レッドブル&HRC密着:フロントタイヤへの熱入れを苦手にするRB20。弱点が露呈し初日は2台とも下位に沈む
F1第22戦ラスベガスGPの初日、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)は17番手に終わった。フェルスタッペンが初日に下位に沈むのは、第18戦シンガポールGPの15番手以来のことだ。マリーナベイ市街地サーキットはバンピーな路面に弱いレッドブルのマシンが不得手としているサーキットで、2023年に唯一勝利を逃した場所でもある。ラスベガス・ストリップ・サーキットも市街地コースなので、その弱点が浮き彫りになったのかもしれない。
ただし、原因はそれだけではないかもしれない。フェルスタッペンはこう語る。
「今日はコースが本当に滑りやすかった。特に一発のタイムアタックではタイヤをうまく機能させるのに苦労し、ペースもかなり遅かったと思う。問題は間違いなくタイヤに関連しており、グリップがなく、氷の上を走っているような感じだった」
一般道を閉鎖したコースは路面のミュー(摩擦係数)が小さく、かつ埃っぽいため、滑りやすい。さらに今年は昨年以上の低温で、フリー走行2回目では気温10度、路面温度13度でウインターテストよりも寒かった。
さらにラスベガス・ストリップ・サーキットはストレートを低速コーナーでつないだレイアウトになっているため、フロントタイヤに熱を入れづらいことも、フェルスタッペンが「氷の上を走っている」ように感じた要因だった。
これはレッドブルだけでなく、多かれ少なかれ、多くのドライバーが悩まされたことで、フロントタイヤにグレイニング(ささくれ摩耗)ができ、アンダーステアに悩まされていた。
ただし、今年のレッドブルのマシンであるRB20はフロントタイヤへの熱入れを特に不得意としているようで、第16戦イタリアGPでも初日は14番手に終わっていた。ストレート区間が多いラスベガスGPの空力パッケージはリヤウイングをできるだけ寝かせる仕様となっている。
しかし、イタリアGPの舞台であるモンツァにはない低速区間が、このラスベガスにはいくつもあるため、チーム関係者の多くが「ラスベガスはモンツァ仕様でモナコを走るようなグランプリ」とラスベガスのコースの独特さを表する。
つまり、ラスベガスGPはレッドブルにとって、RB20の弱点をすべてさらすことになる最悪の舞台ともいえる。
ドライバーズチャンピオンに王手をかけた一戦となるラスベガスGPで、ここからどう盛り返すことができるのか。チャンピオンに相応しい戦いを見せてほしい。