フェラーリ2021年型F1マシン『SF21』:リヤエンドを大幅変更し、ワイドノーズを維持。パワーユニットは一新
スクーデリア・フェラーリの技術責任者たちが、2021年型F1マシン『SF21』および搭載するパワーユニット『065/6』の改良点について語った。マシン開発が厳しく制限された今年、フェラーリは、リヤエンドの改良に重点を置いたということだ。
3月10日、スクーデリア・フェラーリは、チームにとって67台目のF1マシン『SF21』の画像を初披露した。エンジンは完全に新しいものであり、車の改良に使う開発トークン2はリヤエンドに投入したという。
シャシー部門責任者のエンリコ・カーディルは、新しいギヤボックスとサスペンションを設計、よりスリムなデザインのリヤエンドを採用したと語った。
「SF21プロジェクトをスタートした時、最初の仕事は、徹底的な変更を成し遂げるためにはマシンのどのエリアに集中すべきかを特定することだった」
「その結果、リヤエンドを選び、新しいギヤボックスと新しいサスペンションシステムを設計した。それに加えてパワーユニット部門の努力により、リヤエンドが大幅にタイトになった」
「冷却システムも見直し、セントラルラジエターの効率を高め、より多くの“ダウンウォッシュ”(注:下向きの空気の流れ)の効果のあるボディを設計した。今年は、タイヤに大きな負担をかけることを避けるため、垂直荷重を生み出す能力を減らすことを目的としてレギュレーション変更がなされた。それによって影響を受けたエリアのひとつが空力だ」
「そのため我々は、マシンの空力分野の開発に着手する際に、ふたつの目標を設定した。ひとつは、レギュレーションによって空力ダウンフォースが失われるが、失われる量以上のダウンフォースを取り戻すこと。もうひとつはドラッグを減らすことだった」
「レギュレーションにより、マシンフロントエンドに大幅な変更を施すことはできなかったが、新しいコンセプトのノーズとそれと連動する新しいフロントウイングを開発した。シャシー自体とサスペンションは、昨年型SF1000のものを使用している」
チーム代表マッティア・ビノットは、2月のチーム体制発表会の際に、2020年の大きな問題点であった直線スピードの不足について解決を図ったと述べていた。
「去年の一番の問題は直線スピードにあったと思う。パワーとドラッグ両方に問題があった。我々はパワーユニットを改善し、ドラッグを減らすためにマシンの空力面の向上にも取り組んだ」
「現時点でのシミュレーション、ダイナモでの出力、風洞でのドラッグについてのデータから考えて、直線スピードを大幅に取り戻したと考えている。従って、スピードは大きな問題にはならないと期待している」
パワーユニット部門責任者のエンリコ・グアルティエーリは、2021年型パワーユニットについて次のように説明した。
「エンジン担当エンジニアとして、昨シーズンの走りから、自分たちの位置を明確に把握することができ、それが出発点となった」
「その認識と強い決意、我々とパートナーたちのスキルにより、2021年シーズンに向けて、065/6パワーユニットが生み出された」
「体系的なアプローチを採用し、設計、シミュレーション、開発、追跡、すべての部門が協力し、改善のためのあらゆるチャンスを見つけ出すために取り組んだ。マシン全体のデザインをできる限り効率のよいものにするため、シャシーサイドの同僚たちとともに、パワーユニットのレイアウトに力を注いだ」
「内燃エンジンでは、パートナーであるシェルと協力し、熱効率のレベルを上げることに重点を置いた。これによりラップタイムが改善され、0.1秒以上を削ることができたと我々は推定している」
「すべてのコンポーネントを見直し、最適化するため、ハイブリッドシステムと電気系についてもさらなる開発を行っている」
フェラーリはニューマシン『SF21』のシェイクダウンを11日にバーレーン・インターナショナル・サーキットで実施する計画で、シャルル・ルクレールとカルロス・サインツJr.がステアリングを握る予定となっている。