【レッドブル・ホンダ密着総集編】新骨格PU投入によるデザイン変更も厭わず。開発、戦略と随所でチームワークが光った2021年
レッドブル・ホンダの2021年は、重要な場面で素晴らしいチームワークが見られた1年だった。
まずレッドブルとホンダのチームワークだ。ホンダは2021年でF1参戦を終了すると発表した直後に、新骨格のパワーユニットを1年前倒しで投入する決定を下した。新骨格はその名の通り、パワーユニットの外寸が従来のものとは大きく異なっていた。シリンダーヘッドの寸法が変更されたほか、カムシャフトの間隔が大幅に縮められ、バルブの角度にも変更が加えられたため、全体的にコンパクトになった。さらに骨格自体の変更に伴い、パワーユニットを構成する他のエレメントと補機類も見直されたため、従来の骨格とは似て非なるものとなった。
すでに従来の骨格で2021年の新車のデザインを進めていたため、レッドブル側は変更を余儀なくされたが、レッドブルはホンダの提案に嫌な顔ひとつ見せずに快く受け入れた。それは、レッドブルというチームが勝つためなら、いかなる労力も厭わない集団だったからだ。
こうして、レッドブル・ホンダはメルセデスに対して、2014年のパワーユニット導入以降、初めてパッケージとして互角に戦える態勢が整った。
ドライバー同士のチームワークも光った。ホンダF1の山本雅史マネージングディレクターが開幕前に「今年は2台体制でメルセデスと戦える」と語っていたように、今年レッドブル・ホンダに加入したセルジオ・ペレスが随所にいい働きを見せた。第16戦トルコGPと最終戦アブダビGPでのレース中に披露したルイス・ハミルトン(メルセデス)とのバトルは言うまでもない。それ以外にも、アブダビGPやイタリアGPの予選では、フェルスタッペンにスリップストリームを使用させる重要な役割を果たしていた。
ただし、ペレスが見せたチームワークはコース上での走りだけではない。セットアップ面でもチームに大いに貢献していた。最終戦ではレッドブル・ホンダは2種類のリヤウイングを持ち込み、フリー走行3回目まで2台で異なる仕様を使ってデータを収集していた。ペレスの貢献がなければ、フェルスタッペンとレッドブル・ホンダのセットアップはもう少し妥協を強いられ、週末のレースは違った展開となっていたかもしれない。
フェルスタッペンは年末に行われた年間表彰式でこう語った。
「チェコは素晴らしいドライバーだ。F1で一緒に仕事をするときだけでなく、人としてとても素晴らしい人間だ。彼とは本当にたくさんの楽しい時間を過ごすことができた。そのようなチームメイトがいることはこの世界ではとても大切で、最終戦で彼が見せた貢献は、真のチームプレーヤーに相応しい。この関係をこれからも長く続けることができることを望んでいる」
フェルスタッペンがドライバーズチャンピオンに輝いた2021年。コンストラクターズタイトルは惜しくも獲得できなかったが、2021年のベストチームはレッドブル・ホンダだったと言っても過言ではない。