2023.04.13

【F速プレミアム】
王者フェルスタッペンの戦い:「ヒヤリとした瞬間はあったけど、とにかく焦らないことが重要だった」


(c)XPB Images
 F1第3戦オーストラリアGPは3度の赤旗で混乱したレースとなったが、フェルスタッペンは冷静な走りで見事なポール・トゥ・ウインを飾った。スイス在住のF1ジャーナリスト、マチアス・ブルナーがフェルスタッペンの週末を振り返る。

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 南半球にあるオーストラリアは「ダウンアンダー」とも呼ばれる。だが、メルボルンのアルバートパーク・サーキットで開催されたオーストラリアGPは、どちらかと言えば「アップサイドダウン」(注:通常は「逆さま」の意だが「混乱した」という意味もある)と呼ばれて然るべきものだった。2001年にここでF1にデビューして以来、長年アルバートパークでレースをしてきたフェルナンド・アロンソも、「これほど奇妙なグランプリは初めてだ」と語っている。

 リザルトからは、現世界王者マックス・フェルスタッペンが何の苦もなく優勝したように見える。予選でF1キャリア通算22回目のポールポジションを獲り、2023年シーズンの第3戦で2勝目、通算37勝目をあげたのだから。しかし、オーストラリアでの勝利への道は、決して平坦なものではなかった。

「まずスタートが良くなかった」と、フェルスタッペンは言う。「結果として、メルセデスのふたりに先行されてしまったけど、最初から激しく争うつもりはなかった。アグレッシブに行き過ぎて、クルマにダメージを負うのは避けたかった。あとでリードを取り戻せるだけの速さがあるのはわかっていたからだ」

 そして、彼はウインクしながら付け加えた。「でも、スタートに関しては、それから何度か練習できた」
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 確かにマックスの言うとおりだ。まず、ウイリアムズのアレックス・アルボンがクラッシュし、赤旗が出てリスタート。次にハースのケビン・マグヌッセンのクラッシュで赤旗、リスタート。そして、この3度目のスタートの直後にアルピーヌ勢が同士討ちを演じて赤旗になり、最後はリスタートを迎える前に終わってしまったのだ。

(c)XPB Images

 フェルスタッペンは語る。「かなり混乱したレースだった。正直なところ、どうして2度目の赤旗が必要だったのか、いまだに理解できない。セーフティカー、あるいはバーチャルセーフティカーで対処できたんじゃないかな。結局のところ、あの場面で赤旗を出し、もう一度スタンディングスタートで再開したことが、その後のアクシデントの続発と多くのクラッシュ、そして次の赤旗につながったわけだからね。この件で何人ものドライバーと話をしたけど、みんな意見は同じだった。赤旗中断によって、本来なら起きなかったはずのアクシデントが引き起こされたんだ」

「それを別とすれば、あとはとにかく焦らないことが重要だった。それでもヒヤリとした瞬間はあったけどね」。マックスが言うのは、最終コーナーのひとつ手前で飛び出したことだ。さすがにこのときばかりは、チームのピットウォールにも緊張が走った。「ブレーキングで左フロントをロックさせて、真っ直ぐに行ってしまったんだ。まあ、メルボルン市の造園業者の仕事を減らすという意味で、少しは役に立てたんじゃないかな。これは自信を持って断言できるけど、あの場所に関しては、もう芝を刈る必要はないと思うよ!」

 レッドブル・レーシングはバーレーンとサウジアラビアで圧勝したが、オーストラリアでは少し状況が変わったかにも見えた。マックスはこう考えている。「主なファクターは、アルバートパークの路面舗装と比較的低かった気温だ。その影響で実質的にタイヤのデグラデーションがなくなり、かつタイヤの温度を最適なワーキングウインドウの中に保つのが難しかった。それができたチームとドライバーもいれば、できない者もいたんだ」

 さて、これからのシーズンは、どう展開していくのだろうか。レッドブルのモータースポーツ・コンサルタント、ヘルムート・マルコは言う。「すべてが順調であれば、私たちのクルマは圧倒的に速い。しかし、メルボルンで示されたのは、小さなファクターがひとつでも欠ければ、全力で戦わざるをえないということだ。また、フェラーリやアストンマーティン、そしてなかでもメルセデスが進歩してきた。この2023年シーズンは、タイトル防衛へのノンビリとした散歩にはならないだろう。それどころか、かなり難しい仕事になると思う」

(c)XPB Images

(Mathias Brunner/Translation:Kenji Mizugaki)

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