縁石やバンプでの課題は残ったまま。開幕戦では「勝利を争えるとは思えない」とフェルスタッペン
現F1世界チャンピオンのマックス・フェルスタッペンは、メルボルンで開催されるF1開幕戦オーストラリアGPで、レッドブルが優勝を争えるかどうか深刻な疑問を投げかけた。
先週、レッドブルのテクニカルディレクターを務めるピエール・ワシェは、バーレーンで行われた3日間のプレシーズンテストが期待していたほどスムーズに進まなかったと語った。テスト最終日にフェルスタッペンが記録した2番手のラップは、レッドブルの2025年型マシン『RB21』の潜在能力を示唆するものだったが、ワシェはチームが新たな挑戦のなかで初期的な問題に直面したことを認めた。
『Viaplay』のイベントでオランダのメディアに話をしたフェルスタッペンは、トップ集団のライバルであるマクラーレン、フェラーリ、メルセデスと比べてレッドブルの見通しは暗いと発言した。
「ただでさえメルボルンで勝利を争えるとは思えない」
しかしフェルスタッペンは、「メルボルンでは、バーレーンよりもRB21のすべてを少しだけうまくセットアップできるかもしれない」と一筋の希望を示した。それでもこの慎重な楽観主義は、チームの現在の調子についてフェルスタッペンが抱いている全面的な不安を隠すのにはほとんど役立っていない。
2025年の世界タイトルを争う候補について尋ねられたフェルスタッペンは、ためらうことなくマクラーレンを一番に倒すべきチームとして挙げた。
「現時点ではひとつだけ、そのチームはオレンジだ! もちろん、それはとても素敵な色だが、僕たちの側としては、まだやるべきことが残っている」
「他のチームも同様に改善を望んでいると思うが、現時点では明らかにひとつのチームがリードしている」
「ラップタイムを見ると、マクラーレンが優勝候補だと思う。僕たちの方では、すべてが完全にスムーズに進んだわけではないが、一方で、改善方法についてはいくつかアイデアがある」
この序列の変化は、レッドブルが過去数シーズンにわたって優勢だった状況とは完全に対照的だ。2024年を通してマクラーレンは躍進し、フェラーリとメルセデスは一貫した脅威としてその地位を固めた。
低速コーナーでのアンダーステアと高速セクションでのオーバーステアというRB21の根強い問題は、昨年発生したハンドリングの悩みをレッドブルがいまだ完全に解決できていないことを示している。しかしながら、フェルスタッペンはある程度の進歩を認めた。
「バランスの面では、コーナーに進入するときやコーナーの途中でより一体感が増したように感じる」
「でもその一方で、縁石やバンプでの問題はまだ残っている。そうしたことが僕たちの強みではないことは明らかだし、僕はそのことを何度も言っている。必ずしも外部に向けて言う必要はないが、当然ながら会議中はそのことについて多くの話し合いをしている」
RB21に欠点があるにもかかわらず、フェルスタッペンはテスト中に新車が「昨年より悪くなることはない」と発言し、明るい兆しを見ていた。RB20のシーズン序盤の輝きには及ばないとしても、かすかな希望の光だ。F1サーカスがメルボルンに集結する際、フェルスタッペンとレッドブルが逆境を克服できるかどうかに注目が集まるだろう。
しかし今のところ、フェルスタッペンの率直な評価は、手に汗握るシーズン開幕の舞台を整えている。マクラーレンが状況を大いに活用し、レッドブルは態勢を立て直そうと奮闘するのだ。
フェルスタッペンの改善のアイデアが、流れを変えることができるかどうかはまだわからないが、ひとつはっきりしているのは、2025年の覇権争いはすでに激化しているということだ。