2023.08.18

【F速プレミアム】
前半戦を席巻し記録を塗り替えていくレッドブル/スペイン人ライターのF1コラム


(c)XPB Images
 2023年シーズンの前半戦を席巻したレッドブル。このままタイトル獲得に憂いが無い状況だが、他のライバルたちの現状はどうだろうか。スペイン在住のフリーライター、アレックス・ガルシアがF1前半戦について語る

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 よし、一息つく時だ!息を吸って吐いて……2023年のF1シーズン前半は激しいものではなかっただろうか?ベルギーGPの後、我々はオランダGPまで3週間の休みを我慢して過ごせるだろう(もしくは楽しむこともできるだろう)。そういうわけでマックス・フェルスタッペンのファンの皆さん、今こそ楽しむ時だ!しかし正直なところ、シーズン全体が楽しい時間だったと思う。

 間違いなく2023年は、単一のチームがシーズン前半に最も支配的なパフォーマンスを見せた年として歴史に残るだろう。12戦を終えてもレッドブルはまだ負けがない。これは、1988年にマクラーレン・ホンダがアイルトン・セナとアラン・プロストとともに打ち立てた、かつては無敵と思われた記録を破ったこということだ。当時伝説のペアは、フェラーリがモンツァのホームレ―スで1-2フィニッシュの奇跡を起こすまで、11連勝を記録していた。

 実際、レッドブルがシーズンのすべてのレースで優勝する最初のチームになるのではないかと思い始めている。これまでのところ、レッドブルは12回のグランプリで優勝してきたし、これまで見てきた3回のスプリントレースでも優勝している。実際、どんなに遅くても第16戦シンガポールGP〜第18戦カタールGPの間で、レッドブルとフェルスタッペンは今シーズンのタイトル獲得を決めるだろうと予測されている。ちなみに私は、コンストラクターズ選手権は第17戦日本GPで、ドライバーズ選手権はカタールのロサイルで決まると予想している。

 レッドブルが昨年コストキャップの上限を超えたことで、今年風洞の使用時間削減のペナルティを受けていること、また、それでもかつてないほどのパフォーマンスを発揮していることを考えると、こうしたことは特に注目に値する。特にセルジオ・ペレスが最近不安定だったのは事実だが、フェルスタッペンは現在ルイス・ハミルトン以上にシーズンを支配している。フェルスタッペンは現在8連勝中で、あと1勝で史上最多記録に並ぶことになる。あと2勝でその記録は彼のものになる。
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 だがレッドブルについてはもう十分だ! 今年F1を観戦している人なら誰でも、彼らがどれだけよい仕事をしてきたか知っていると思うし、話すべきことはさらにたくさんあるのだ。コスト制限について話したが、今回も一部のチームが違反をしているかもしれないといううわさがあることも含めて、2024年にはさらなるペナルティを目にすることになるのだろうか? そうなったら残念なことだ。レッドブルの明らかな優位性は別にして、我々はチーム間にわずかな差しかない非常に興味深いグリッドを目にしているのだから。オーストリアのQ1では、20人のドライバー全員のベストラップタイムが同じ秒に収まっていたくらいだ。

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 当然のことながら、シーズン前半を振り返るにあたって言及に値するのは、ふたりの偉大なベテランが今もトップで戦うために必要なものを持っていることを示しているということだ。アストンマーティンは開発競争ではわずかに遅れを取っているように見えるが、フェルナンド・アロンソは現在ランキング3位につけている。彼はF1でトップクラスの評価を得ているドライバーのひとりである理由を改めて示した。最初の8戦のうち6戦で表彰台に上がり、レッドブルのドライバーを除けば誰よりも多くのポイントを獲得している。 またハミルトンは低迷状態から脱するために、不屈の精神で激しくプッシュしてきた。今年ハミルトンが表彰台を獲得したのは4回だが、ポールポジションも獲得しており、非常に有望で目を引くパフォーマンスを何度か見せてきた。メルセデスが改善を続ければ、彼はトップに出るだろう。アロンソは昔のライバルのことを気にした方がよいかもしれない。

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 フェラーリは少々奇妙な状況に陥っている。明らかにマシンはチームが望む状態にない。そしてそのことがチーム全体を不安定にしている。一部の主要な人材が放出されている一方で、フェラーリを次のレベルへ引き上げるための若手の有望な人材が昇進している。いつものように、理論上はつじつまが合っている。誰かがベストなパフォーマンスを出していないのなら、より適切な人材を見つけたほうがいいかもしれない。それはほぼ間違いなく、フェラーリの元チーフストラテジストのイニャキ・ルエダに当てはまることだ。あまりにも多すぎるミスは、フェラーリの戦略面が十分ではないことを示していた。しかしフェラーリは物事がうまくいかない時に、有名なギロチンを使用する傾向があることで知られている。誰かの首を切るが、結果はさらにひどくなることもある。

 結局のところ、計画的に変更を加えることと、計画自体のために変更を加えることはまったく別のことだ。フレデリック・バスールが指揮を執るフェラーリには、将来の計画があるようだ。しかしその計画が何であるかについては、議論の余地がある。この数戦で、チーム内でのカルロス・サインツの地位が一変したように見えることに気づいただろうか? 2023年の最初の数レースまで、彼はチームを望む方向に“導く”ことができていた。今では、彼はしばしば壁にぶつかっているように見える。単にチームがドライバーをコントロールしていると考えている人もいれば、サインツのフェラーリでの時間は、おそらく2025年で終わるのではないかと推測する人もいる。

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 ここ数レースで非常に目覚ましかったもうひとつのチームは、マクラーレンだ。チームがオーストリアに持ち込んだアップデートは、彼らの運命を完全に変えたようだ。シルバーストンとハンガロリンクの2戦連続で表彰台を獲得したのは間違いなくハイライトだったが、ルーキーのオスカー・ピアストリがF1に慣れてくるにつれ、ドライバーラインアップはかつてないほどに良くなっているように見える。実際、ランド・ノリスはフェラーリの注目を集めていると言われている。そしてピアストリは?彼は現在ランキング11位につけている。彼には、初めてのシーズンをトップ10内で終えるルーキードライバーになるチャンスがある。それはハミルトン以来のことだ! 私はピアストリを非常に高く評価している。物静かで、控えめで、勤勉で、大きな才能がある。彼から目を離さないことだ!

 アルピーヌはおそらく中団で最下位のチームだろう。今やF1では、上位争いに加わっていないチームは、パフォーマンスの点ではわずかな差しかない。エステバン・オコンとピエール・ガスリーは、特にエンジンが基準を満たしていないアルピーヌのマシンに阻まれているとはいえ、どちらにも輝かしい瞬間が何度かあった。最近の経営陣の交代と主要な人材の辞任は、すでに問題を抱えているチームにさらなる大混乱をもたらしている。彼らが競争力を発揮するのに必要なものを持っていることはわかっているが、大きな課題も残されている。

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 グリッドの下位はそれ自体が興味深い。アレクサンダー・アルボンがウイリアムズで際立ったパフォーマンスを見せていて、合計11ポイントを獲得してランキング13位にいる。彼のハードワークによって、ウイリアムズは間違いなくより優れたマシンのあるハース、アルファロメオ、アルファタウリを上回っている。シーズン後半は運命を好転させるチャンスが多くあるだろう。私はダニエル・リカルドが復帰後に何ができるかということに非常に興味を持っていると認めざるを得ない。今のところ、角田裕毅はリカルドのチームメイトとしてすでにポイントを獲得しているので、彼が道を示していることは明らかだ。

 シーズン後半に向けてあと10戦が残されているが、私が何を期待していると思うだろうか?レッドブルが全勝する可能性はあるが、シーズンが終わる前に1回はサプライズを見られるかもしれないと今も思っている。だが現世界チャンピオンが1、2レース以上負けるところは想像しにくい。したがって、今年のチャンピオンはフェルスタッペンとレッドブルということになるが、私の最大の関心は3位争いであり、それはハミルトンが勝ち取ると考えている。だがフェラーリの対決、カタールの復帰、ラスベガスのF1デビューなど、他にも興味深い点がたくさんある。少なくとも、残りのシーズンがどのように展開するのか楽しみだ。しかし今のところは、短い休息を楽しむ時だ。

(Alex Garcia/Translation: AKARAG)

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