2023.03.03
【F速プレミアム】
ライバルも警戒するアストンマーティンのパフォーマンス。アロンソは台風の目となるか/スペイン人ライターのF1コラム
(c)XPB Images
■古いもの、新しいもの、借りたもの、そして青いもの
西洋の伝統では、結婚式の日に花嫁が何か古いもの、新しいもの、借りたもの、青いものを身につけると縁起が良いとされている。ある意味、毎シーズンの開幕はF1の結婚式のお祝いのようなものだ。将来に向け多くの希望があり、たくさんのゲストがともに祝い、スポーツへの愛情を共有したいのだ。そして気がつくと、2023年プレシーズンテストはそうしたものすべてがそろっていたので、今回も楽しくて魅力的なシーズンになるだろうと信じずにはいられない。
当然ながら一番重要なことは、毎年のプレシーズンテストでは情報がとてもうまく隠されているということだ。毎シーズンごとにより多くの走行時間を目にしているものの、実際に得られる情報はごくわずかというのが現実だ。あるタイミングで各マシンがどれだけの燃料を積んでいるのかはもちろんわからないので、スティントの長さや選ばれたタイヤなどを基に推測する必要がある。各チームの走行計画も不明であり、実際のスピードとペースを推測するのはほとんど不可能だ。
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しかしチームやドライバーたちと同様に、ジャーナリストたちも不可能と戦うために存在している。バーレーンでの3日間のテストで、少なくとも多少の光を当てることを楽しみにしている。そしてこれももうひとつの重要なポイントだが、2023年のテストはF1史上最も短いプレシーズンテストで、3日間の走行日と、各チームによるフィルミングデーしかない。使える情報がほとんどないにもかかわらず、大体の推測ができるほどに十分なものを見ることができたという自信はかなりあるので、まあ始めてみよう。
(c)XPB Images
まずは“古いもの”から始めよう。おそらくプレシーズンテストが始まる前から明白だったが、コース上のマシンを見て改めて確認されたことだ。つまり、我々が目にしたことのすべてが真実なら、レッドブルは今後もトップに君臨するだろうということだ。
彼らのC3およびC4タイヤでのラップタイムは非常に速く、レースペースはいつものように良好で、重要な中速コーナーでのスピードも目覚ましいもののようだ。もちろんバーレーンは、バルセロナほど代表的なテストサーキットではないが、これまでのところレッドブルはタイトル獲得の最有力候補に違いない。我々が見た限りでは、フェラーリは1周あたりおよそコンマ数秒遅れていた。
レッドブルは風洞使用時間を減らされたので、フェラーリにはわずかにアドバンテージがあり、それがギャップを縮める助けになるだろう。しかし少なくとも彼らのスタートポジションは、タイトル挑戦者としてのものになるだろう。フェラーリの後ろにいるのがメルセデスだが、当初は予想以上に苦戦していた。これは興味深いことだ。2023年に向けてマシンコンセプトが抜本的に変わったといううわさだったのだが、我々が目にしたのは昨年と非常によく似たマシンだった。少なくとも見た限りでは、改良されてはいたが、根本的には変わっていなかった。しかしながら、テストが終わりに近づくにつれて、メルセデスはさらにペースを出せるようになり、2022年のような走りを見せた。
おおよそ昨年とほぼ同じ位置に留まりそうなもうひとつのチームはウイリアムズだ。いくつかの点ではより競争力があるように見えたが、彼らのタイムとペースは印象に残るものではなかった。戦いのなかでより存在感を発揮しそうな感触はあったが、それはやはり後方でのことになるだろう。
ウイリアムズの苦戦が見られる大きな理由のひとつは、2023年シーズンにあらゆることが新しくなることにある。つまり、最も大きな前進を遂げたと思われるチームがいるということだ。アルファロメオとアルファタウリの両者にはかなり強い印象を受けたが、特にアルファロメオについては、テスト中に優れたショーを見せてスポンサーを引きつける必要があったことは認識していた。我々が目にしたことのなかでどれだけのことが真実なのか話すのは難しいが、両チームは一貫して競争力を発揮してきた。彼らのドライバーたちは成功に飢えているので、逃すことのできない絶好のチャンスを掴んでいるかもしれない。彼らのパフォーマンスは、これからのシーズンにおける中団グループ全体にとっての鍵となるだろう。
(c)XPB Images
“借りたもの”の分析については、アルピーヌを取り上げたいと思う。なぜなら彼らが示したものはあまりに少なく、競争力も低すぎたからだ。そのまま切り捨てるのは簡単なことだが、私は彼らの言葉を“借りる”ことにした。チーム自体が、少ない燃料量での走行を試していないことを明らかにしている。それは彼らにまったく速さがなかったことをよく説明している。それでも、私はやりすぎではないかという気がしている。彼らは何か特別なことを本当に隠しているのだろうか?
マクラーレンでも状況は似ていた。彼らは誰もが予想する以上に苦戦を強いられていた。終盤にラップタイムは向上したが、現実には、ルーキーのオスカー・ピアストリと、チームをリードするという重責を担うランド・ノリスには課題が待ち受けている。勝利するのは難しいだろうし、彼らのライバルはご覧のとおりたくさんいる。そしてハースはどうだろう?素晴らしいドライバーペアに、さらに豊富な資金がある。それにマシンについては昨シーズンのフェラーリから多くを学ぶことになるだろう。それでも彼らの姿は目立たないものだった。
(c)XPB Images
プレシーズンテストでの最大の驚きは、間違いなく“青いもの”だろう。つまりフェルナンド・アロンソだ。アロンソは赤と黄色を基調としたスペイン国旗とともに見られることが多いが、実際のところスペイン国内では、彼は出身地のアストゥリアス州旗と一緒にされることが多い。この旗は大部分が青色なのだ。ルノーでタイトルを獲得した年月では、マシンのカラーリングが青を基調としていたこともあり、グランドスタンドを埋めた彼のファンたちも「ブルー・タイド」の名で有名になった。現在の彼のヘルメットにはそれほど青色が使われていないかもしれない。アストンマーティンの緑を“青”と考えるには違いすぎるだろう。だが私はある意味アロンソを“青”だと思わずにはいられない。
しかし彼は今年最大の衝撃となるかもしれない。昨年は7位だったが、チームは何か特別なものを見つけることができたようだ。エイドリアン・ニューウェイはすでにアストンマーティンを潜在的脅威だと指摘している。彼らの純粋なスピードとレースペースは驚くほど速かった。彼らがレッドブルと同じレベルにあるとは想像しづらいが、現実には現在4番目にパフォーマンスが優れているチームであることは、ほぼ事実であるようだ。彼らはメルセデスやフェラーリと戦えるだろうか?もしかしたら倒せるのだろうか。それを話すのは難しいが、私はノーというだろう。しかしアロンソは相変わらずハングリーだし、マシンが優れたものなら、彼はそれを最大限に生かすだろう。
あなたは2023年シーズンをどう見るだろうか?
(Alex Garcia/Translation: AKARAG)
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