
【】37年間ザウバーF1と世界中を転戦したツェンダー、開幕2戦は代表業務を代行。今後はファクトリーでチームを支援
4月1日
2025年3月31日の月曜日は、ザウバーにとってある時代の終わりを告げる日となった。チームに最も長く在籍したメンバーが現場を退き、今後すべてのグランプリに行くことはなくなるのだ。
新チーム代表のジョナサン・ウィートリーが4月1日の火曜日にヒンウィルで仕事を開始する一方で、59歳のベアト・ツェンダーがチームのスポーティングディレクターを退任し、レースチームから離れる。スイス出身のツェンダーは、シグネチャープログラム兼オペレーション担当ディレクターに就任し、今後はファクトリー勤務となるが、チームとそのパートナーのための特別な機会があれば、グランプリに赴くことになる。

ツェンダーがザウバーに加わったのは約40年前のことで、チームがスポーツカー世界選手権で勝ち進み、創設者のペーター・ザウバーがメルセデスとの関係構築に懸命に取り組んでいた頃だった。メカニックとしてチームに加わったツェンダーは、F1にいたるまでずっとチームに所属し、1993年にザウバーがカール・ヴェンドリンガーとJJレートを擁して2台のクルマを世界選手権に出場させた際に、チームの初代チーフメカニックを務めた。
1年後、ツェンダーはチームマネージャーとなり、すべてのロジスティクスを担当した。彼はその勤勉さから昇進を続け、2009年末にペーター・ザウバーがBMWからチームを買い戻した後はスポーティングディレクターとなり、今日までその役職を務めてきた。
今シーズンの最初の2回のグランプリでは、ウィートリーがレッドブルのガーデニング休暇を取らなければならず、元チーム代表のアレッサンドロ・アルンニ・ブラビもマクラーレンに移籍したため、ツェンダーが実際に現場でリーダーとなり、ピットウォールから作戦を指揮し、通常はチーム代表が担当するメディア関連の任務をすべて遂行した。これは、パドックでザウバーの精神を代表する人物に対する、新経営陣からの素晴らしい送別プレゼントだった。
ツェンダーは、スイスのメディアに次のように語った。
「ウィートリーが来ることは我々全員にとって嬉しいことだが、571レースを終えた今、もはや私が指揮することはないだろう。それでも、私がバックグラウンドでタスクを完了し続けることに間違いはない」
「私は37年間ザウバーのために旅をしてきたが、これで終わりだ。しかし、イモラを逃すつもりはない。チームが600回目のグランプリを祝うからだ。1993年に私が南アフリカに行ったとき、誰がそんなことを想像しただろうか?」
ツェンダーがザウバー以外の会社で働くことは考えにくいが、パドックにはF1のレースコントロールに彼が携わることを望んでいる人々も何人かいる。なぜなら、彼のスポーティングレギュレーションに関する知識と、どんな状況でも前例を思い出せる伝説的な記憶力は他に類を見ないものであり、FIAで大いに活用できる可能性があるからだ。

(Text : GrandPrix.com)