うことはできるが、勝てるマシンの開発を主導することはまったくできないという、フェラーリでのジャン・アレジやウイリアムズでのナイジェル・マンセルと同じ状況なのかと考えずにはいられない。
そして、エイドリアン・ニューウェイもレッドブルを去ったことを忘れてはならない。彼の魔法の手はなく、ふたたび勝利の道に戻るというフェルスタッペンのニーズを解釈できる人間は誰もいないのかもしれない。つまり、角田裕毅が最終的に選ばれ、レッドブル・レーシングのドライバーとして日本GPに参戦することになったとしても、非常に難しいマシンで苦戦することになる可能性は十分にあるということだ。
あるいは、彼のドライビングスタイルがフェルスタッペンに似たものになり、彼は活躍できるのかもしれない。確かに、それはチームが望んでいることだ。しかし、見事なパフォーマンスを見せている角田が、レッドブルの2台目のマシンのあらゆる問題をすぐに解決することを期待するのは、おそらく非現実的だろう。そうなれば素晴らしい筋書きになるとしてもだ。
こうしたことのすべてが、今シーズンのもうひとつの素晴らしいストーリーを覆い隠している。今のところ、マクラーレンが今年最初の2グランプリで勝利を収め、ドライバーそれぞれが1回ずつ優勝を飾ったのだ。ランド・ノリスはオーストラリアで勝利を飾り、もちろん私たち全員が期待していたとおりの結果を残したが、オスカー・ピアストリは中国で最高の姿を見せた。落ち着きがあり、冷静で、動揺がない。
大胆なチームメイトよりも物事をずっとコントロールしている、チャンピオンの態度だ。今後はマクラーレンが優勝候補となることは明らかであり、どちらのドライバーもタイトルを獲得できる可能性があるので、ウォーキングのクルーがチーム内のバトルをうまくコントロールすることが重要になるだろう。
しかし、他のチームが反応し、タイトル争いに加わるのにまだ十分な時間があることを覚えておくのも重要だ。昨年マクラーレン自身が証明したように、レッドブル、フェラーリ、メルセデスはまだタイトルを争うことができる。彼らは最初の5レースのうち、表彰台に上ったのは2回にすぎなかったが、マイアミでの最初の勝利で状況は一変した。
そのため、“パパイヤ・モービルズ”にとって今年は楽な年になるだろうと想定したくなるが、まだサプライズがある可能性もあるので、少なくとも第7戦エミリア・ロマーニャGPのイモラまでは待つことにしよう。その時点なら、状況をもう少し読み取りやすくなるはずだ。
とは言うものの、2025年シーズンには、私たちに明かされるはずの物語がまだたくさんある。
2024年後半、ウイリアムズでローガン・サージェントの後任としてF1デビューし、今年はアルピーヌのリザーブドライバーを務めているフランコ・コラピントはどうなるのだろうか? アレクサンダー・アルボンがカルロス・サインツを明らかに上回るなど、ウイリアムズの冬季中の驚くべき進歩についてはどうだろうか? メルセデスのアンドレア・キミ・アントネッリは、デビューシーズンで初勝利を収められるだろうか? 気になる点はいくつもあるが、今は熟練ドライバーが報われるコースである鈴鹿に行く時だ。これらの物語はすべて、日本で素晴しい新たな章を迎えることになるはずだ。私は待ち切れない!!