レッドブル&HRC密着:突貫工事でリヤウイングを修正。マシン性能を出し切っての予選5番手にフェルスタッペンも満足
F1第22戦ラスベガスGPの2日目、レッドブルが初日とは異なるリヤウイングを搭載してきた。
レッドブルのリヤウイングに関しては、初日のセッション後にヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)が、ラスベガスに適していないスペックを持ち込んでいることが原因という旨の発言をいくつかのメディアに語っていた。
「ライバルたちが使っているような小型のリヤウイングがあれば、もっと役立つだろうが、我々にはもうほかにリヤウイングがない」
マルコによれば、適していないリヤウイングのせいで、1周あたり0.5秒以上を失っているという。マックス・フェルスタッペンの初日のタイムを見ると、おもにタイムを失っているのは長いバックストレートがあるセクター3だ。
フェルスタッペンはこう嘆く。
「僕たちにはモンツァ・スペックのリヤウイングがないんだ」
今回、レッドブルがラスベガスに持ち込んだリヤウイングは、イタリアGPで使用したモンツァ・スペックに似たアッパーフラップの上端が波状のフォルムをしたローダウンフォース仕様だが、モンツァと同じスペックではなく、モンツァ・スペックよりもアッパーフラップの面積が大きい。そのため、モンツァ・スペックを持ち込んだライバルたちに比べてダウンフォースがつきすぎていたと考えられる。
しかし、レッドブルは予備のウイングを持ち込んでいなかったことから、現場でリヤウイングをモンツァ・スペックにモディファイするという突貫工事を行った。金曜日のフリー走行3回目に2台のマシンに搭載されていたリヤウイングは、リヤウイング上端がさらに削られた超ローダウンフォースタイプとなっていた。
このリヤウイングによって、フェルスタッペンは初日の17番手からフリー走行3回目で5番手まで浮上。チームメイトのセルジオ・ペレスも初日19番手からフリー走行3回目では13番手までポジションを回復した。
予選ではペレスがQ1で脱落したものの、フェルスタッペンはQ3に進出。Q3では5番手に終わるが、ドライバーズ選手権を争っているランド・ノリス(マクラーレン)の6番手を上回った。
フェルスタッペンはこの2日間をこう振り返る()。
「僕たちにとってはここまで厳しい週末となっているが、チームも僕もベストを尽くし、できる限りのことを最大限にやった。昨日よりもすべてがよくなっているし、変更したマシンの性能をすべてを出し切っての5番手には満足している」
現在、フェルスタッペンとノリスのドライバーズ選手権におけるポイント差は62点。ラスベガスGP後の残り2戦で獲得可能な最大ポイントは60点なので、ラスベガスGPを終えた時点でフェルスタッペンとノリスのポイントが60点差以上となっていれば、フェルスタッペンの4連覇が確定する。
チームが犯したリヤウイングの選択ミスを補って余りあるこの日の走りは、4連覇を前にあらためてフェルスタッペンが卓越した技術と強い精神力を持ったドライバーだということを知らしめるに十分なパフォーマンスだった。