2024.10.30

【F1第20戦無線レビュー(2)】ふたつ目のペナルティに呆れるフェルスタッペン「もういい。本当にバカげてる」


2024年F1第20戦メキシコシティGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
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 2024年F1第20戦メキシコシティGP。後方からの追い上げを狙うセルジオ・ペレスは、リアム・ローソンとのバトルで接触し怒りを露わにしていた。一方、上位では首位を走るカルロス・サインツと2番手シャルル・ルクレールのフェラーリ勢が2週連続のワン・ツーフィニッシュに向けて走行していたが、ルクレールの背後にはランド・ノリスが迫っていた。メキシコシティGP後半を無線とともに振り返る。

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 メキシコシティGP決勝レースは、ポールシッターのカルロス・サインツ(フェラーリ)が、スタートでマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に首位を奪われたものの、序盤9周目に抜き返すことに成功。さらにシャルル・ルクレール(フェラーリ)もフェルスタッペン、ランド・ノリス(マクラーレン)を攻略し、2番手に。フェラーリのワン・ツー体制のまま、レースは進んで行った。

 後方ではセルジオ・ペレス(レッドブル)とリアム・ローソン(RB)が、激しい10番手争いを繰り広げた。迫るペレスにローソンが一歩も引かず、2台は接触。ペレスはサイドポンツーンにダメージを負ってしまう。

19周目
ペレス:あのバカ、何やってるんだ。大丈夫か?

 ローソンも負けじと、ペレスの非を訴える。

ローソン:あいつはマジか?
ピエール・アムラン:わかってる。今、(録画を)見直している。落ち着いていこう。

リアム・ローソン(RB)&セルジオ・ペレス(レッドブル)
2024年F1第20戦メキシコシティGP リアム・ローソン(RB)&セルジオ・ペレス(レッドブル)

 そしてフェルスタッペンには、ふたつ目のペナルティが下された。

20周目
ジャンピエロ・ランビアーゼ:マックス、もうひとつの10秒ペナルティだ。今度はターン8でコースを出ながら抜いていったという裁定だ。
フェルスタッペン:じゃあ、あいつのターン4はどうなんだ? ……もういい。ほんとにバカげてる。

マーカス・ダドリー:フェルスタッペンは20秒ペナルティだ。
ジョージ・ラッセル:わお!

フランコ・コラピント:20秒ペナルティ? いったい、何をやらかしたんだ?

 レース中盤の36周目、予選Q1落ちを喫して18番手スタートだったオスカー・ピアストリ(マクラーレン)は、果敢な追い抜きで6番手まで順位を上げていた。しかしトラフィックに前を阻まれ、そろそろタイヤも限界だった。

ピアストリ:僕を早くここから出してくれないか。

オスカー・ピアストリ(マクラーレン)
2024年F1第20戦メキシコシティGP オスカー・ピアストリ(マクラーレン)

 39周目にピットインしたピアストリは、最終的に8位入賞に終わった。

 サインツとフランコ・コラピント(ウイリアムズ)が相次いでパワーユニットやマシンの不具合を訴えるが、たいしたことはなかったようだ。

38周目
サインツ:ターン3で大きなミスファイアがあった。チェックしてくれ。

コラピント:ステアリングがおかしい。重かったり、軽くなったり。
ガエタン・イエゴ:了解した。

フランコ・コラピント(ウイリアムズ)
2024年F1第20戦メキシコシティGP フランコ・コラピント(ウイリアムズ)

41周目
フェルスタッペン:暗くなってるよ。
ランビアーゼ:何も(雨雲が)来る兆候はない。

43周目
ラッセル:バイザーに雨粒が少し当たった。
ダドリー:何も来てない。

 決勝レースでの降水確率は20%。路面は結局、終始完全ドライだった。

 フェルスタッペンは39周目に6番手まで順位を上げたが、ペースが伸びない。フェラーリやマクラーレンに比べ、明らかにロングランペースが劣っていた。

フェルスタッペン:グリップがない

49周目
ダドリー(→ラッセル):自由にレースしていい。

 4番手を走るラッセルに、ルイス・ハミルトン(メルセデス)が一気に1秒以内に差を詰めて来た。

ジョージ・ラッセル&ルイス・ハミルトン(メルセデス)
2024年F1第20戦メキシコシティGP ジョージ・ラッセル&ルイス・ハミルトン(メルセデス)

 一方フェラーリ勢は、首位のサインツとルクレールの差は6秒前後とかなり開いている。しかし1分20秒台後半のラップタイムは、サインツには速すぎると感じたようだ。

サインツ:僕が思うに、ちょっとプッシュし過ぎているんじゃないか。ここまでペースをあげて走る必要はないと思う。

 しかしルクレールの背後ではノリスが4秒以内まで迫っており、ルクレールとしてはペースを落とせない。

 ルクレールとノリスの差は、終盤61周目には1秒以内まで縮まった。そして63周目、ルクレールはターン12の立ち上がりで挙動を乱し、ノリスにかわされていった。

 3番手に後退したルクレールだが、4番手ハミルトンとの差は30秒以上あった。

65周目
ルクレール:ファステストを狙おう。

69周目
ヒュー・バード:ターン12にデブリだ。
ペレス:どこかのバカが、またクラッシュしたんだろう。
バード:あとでレースのハイライトを見直したらいい。
ペレス:いや、今見てる最中だよ。

 ペレスはコース脇のモニターを見ていたようだ。

 ルクレールがファステストラップを取りにいったのを見て、レッドブル陣営が阻止に動いた。

バード(→ペレス):ボックスだ。ファステストを取るんだ。

 しかしマシンにダメージを受けていたこともあり、ペレスは新品ソフトタイヤでもルクレールのタイムに及ばなかった。

 2戦連続ワン・ツーウインとはいかなかったが、サインツはまったく危なげない走りでキャリア4勝目を遂げた。

リカルド・アダミ:完璧なレース、完璧な週末だった。
サインツ:ありがとう。あ〜最高の気分だ。フォルツァ、フェラーリ! グラシアス、メヒコ!

ウィル・ジョゼフ:2位だ。よくやった。
ノリス:ふう〜。これ以上は無理だったね。いいレース、……面白いレースだった。

マーク・スレード:なんてレースだ。すごいぞ、ケブ!
ケビン・マグヌッセン:力強いレースだったね。
スレイド:今まででベストの運転に入るよ。最高だった。
マグヌッセン:クルマも素晴らしかった。

 好調ハースはヒュルケンベルグも9位に入り、ダブル入賞を果たした。

バード:最初の19周は最高だった。
ペレス:あのバカのせいでね。すごくいい感触だったのに。

 最下位に終わったペレスは、ローソンの運転がよほど腹に据えかねたのか。何度も“this idiot(あのバカ)”という表現を使っていた。



(取材・まとめ 柴田久仁夫)

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