2023.11.12

【F速プレミアム】
苦境から抜け出せないペレスと笑顔が戻ったリカルド/スペイン人ライターのF1コラム


(c)XPB Images
 シーズン序盤の好調な成績から一転、思うような走りを見せていないセルジオ・ペレス。ドライバーズランキング2位は確保できそうだが2024年のシートは不透明な状況だ。スペイン在住のフリーライター、アレックス・ガルシアがペレスの現状について語る。
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 3年弱前の2020年12月6日、セルジオ・ペレスは驚くべき復活を果たし、サクヒールGPで優勝を飾った。“チェコ”(ペレスの愛称)がレーシングポイントへの別れの贈り物としてF1でのキャリア初優勝を送るという、夢のような勝利だった。2021年のシートを失っていたペレスだが、2週間も経たないうちに、ペレスはマックス・フェルスタッペンのチームメイトとしてレッドブルに加入することが発表された。そして3シーズンが経ち、状況は当時ほど明るいものではなくなっている。

 これを書いている時点で2023年シーズンは残り2レースとなっている。レッドブルに移籍後のペレスはわずか5勝を挙げたにすぎず、チャンピオンシップでの最高順位は3位だ。一方、彼のチームメイトは世界タイトルを3度獲得し、42レースで優勝している。現在のF1で“最高の実力者”であるフェルスタッペンに、ペレスが肩を並べられると予想していた者がいなかったのは明らかだ。しかし、ペレスが多くのチャンスを逃したという感触を振り払うことはできない。
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 もちろんすべてが悪いわけではない。ペレスは、以前レッドブルのドライバーだったピエール・ガスリーとアレクサンダー・アルボンよりも優れた結果をチームにもたらすことができた。彼らがドライブしていたマシンはペレスに与えられているマシンほど競争力がなかったが、ペレスは全体的に信頼できるセカンドドライバーであることが証明された。ペレスは通常得意としているストリートサーキットを除いて、フェルスタッペンを焦らせるほど彼に近づいたことはめったになかった。

 しかし大部分において、ペレスのパフォーマンスは許されるものだった。コース上でレッドブルには、2021年はメルセデス、2022年の大半はフェラーリといったように相応のライバルがいたからだ。ペレスが2位でフィニッシュできないことは理想的ではなかったが、ほとんど問題にならなかった。しかし、むらのある2022年シーズンを終えたペレスには、将来についてある程度の疑問が生じた。レッドブルがテスト兼リザーブドライバーとしてダニエル・リカルドと契約をしたことは、ペレスにプレッシャーかけるための手段だとみなされたほどだ。

 それは、最初はうまくいったように見えた。最初の5レースで2回のポールポジション、2回の優勝と合計4回の表彰台を獲得したペレスは、フェルスタッペンにタイトル争いを挑んでいるようだった。だがそれだけだった。その後の15レースでペレスはさらに4回表彰台に上がったが、優勝もポールポジションもなかった。そして予選でのパフォーマンスが低いことから、ペレスのシーズンは終わりのない登り坂の戦いに変わった。アルファタウリでニック・デ・フリースがシートを失い、リカルドが復帰したことは助けにはならなかった。リカルドは明らかにレッドブル・レーシングへの復帰を目指しているのだ。

(c)XPB Images
 さらに、その後の物語はペレスの状況を悪化させただけだ。ご存知のように、リカルドはシルバーストンで行われたテストでレッドブルの2023年型マシンで約12周走行してアルファタウリのシートを手に入れた。そしてオランダGPで負った手首の骨折から復帰した後、ペレスのホームグラウンドである第20戦メキシコシティGPで魔法のようなパフォーマンスを見せた。リカルドがアルファタウリのマシンで、2台目のレッドブルを予選で上回ったのは強烈な瞬間だった。レースでペレスは1コーナーでクラッシュして劇的な終わりを迎えたが、リカルドは賢明なレースをして7位につけた。

 そして今、うわさは本格的になっている。時が経ち、リカルドがレッドブルを去る選択をしたのは間違いだったことがわかった。リカルドはまずルノー、ついでマクラーレンでタイトル争いをすることを期待していたが、彼らはリカルドに十分に競争力のあるマシンを与えることができず、結局彼がマシンにうまく適応できるように助けることができなかった。リカルドは特に厳しい2022年シーズン中は惨めな様子だったが、アルファタウリで昔の笑顔の彼に戻った。彼の目標は秘密でもなんでもなく、レッドブルに復帰することだ。

 リカルドがフェルスタッペンとすぐにタイトル争いをすることはありそうにないが、以前チームに所属していた期間を考慮すると、2台目のマシンを託すのに彼はペレスよりもはるかによい選択肢になるはずだ。リカルドはより多くのレース優勝、表彰台フィニッシュ、ポイント獲得を経験しており、2位のポジションを獲得するチャンスに恵まれている。メキシコGP後にペレスが守るのに苦戦している順位だ。レッドブルF1チームはこのことをわかっている。さらに、彼らにはアルファタウリに入れるのにリアム・ローソンという完璧なドライバーがいる。

 F1の世界では、予測を立てることは常に非常に困難だ。内部情報を持っていても持っていなくてもそうだ。しかし傾向は目で見ることができる。現在の傾向は、ペレスがおそらくF1史上最も優位にあるマシンに乗りながらパフォーマンス不振に陥っている一方で、リカルドが苦戦するチームの復活を助けているというものだ。この時点で、フェルスタッペンとリカルドのペアがレッドブルで復活するのを見るのは、“もしも”というよりは“いつ”の問題だと私は主張したい。

(c)XPB Images

 チームは2024年のペレスの続投について、彼がランキング2位を維持できるかどうかは関係ないと語っており、それはおそらく真実だと私は考えている。しかしそれは彼のパフォーマンスを評価し、シートを保持させるべきか否かを決定する上で重要な指標になるだろう。そして正直に言うと、ペレスが優勝するか連続で表彰台を獲得する以外に、彼の残留を正当化できるとは思えない。

 個人的な意見であることは認めるが、リカルドがレッドブルに戻れば、F1にはかなりの興奮と期待がもたらされると思う。リカルドは経験豊富なベテランだ。彼は最高の年月を彼に与えたチームに戻るだろう。彼らがF1を支配しているなか、好ましい競争が行われることでフェルスタッペンの気は引き締まるだろう。もしかすると2016年のロズベルグのような驚きのタイトル獲得があるかもしれない。

 ペレスについては、彼はすでにいろいろな意味で勝者だと私は思う。彼はF1の中団から抜け出すことができ、トップチームでレースをし、優勝を飾ってホームレースで表彰台に立った。フェルスタッペンがチームメイトだったら、世界タイトルは彼にとって現実的な選択肢ではない。今シーズンを2位でフィニッシュできたら、彼は堂々と顔を上げて去ることができるだろう。そしてあなたはどう思うだろうか?個人的には、レッドブルのリカルドを見ること、そしてリム・ローソンがスーパーフォーミュラで学べたことをフルタイムで発揮するというアイデアが非常に魅力的だ!

(c)XPB Images

(Alex Garcia/Translation: AKARAG)

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