2024.11.22

F1第22戦水曜会見:レースディレクター交代は「知らなかった」と驚くラッセル。一方で対話を続ける意思も明かす


2024年F1第22戦ラスベガスGP FIA会見 ジョージ・ラッセル(メルセデス)
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 マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が、劇的勝利を収めた3週間前のF1第21戦サンパウロGP。6位に終わったランド・ノリス(マクラーレン)は、自力でのタイトル獲得の可能性はほぼ消滅し、早ければ今週末の第22戦ラスベガスGPでフェルスタッペンの4連覇が決まる。そんな状況を、ノリスはどう感じているのだろう。

Q:ブラジルではポールポジションを獲得しながら、残念な結果に終わりました。今週末のラスベガスにはどんな心構えで臨むつもりですか。
ノリス:本当にタフなレースだった。あのあと僕は、自分が選手権首位を奪うことが現実的に非常に難しくなったことを思い知らされた。決して調子は悪くなかった。僕自身のパフォーマンスはよかったし、いい仕事をしていた。少しずつ、着実に、差を詰めていけていたんだ。それがブラジルで、すべてがひっくり返ってしまった。今後マックスから大量のポイントを奪うことは難しいだろう。サンパウロ後の1週間は、本当に厳しい日々だったよ。

Q:ブラジルでは、確かに運が悪かったです。カナダも同じでした。一方でマイアミでは、運がよかったと思います。運、不運ということを強く考えますか? あるいはただ起こったこととして、受け入れるしかないと思っていますか?
ノリス:受け入れることを学ばないとね。ブラジルの結果がとりわけタフになったのは、ふたつの要因からだと思う。ひとつは、あれがシーズン終盤に起きたことだ。もしシーズン序盤だったら、「まあ仕方がない、あとでどうなるか見守ろう」と思えたはずだ。でも実際には、タイトル争いの決定的な瞬間になってしまった。扉はほぼ閉ざされたんだ。希望や信念が大きかったときに、突然打ち砕かれるのはとてもつらい。かなり意気消沈したよ。でもそれがレースだし、人生だ。不運に見舞われても、僕は不満を言ったことはない。

 サンパウロGP後1週間は、かなり落ち込んだというノリス。しかし今は、たとえ今週末がどんな結果になろうとも受け入れる。そんな吹っ切れた感じが、表情や物言いから感じられた。

ランド・ノリス(マクラーレン)
2024年F1第22戦ラスベガスGP FIA会見 ランド・ノリス(マクラーレン)

 ラスベガスGP開催前には、F1レースディレクターが突如解任される事件も起きた。シーズン終了後ならともかく、まだ3戦を残しての突然の交代は異例中の異例だ。しかもドライバーたちには事前に一切通告がなかったと、ジョージ・ラッセル(メルセデス)がこの会見で暴露した。

Q:FIAはレースディレクターのニールス・ヴィティヒを解任しました。GPDAはこれについて事前に知っていたのでしょうか? 残り3レースの時点で新しいレースディレクターが就任したことについて、特に今週末のラスベガスのようなストリートレースでは、予想外の問題が山ほど発生する可能性があると心配しているのでは?
ラッセル:(解任は)まったく知らなかったよ。誰もが驚いたんじゃないかな。もちろん新しいレースディレクターには、ものすごいプレッシャーがかかるはずだ。でも何より僕たちドライバーは、こんな大事な情報を事後に知らされたことがショックだよ。

ニールス・ヴィティヒ
F1のレースディレクターを務めたニールス・ヴィティヒ

Q:一方でGPDAはFIA、特にモハメド・ビン・スライエム会長に対して、厳しい声明を出しました。その厳しさは、私が予想していたよりも強いものでした。ドライバー全員の思いを反映しているのでしょうか?

 この質問について補足説明すると、スライエム会長がドライバーたちに「レース週末での言葉遣いに気をつけるように」というお達しを出したことに、彼らは強く反発。「ドライバーを大人として扱ってほしい」と強く求めたのだった。さらに彼らは、ドライバーから徴収した罰金の使途が不明朗だと批判している。

 ラッセルが以下で述べている「今年起こったいくつかの出来事」とは、シンガポールの木曜会見でフェルスタッペンが卑語を使ったことで社会奉仕活動を命じられたこと、そしてメキシコのレース後会見で汚い言葉を使ったシャルル・ルクレール(フェラーリ)が1万ドルの罰金を課されたことを指すと思われる。

ラッセル:今年起こったいくつかの出来事で、僕たちは団結したいと強く感じたということだ。FIAには透明性を保ってもらいたいし、何より対話を続けたい。ニールスの退任も、こうした対話に参加していないことの好例だと思う。僕たちはただ、愛するこのスポーツのために最善を尽くしたい。そのためにFIAと協力したい。それだけなんだ。

Q:あなたとGPDA会員ドライバーたちは、レースディレクターの交代が必要だと考えていましたか?
ラッセル:ニールスが下した決定に関して、一部の人が満足していなかったことは秘密ではないと思う。でも僕たちがFIAと緊密に協力できていれば、問題の改善に貢献できたと思う。単純に解雇するだけでは、決して解決にならないはずだ。

Q:レースディレクターの交代が近づいている、あるいは検討されていることは知らなかったと。
ラッセル:まったく知らなかった。なのでさっきも言ったように、驚いたんだ。

Q:GPDAの声明に対し、FIAや会長から何か反応はありましたか?
ラッセル:今のところはない。そのことにも、正直言ってちょっと驚いているよ。

2024年F1第22戦ラスベガスGP FIA会見
2024年F1第22戦ラスベガスGP FIA会見 左からケビン・マグヌッセン(ハース)、ジョージ・ラッセル(メルセデス)、エステバン・オコン(アルピーヌ)

Q:ケビンとエステバンは、ニールスの退任についてどう思っていますか。彼のこれまでの仕事の進め方に、どの程度満足していたのでしょう?
ケビン・マグヌッセン:シーズン中のいきなりの交代は、新任のレースディレクターには大変なことだと思う。F2やF3の経験があるので、ある程度は大丈夫とは思うけどね。一方で僕たちはどうしても、チャーリー・ホワイティングの時代と比較する傾向がある。チャーリーは常に、僕たちドライバーに耳を傾けてくれている。そう感じられた人だった。でも今は、僕たちとFIAは対立している感じだ。お互いにもっと助け合えるはずなのにね。

エステバン・オコン:ストリートサーキットでいきなりレースディレクターの仕事を始めるのは、間違いなく簡単ではないだろうね。ただルイ(後任のルイ・マルケス)はちょうどマカオから来たばかりだからね。マカオはここより間違いなく厳しいサーキットだから、大丈夫かも。とにかくドライバーミーティングで彼に会って、仕事ぶりを見るのを楽しみにしているよ。とにかくルイとは、しっかりコミュニケーションをとりたいね。

 マグヌッセンのいうチャーリー・ホワイティングとは、20年以上にわたってF1レースディレクターを務めた人物で、厳しさと公平さを兼ね備え、どんな状況でも的確な判断を下してくれるとドライバーから全面的な信頼を得ていた。しかし2019年にチャーリーが急死してからは、レースディレクターが頻繁に交代する事態が続いている。それも含め、ドライバーたちとFIAの関係は今後改善されるだろうか。



(取材・まとめ 柴田久仁夫)

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