2023.05.17

【F速プレミアム】
王者フェルスタッペンの戦い:別次元のレッドブル。目下のライバルはチームメイトのペレス


(c)XPB Images
 F1第5戦マイアミGPで予選9番手から見事な逆転勝利を飾ったマックス・フェルスタッペン(レッドブル)。チームメイトのセルジオ・ペレスとのチャンピオン争いは今後も目が離せない状況だ。スイス在住のF1ジャーナリスト、マチアス・ブルナーがマイアミGPの週末を振り返る。

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 F1に限らずスポーツの世界では、好調なときには夢のような気分を味わえるが、ひとたびつまずくと苦汁を舐めることになる。現世界王者のマックス・フェルスタッペンは、マイアミでそれを身をもって学んだ。

 フェルスタッペンは今年のマイアミGPを制した。しかし、勢いに乗ってフロリダに到着したのは、バクーでチームメイトと正々堂々と戦った末に勝ったセルジオ・ペレスの方だった。マックスはこう語っていた。「チェコはストリートコースのスペシャリストだからね。でも、シーズン全体を見れば、大部分は普通のサーキットだ」

 ペレスはチームメイトを押しのけて、ポイント争いで首位に立つことを目指していた。もしそれが実現すれば、メキシコ人が選手権リーダーになるのは、1967年のペドロ・ロドリゲス以来のことだ。ただ、フェルスタッペンにはその座を明け渡すつもりはなかった。そして、マイアミのフリープラクティス2と3を支配し、予選でもQ1とQ2でトップに君臨したが、肝心なQ3だけが思いどおりにはならなかった。
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 Q3終盤にフェラーリのシャルル・ルクレールがバリアに突っ込んで赤旗が出され、フェルスタッペンはタイムを記録できなかったのである。最初のアタックは、マックス自身のミスにより途中で放棄していたからだ。「シャルルのせいではないよ。予選でこういうことが起きる可能性は、いつだってある。とにかく自分に腹が立って仕方がない。最初のランで2つの大きなミスをしたのが問題で、この結果は自業自得なんだ」

 レッドブルのモータースポーツコンサルタント、ヘルムート・マルコは、こう指摘した。「不運を嘆きたくなるところだが、実際には、もう少し早くマックスをコースに送り出していれば、ポールを獲れるチャンスはあった。クルマは十分に速かったのだから、ギリギリまで待つ必要などなかったんだ」

 フェルスタッペンは9番手グリッドからのスタートを余儀なくされ、ポールポジションにはペレスがついた。だが、決勝レースでのマックスは、見事なまでの才能と忍耐力とタイヤマネージメントを披露し、予選9番手から驚くべき勝利を収めた。一方、ポールシッターのペレスにとって、チームメイトの背後でフィニッシュを迎えることは屈辱的な完敗だった。

(c)XPB Images

 チームボスのクリスチャン・ホーナーは言う。「チェコはタイヤウィスパラー(注:タイヤをうまく扱い、手懐けられる人の意)と呼ばれている。実際、彼はものすごくタイヤに優しいドライバーだが、今日のところは、マックス以上にうまくタイヤを使ったドライバーはいなかったと思う」

 フェルスタッペン自身はこう語っている。「タイヤマネージメントがキーポイントだった。使い込んだタイヤで、よりフレッシュなタイヤを履くチェコより速いタイムを出せたラップもあった。そして、こちらがタイヤを交換したあとは、彼に襲いかかって、ちょっとしたいいバトルができた」

 レッドブルのピットウォールにいた面々は、何の心配もしなかったのだろうか。マルコはこう答えている。「いや、マックスとチェコなら、バカげたことはしないだろうと思っていたからね。彼らには、ライバルチームの脅威がない限り、自由にレースをしていいと伝えてあった。ハードタイヤのパフォーマンスが予想以上に良かったし、もしその必要があれば、マックスがいつでも並外れたラップタイムを出せることは分かっていた」

 マイアミでのレース結果は、私たちがそれまでの4戦で見てきたこと、すなわちレッドブルだけが別の次元にいることを裏付けるものだった。シーズン第5戦にしてレッドブルの5勝目だったばかりでなく、4度目のワンツーフィニッシュでもあったのだ。

 堂々たる勝利を収めたフェルスタッペンは、誰にも負ける気がしないと感じたかという質問に、ニヤリと笑いながらこう答えた。「いつだってそう思っているよ」

(c)XPB Images

(Mathias Brunner/Translation:Kenji Mizugaki)

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