ポール狙いから一転、ライバルの後塵を拝す結果に「本来の実力を反映できていない」【トップチーム密着:フェラーリ編】
2025年のF1がオーストラリア・メルボルンで開幕した。その初日、タイミングシートのトップに立ったのはフェラーリのシャルル・ルクレールだった。
「マシンのフィーリングはよく、コース上での初日の作業は順調だった。バランスに関してはまだ改善の余地があるけど、これは僕だけじゃない。なぜなら、2025年のマシンでのセットアップはバーレーンで3日間テストをしただけなので、限界を見極めるにはまだやらなければならないことがあるからだ。だから、今日の結果がすべてを表しているわけではない。各チームのペースについては、結論を出すにはまだ早すぎる。それは予選まで待ちたい。ただ、僕たちが今日やりたいことはできたし、いまのところいい感じだったことは確かだ。土曜日はポールポジションを目指したい」
2019年からフェラーリドライバーとなり、今年で7年目のシーズンを跳ね馬とともに戦うルクレールでも、新車を習熟するには一定の時間を要する。
そのフェラーリに今年、ルイス・ハミルトンが移籍してきた。開幕戦の地、メルボルンでハミルトンは「シーズン前半戦では、まずチームとの信頼関係を構築することが目標だ」と語った。
ミハエル・シューマッハーと並んで史上最多タイの7度チャンピオンに輝いたハミルトン。そのキャリアはマクラーレンで6年間、そしてメルセデスで12年間と、いずれもイギリスにファクトリーがあるチームでのものだった。イギリス以外にファクトリーがあるチームで仕事をするのは、F1にステップアップしてから初めてとなる。
エンジニアたちがミーティングで話す言葉はハミルトンの母国語である英語だが、セットアップを行うときに使用する言葉は普段の会話とは異なるエンジニアリング用語となり、それはチームによって微妙に違う。ハミルトンが少しだけオーバーステアを感じたときに語る「ちょっと」は、メルセデスとフェラーリでは異なる場合がある。その「ちょっと」をデータと見比べて、フェラーリのエンジニアが理解するまでには時間がかかる。
ハミルトンがシーズン前半戦を通じてチームやスタッフたちと信頼関係を築きたいと語ったのは、そういうことだと考えられる。
このハミルトンの姿勢は開幕戦が始まっても変わりなかった。
「すべてが長年慣れ親しんできたものとはまったく異なる。新しいマシンを理解し、チームに慣れるための学習の日はまだまだ続く。でも、それが挑戦であり、僕はそれを受け入れている」
フェラーリでの最初の予選で、ハミルトンは8番手に終わった。ハミルトンが新しいチームでの初戦の予選でチームメイトにアウトクオリファイされるのは、F1にデビューした2007年以来のことだった。
そのハミルトンを上回ったルクレールだが、土曜日になってバランスに苦戦し、すべてをまとめ上げるのに苦労し角田裕毅(レーシング・ブルズ)とアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)の後塵を拝して7番手にとどまった。
フレデリック・バスール代表は予選後、こう総括した。
「もちろん、今日の予選結果に満足しているわけではない。Q1とQ2では、マクラーレン勢にコンマ1〜2秒差と、それほど悪くない走りができていた。でも、Q3でライバルたちと同じペースで走ることができなかった。本来の実力を反映できていない。これからも、SF-25の性能を最大限に引き出すことに集中したい」