【】ハンガリーGP編:フェラーリのロケットスタートはマッサのおかげ!?

7月29日

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 今回はチャンピオン争いをしているふたりがお互いを意識しすぎて自滅した感じでしたね。ハミルトンはオープニングラップでロズベルグを早く抜き返さないとという焦りがあった。ロズベルグは、すでに言われているように、最後のピットで「なぜミディアムを選んだの?」という疑問。たぶんハミルトンと同じタイヤを選択していれば、抜かれないだろうという考えなんでしょうけど。まあ、ソフトではフィーリングが悪かったのかもしれませんが。あとリスタートのときに出遅れたハミルトン。もしかしたらロズベルグの後ろまで追いついて油断したところをリカルドにつけ込まれたのかもしれません。

 メルセデスはハンガロリンクは苦手なように見えました。あれだけ足を動かしているクルマは、フロントがロールしすぎて一般車みたいにロールアンダーになっていたのではないでしょうか。ハミルトンは最終コーナーは小さく回っていました。でもリカルドはまっすぐ突っ込んで小さくくるっと回る感じで立ち上がっていたため、その差がリスタートに影響したのかもしれません。
 休みの直前の結果が悪いと、ドライバーの心理的に嫌なんですよねえ。そういう意味では、メルセデスのふたりは相当ブルーなはず。とりわけロズベルグは最悪でしょう(笑)。

 ところでヒュルケンベルグのクラッシュはヒヤっとしました。フロントウイングはドライバーからは見えませんから、一瞬何が起きたのかわからなかったと思います。最近のフロントウイングはしなるから、強度的に大丈夫かなと心配になりますよね。最悪の事態の可能性もあるわけですから、ドライバーとしては、あの場面では怒り心頭です。僕も昨年GTで走行中にいきなりステアリングが緩むというアクシデントがありましたが、操舵が利かなくなるのが一番怖いです。

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 さて、今回はメルセデスの牙城をフェラーリが崩したわけですが、その陰にマッサの演出があったのはお気づきでしょうか。スタートの直前、マッサのグリッド位置が悪かったためにフォーメーションラップをもう1周することになりました。ウォームアップ性能がイマイチなフェラーリがあれでタイヤ温度を上げることができ、あのロケットスタートが生まれた、というのが僕の仮説です(笑)。

■松田次生
1997年にSRS-Fに入校し、スカラシップを獲得。同期には佐藤琢磨がいた。翌98年に全日本F3に参戦し、99年のマカオF3では4位を獲得。2000年より国内最高峰のカテゴリーであるFニッポン、SUPER GT(GT500クラス)への参戦を開始し、07年、08年にはFニッポンで史上初となる2連覇を達成した。15年はGT500クラスとル・マン24時間に参戦している。