2022.07.21
【F速プレミアム】
王者フェルスタッペンの戦い:『幸運と不運の帳尻』が起きてしまった2連戦。不測の事態でも最善の結果を残す
(c)Red Bull
F1第10戦イギリスGPと第11戦オーストリアGPでは優勝を逃してしまったマックス・フェルスタッペン(レッドブル)。チャンピオンシップポイントでシャルル・ルクレール(フェラーリ)に対し38ポイントの差をつけているものの、予想外の出来事もあり、これまでの連勝の勢いが弱まってしまった。いったい何が起きたのか。スイス在住のF1ジャーナリスト、マチアス・ブルナーがイギリスGPとオーストリアGPのレースを振り返る。
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24歳のF1ワールドチャンピオン、マックス・フェルスタッペンは、もう十分に成熟し、冷静で分別のあるドライバーだ。彼はこう確信している。「シーズン全体を通して見れば、幸運と不運は必ず帳尻が合うことになる。そして、状況はあっという間に変わりうる」
実際、今季ここまでの戦況は、その好例と言えるだろう。「シーズン開幕直後を思い出してみるといい。僕は最初の3レースで2度のリタイアを強いられた。その時点で、僕のタイトル防衛はもはや難しくなったと言い出す人もいたほどだ。ところが、それから夏へ向かう頃になると、僕は好調の波に乗り、逆にフェラーリのドライバーたちが不運に見舞われ始めた。だけど、僕は慎重な態度を忘れないように心がけてきた。遅かれ早かれ、また何かしら予想外の出来事があるだろうと思っているからね」
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シルバーストンでは、まさにその「予想外の出来事」が起きた。アルファタウリの角田裕毅とピエール・ガスリーの白熱したチームメイトバトルの末に、両者の接触でいくつかのパーツが飛び散り、リヤウイング翼端板の一部がマックスのクルマのフロアに引っかかったのである。
レッドブルのモータースポーツコンサルタント、ヘルムート・マルコはこう語っている。「本当にトリッキーだった。レース中に外から見た限りでは、何のダメージも見当たらなかった。だが、あとでクルマをチェックした段階で、マックスがどうしてあれほど苦戦したのか、ようやくその理由が判明した。フロアにダメージがあっただけではなく、(翼端板を拾ったために)クルマ全体の空力が機能しなくなっていたんだ」
それでもフェルスタッペンは果敢に戦い続け、手負いのマシンを7位でフィニッシュさせた。「こういうことが起きるのがF1というものだ。僕としては、どのグランプリでも最善の結果を残せるように努めるという、自分のモットーを守っただけだよ。それ以外のことは、自分でコントロールできるわけではないからね。そして、イギリスでは7位が最善の結果だった」
シルバーストンに集まった観衆の主なお目当ては、メルセデスのルイス・ハミルトンとチームメイトのジョージ・ラッセル、あるいはランド・ノリス(マクラーレン)だった。だが、レッドブル・リンクに舞台を移すと、観客席で多数派を占めるのは強大なオレンジ・アーミーに変わった。マックスを応援するためにオランダからやって来た、熱心で騒々しいパーティーアニマルたちである。
フェルスタッペンはキャリア通算16回目のポールポジションを獲得して、スプリントのスタートに臨んだ。そして、フェラーリのシャルル・ルクレールとカルロス・サインツの背後からの攻撃をしのぐと、その後は徐々に両者を引き離し、自身3度目(過去2回は2020年のシルバーストンと2022年のイモラ)のスプリントでの勝利を手にした。
マルコは言う。「最大のポイントは最初の2周を全力でプッシュしたことだ。そうしてギャップを作ったことが効いて、フェラーリのドライバーたちはDRSを使えなかった。フェラーリは速かったけれども、その後、彼らはチームメイト同士のバトルを始めた。こちらとしてはやや唖然としながらも、この贈り物を大いに感謝しながら受け取ったよ」
だが、それから24時間後に私たちが見たのは、すっかり困惑しているフェルスタッペンだった。レースではいいスタートを切りながら、フェラーリのエース、ルクレールの追撃に屈し、サインツのペースにもついて行くことができなかったのだ。マックスによると「土曜日と比べるとタイヤのデグラデーションがずっと大きくて、グリップにも一貫性がなかった。ある周はまずまずなのに、次の周はコーナーの立ち上がりでまったくトラクションがない、という感じだったんだ。どうしてなのか理解できないよ」
さらにマルコはこう述べた。「これは予想外の結果だった。ただ、サインツがリタイアして、マックスはルクレールに次ぐ2位でレースを終えた上に、ファステストラップの追加ポイントも獲ることができた。フェラーリとのペースの違いを考えれば、悪くないダメージリミテーションだった」
結果はどうあれ、マックスのモットーは変わらない。「すべてのレースで最善の結果を残していくしかない。今日はそれが2位だったということだよ」
(c)Red Bull
(Mathias Brunner/Translation:Kenji Mizugaki)
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