2024.07.19

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F1予算制限の影響でエンジニアがチーム間を大移動


(c)XPB Images
 2025年のドライバー市場の動きは遅く、フェラーリのカルロス・サインツが来年どのチームに加入するか決めるのを3つのチームが待っている状況かもしれないが、エンジニアの方は大勢がチーム間を移動している。経費を予算制限下で維持する必要性が、技術者やチーム運営の方法にこうした変化をもたらす主な理由のひとつとなっている。

 財務レギュレーションの新たな現実がチームに影響を及ぼすまで、大多数のチームが優先していたのは同じ技術管理体制を長期間維持することだったし、それで結果が出ていた。安定が結果を生み出すということは、2021年末まで誰もが唱えてきたスローガンだった。その後新たな現実が浸透すると、チームは給与の高い従業員の一部を解雇する試みを始めた。レッドブルがロブ・マーシャルのマクラーレン移籍をすぐに受け入れたことは、その最もたるものだった。
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 当時、クリスチャン・ホーナーは次のように説明した。「チーム内では誰も支えることはできない。全員が陣営のなかで自分の居場所を確保しなければならないと思う。ロブは近年、他のプロジェクトに注力しているが、マクラーレンが出したオファーはおそらく彼らの予算上限の半分だろう! だから、彼がマクラーレンへ行ってその仕事をやりたがったからといって、責めることはできない」

 同時にホーナーは、大きく注目されたもうひとりの幹部離脱について説明し、次のように語った。「COOのジェイン・プールもそのなかのひとりだった。予算制限内での役割を正当化できなかったために、我々は彼女を余剰人員にしてしまった」

 プールは、シニアアドバイザーとしてメルセデスに加入した。予算制限の免除項目のひとつにあたると思われる非常勤のポジションだ。

 マーシャルとプールを手放すことで、レッドブルは12人の若いエンジニアを雇うことができたが、それは最近のすべてのチームの傾向となっている。最近、アルピーヌは30人の新しいエンジニアを一度に採用し、全員がオーストリアGPの後の月曜日にエンストンで紹介された。そのうち上級職に採用されたのは3人だけで、残りの27人は比較的若く、フランスのマニュファクチャラーにとっては安価な人材だった。

 フレデリック・バスールは次のように語った。「フェラーリでは通常、毎年80人から100人の新しいスタッフが加入していた。これは、他のF1チームに移ったり、スポーツから完全に離れたりする80人から100人のスタッフを補うためだ。現在、その数字はほぼ倍増している。なぜならチームが低コストで人材を雇おうとしているからだ」

「我々が彼らに与えるよりも少し多いお金とわずかによいポジションが提供されると、彼らは去ってしまう。そして我々も同じことをしている。高い給料を正当化できない人たちを去らせ、より若く、要求の少ない人たちを雇って彼らの代わりにしている。これは10チームすべてが関与するサークルなので、エンジニアの市場は以前よりもはるかに活発になっている」

 一部のライバルによると、アストンマーティンがその市場の主要なプレーヤーになっているという。彼らは予算制限内に留まりながらも非常に高い給与をオファーできているので、誰もがそのことに困惑している。しかし、予算制限が設けられた最初のシーズンの終わりに事務的なミスで罰金を科されたアストンマーティンは、FIAからバランスシートを承認されたので、他のチームは同じ武器で戦うことができるよう、ローレンス・ストロールの体制から学ばなければならないのは明らかだ。

(Grandprix.com/Translation: AKARAG)

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