2023.10.15

【F速プレミアム】
レッドブルF1の覇権と2026年にホンダと組むアストンマーティンの賭け/スペイン人ライターのF1コラム


(c)XPB Images
 F1第18戦カタールGPでドライバーズチャンピオンに輝いたマックス・フェルスタッペン。マシンだけでなくパワーユニットの性能で他のチームを圧倒した結果だ。スペイン在住のフリーライター、アレックス・ガルシアがホンダとパートナーを組んだレッドブルとマクラーレンについて語る。

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 ふたたび世界チャンピオンについてだ。レッドブルは最近の日本GPで、2回連続となるコンストラクターズチャンピオンに輝いた。これはホンダをエンジンパートナーとした2回目のタイトル獲得ということにもなる。そしてカタールGPでは、マックス・フェルスタッペンが3年連続のドライバーズタイトルを獲得した。2023年シーズン、ひとりのドライバーとひとつのチームをF1王者にするという第一の目標を達成したのだ。

 その成功の大部分はホンダの素晴らしいエンジンにあることは否定できない。パワフルであると同時に信頼性が高く、ドライバーがパワーを幅広い回転数で活用できる優れたドライバビリティを備えている。一方でかつてのパートナーだったマクラーレンも素晴らしい復活を遂げている。もし別の世界線があったとしたら、彼らがレッドブルの代わりにタイトルを獲得できていたはずだ。

 9年前、F1はメルセデス、フェラーリ、ルノーに加わる新しいエンジンの登場に向けて準備を進めていた。そのメーカーは他ならぬホンダだった。ホンダは1980年代にターボエンジンで大きな成功を収めていた。実際、興奮させられる要素のひとつに、2015年に向けてマクラーレン・ホンダのパートナーシップが23年振りに再結成されることがあった。そしてフェルナンド・アロンソとジェンソン・バトンのふたりの世界チャンピオンがいたのだから、何を間違うことがあるだろうか?
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 スペイン人ジャーナリストとして、その時期のことを忘れるのはとても難しい。私は常にホンダの技術力を信頼していたし、彼らが勝てるエンジンを生産できないなんて想像もつかなかったのだ。この時ホンダは前回のF1活動とは対照的に、チーム全体を管理するのではなく、可能な限り最高のエンジンの作ることに集中していた。ロン・デニスはそのことを理解していたので、自分のチームの中期的な将来として考えていたことを確実にするために、早期に契約を結んだ。

 それは、かなり正直に言えば、賢明な動きだった。マクラーレンは単なるカスタマーチームになっていたが、ホンダと組むということは、ホンダからの財政面と技術面の支援を得て、トップに返り咲くという共通の目標の下でワークスチームに戻ることを意味していた。しかしチームはそのことを理解していなかった。

(c)XPB Images
 マクラーレンにとって最大の懸念は見栄えのいいシャシーを作ることにあった。そして結果が出ないことの責任はすべてエンジンメーカーに負わせた。その時点で結果は驚きではなかった。苦い別れがあり、トロロッソとの新たな歩みが始まった。レッドブル自身もルノーとの決別へと進んでいた。

 これはマクラーレンが犯した最大の失敗だった。焦りと、結果をすぐに出す必要があるという誤った印象に駆り立てられたものだ。トロロッソとホンダは2018年に1年目を迎えたが、間もなく実現する成功の基礎をすでに築いていた。1年後、レッドブルはホンダエンジンを採用し、3レースで優勝した。多くの人々が、レッドブルはマクラーレンの仕事の成果を得たのだと話していた。それは事実だったが、レッドブルが信頼できないパートナーシップに終止符を打ったのも明らかなことだった。

 その後のことはご存知のとおりだ。レッドブルとアルファタウリは双方とも2020年に表彰台の最上段に立った。マックス・フェルスタッペンは2021年から3年連続でドライバーズタイトルを獲得し、その後レッドブル・ホンダは新たな高みに到達して、勝てるものすべてを勝ち取っている(特に現在進行中のシーズンではそうだ)。

 今後の興味深い展開として、レッドブルは2026年に向けて自社製のフォードブランドのエンジンに切り替え、ホンダはF1で新たなホームを探すことになる。それはアストンマーティンになる予定だ。彼らはレッドブルの過去を思い出させるかもしれず、非常に興味深い結果を出し始めている。

(c)Honda
 多くの点で2026年は、F1にとって一種の“ソフトリセット”となるだろう。新たなレギュレーションは、序列が大きく揺らぐ可能性があることを意味する。しかし現在の傾向は依然として重要だ。アストンマーティンが優れたマシンを作り、ホンダとの良好なコラボレーションを開始できれば、彼らは驚きのひとつやふたつを与えてくれる可能性があるだろう。そして皮肉なことに、フェルナンド・アロンソがチームにいるとその輪は閉ざされる。アロンソが2026年もF1でレースをしている可能性は低いが(44歳でシーズンを始めることになる)、不可能というわけではない。

 ホンダのエンジニアのなかには、マクラーレンの決定を個人的に受け止めた人たちがいることを私は知っている。彼らと決別した後、レッドブルでの勝利は“もし”ではなく“いつなのか”という問題だった。モチベーションはかつてないほどに高まっていた。そして今、同様の状況が起きている。

 レッドブルとホンダの別れは、双方のタイミングのずれにより起きたことは明らかだ。そうでなければ、この関係は少なくともあと数年は続いていただろう。ホンダのすべての人たちにとって、これはレッドブルが非常に素晴らしい仕事をした一方で、ホンダが彼らにF1で最高のエンジンを提供していたことを示す新たな機会なのだ。

(Alex Garcia/Translation: AKARAG)

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