2022.12.28
【F速プレミアム】
チーム体制に大きな変化を与えたF1の椅子取りゲーム/スペイン人ライターのF1コラム
(c)Ferrari
ドライバーたちの移籍も落ち着き最終戦を迎えた2022年のF1。しかし、フェラーリF1代表マッティア・ビノットの離脱が発表されたことで、再び大きな動きが起こった。スペイン在住のフリーライター、アレックス・ガルシアがチーム代表たちのシャッフルについて語る。
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2022年シーズンのほとんどの期間、国際メディアと世界中のファン双方が来シーズンに向けたドライバー交代に注目していた。セバスチャン・ベッテルの引退、フェルナンド・アロンソのアルピーヌからアストンマーティンへの移籍、オスカー・ピアストリの移籍騒動とその影響のすべて(ダニエル・リカルドがレッドブルにリザーブドライバーとして復帰し、ピエール・ガスリーはアルピーヌへ移籍し、ガスリーのシートはニック・デ・フリースのものになった)といったことだ。間違いなく非常に動きが活発な“シリーシーズン”だった。
しかしすべてが終わったと思ったら、F1は椅子取りゲームの音楽をまたかけ始めたのだ。音楽が止まった時、全員が椅子に座れたわけではなかった!
主な犠牲者は、完全に公平に言うと、すでに公然の秘密となっていたマッティア・ビノットだった。今では元フェラーリF1チーム代表となったビノットは、プロとしてのキャリアのほとんどを過ごしたチームを離れた。これは間違いなくフェラーリにとって劇的な変化であり、非常に複雑なことだ。
結局のところ、多くの人々が2022年シーズンの結果を主な理由だと指摘するだろうが、実際のところ原因ははるかに政治的なものだ。ビノットは故セルジオ・マルキオンネと彼の後継者ルイ・カミッレーリに支えられていた最後の強者だった。カミッレーリが2020年の12月にCEOを辞任するとフェラーリ内部で政治的変化が起こり、フェラーリ会長のジョン・エルカーンの全面的な支援を受けてベネデット・ビーニャが新CEOに就任した。
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それほど詳細に立ち入らなくとも、現実としてエルカーンとビーニャが常にビノットの味方だったわけではなく、彼の地位をサポートする立場にいたわけでもなかったことは言うまでもない。フェラーリにとって残念なことに、これはチーム代表を失うだけのことではなかった。最も重要なのは非常に優れたエンジニアを失うことにあった。ビノットがしくじったのは最終的には性格の欠陥のためだと言う人もいるだろう。
組織のなかで力を持つ人物にとって、レッドブルやメルセデスといったライバルとは違い、フェラーリは握ることのできる実権が小さかったようだ。クリスチャン・ホーナーとトト・ウォルフは、特定の状況では“非友好的”かもしれないが、この仕事をうまくやっていればそうなるものだ。
(c)XPB Images
もちろんこれはフェラーリに魅力的なポジションがあることを意味している。そして全世界が予想していたように、選ばれた人物はフレデリック・バスールだ。小柄でカリスマ的なフランス人のバスールは、1993年にフェラーリを勝利チームに変えるために着任したジャン・トッドと表面的な類似点があると、多くの人々が指摘している。しかし重要なのは、彼の仕事上の能力だけではなく、経営陣が彼に仕事をする時間を与えたと言う事実だった。
トッドは5年間、一度もタイトルを獲ることはなかったが、1999年にコンストラクターズ選手権を制覇し、ようやくフェラーリは2000年以降にF1で最盛期をスタートさせたのだ。バスールは彼のスキルをアルファロメオとF2のARTグランプリで証明してきたが、フェラーリが勝ちたいのなら、彼らはバスールに時間を与える必要がある。
この記事を書いている時点では、ザウバーで誰がバスールの後任を務めるのかまだ発表されていない。公平を期すために、まだチームのことは「アルファロメオ」と呼ぶべきだろう。チームはこのブランドを2023年末まで保持するからだ。しかし最近の変更により、ザウバーという名前を使用するのが正しいとも感じられる。最大の変化は、F1の世界でよく知られている、新CEOの着任だ。
(c)XPB Images
それはもちろんアンドレアス・ザイドルだ。彼のフォルクスワーゲングループとポルシェとのつながりを考慮すれば、これは驚くような選択ではなかった。実際、パドックの大部分にとってこのことはニュースだったが、マクラーレンの上層部はこの決断を数カ月前から知っていたし、マクラーレンに競争力を戻した人物の邪魔だてをしないことを選んだのだ。彼らはフェアプレーをした!
結果として、マクラーレンは新チーム代表を迎えるが、私が知っているほとんどのメディアが驚いたことに、その任に就く人物はパフォーマンスディレクター兼レーシングディレクターのアンドレア・ステラだった。これは珍しい状況ではない。エンジニアや時にはメカニックが、チーム代表になるまで昇り詰めることはしばしば見られてきたことだ。ふたつの好例はロス・ブラウンとロン・デニスだ。
我々はチーム代表としてのステラをまだ目にしていないのだから、そのポジションにおける彼は未知数だと言っても差し支えないだろう。彼は素晴らしいかもしれないし、ひどいかもしれない。彼がふたりの有望な若手ドライバーを抱え、勝利へ挑戦するために十分強力な体制を整えるのにどれだけの能力を発揮するか、控えめに言っても興味深いことになるだろう。そして余談だが、マクラーレンにはワークスのエンジンパートナーが必要だと私は今でも感じている。
最後に、非常に興味深い変化のひとつは、CEO兼チーム代表のヨースト・カピートが退任したウイリアムズで起きている。舞台裏で何かが起きているのかもしれないが、カピートは2020年に向けてドリルトン・キャピタルが彼にアプローチしてきた時、引退を考えていたことを覚えておくことは重要だ。このことは常に計画されていたのかもしれない。
少々疑わしいのは、カピートとともにフランソワ−グザビエ・ドゥメゾンもチームを離脱することだ。ドゥメゾンは2021年シーズンの初めにテクニカルディレクターに任命された。ウイリアムズはまだ表彰台を狙える挑戦者ではないが、この2年における彼らの進歩は概ね好調だった。
今、我々は比較的落ち着いた時期に入ろうとしているところだ。2023年シーズンの興奮が始まる前に、F1は少しの休みに入り、メディアとファンもしばらくは一息つく時だ。その間にも、フェラーリがWECハイパーカーのプログラムにどのドライバーを選ぶのか、私は今も非常に興味を持っていることを認めなければならない!
(Alex Garcia Translation: AKARAG)
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