2023.11.29

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ビジネスの“健全性”のため、新チーム参入に否定的な既存チーム


(c)XPB Images
 アンドレッティ・グローバルに関する議論は厄介なものになってしまい、現在も続いている。先週ゼネラルモーターズが(2028年の)エンジンマニュファクチャラーとしてFIAに登録し、それと同時に提携先はアンドレッティ・グローバルのみだと発表したことから、アンドレッティは2026年からグリッドに2台のマシンを投入するために必要なすべての条件をクリアしたように見える。

 それにもかかわらず、F1グループはアンドレッティのエントリーを受け入れることを躊躇している。

 数カ月前、FIAはアンドレッティのF1グリッドへの参入を認めた。しかしその道のりはまだ長い。アンドレッティはこれからフォーミュラワン・グループ(FOM)と商業契約を結ばなければならないのだ。これは簡単にはいかないだろう。知られているように、既存の10チームは新規参入者に反対しているからだ。当初アンドレッティとエンジン契約を結んだアルピーヌでさえ、現在は“乗り気”ではない。アンドレッティがアルピーヌのエンジンを使う契約は期限が切れたためだ。
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 理論上、10チームは何も言うことはないが、FOMは当然ながら彼らの意見に耳を傾けている。(既存チームをF1と結びつけている)コンコルド協定は2025年で失効するため、FOMと10チームは相互に依存している。

 F1の収益を管理し分配するのはFOMだ。そしてアンドレッティ・キャデラックが反対されている理由は、これらの収益にある。アンドレッティが受け入れられたら、“F1のパイ”は現在の10等分から11等分されなければならない。

 ある意味では論理的な議論だ。しかし今日のF1の財政面の現実によって、その議論には穴が開いてしまう。なぜならより多くのレース、観客、テレビ視聴率といったF1への関心の高まりは、“ケーキ”をこのわずか4年間で25%増加させたのだ。

 この期間には予算制限も導入され、参戦チームの支出に上限が設けられている。より大きな”“ケーキ”からの収益が増え、予算制限によってコストを削減することで、F1チームを所有することは非常に儲かるビジネスになった。たとえばメルセデスF1チームは、2022年の決算を発表したばかりだが、同社の税引後利益はおよそ1億1000万ドル(約164億2800万円)だ。

 現在の“ケーキ”は、もちろんだが10等分されてはいない。一切れの大きさはチームの結果と歴史によって異なる。金額は公表されていないが、ひとつもしくは複数のトップチームは、FOMからの収益で経費をおおよそ賄うことができると聞いている。

 それより下のチームは、より小さな“パイ”を受け取るが、FOMからの収益は彼らの予算の最大80%をカバーすると言われている。

 10チームの代表はPRに通じていることから、財政と11番目のチームについてあまり多くを語らない。彼らは自分たちが、違法なカルテルの強欲なメンバーのようなものだと簡単に捉えられかねないことを認識している。

 したがって、彼らが代わりに話すのは“安定性”についてだ。F1史上初めて、現在すべてのチームが健全なビジネスを行っている。収益を約10%減らしてアンドレッティ・キャデラックに与えることで、なぜビジネスの健全性を少し減らさなければならないのか?

「もし新たな財政危機が起きたら、ひとつかそれ以上のチームが消滅してしまう」というのは、一部のチーム代表が新チーム参入を政治的に正しいやり方で反対するために思いついた主張だ。

 私の意見では、これは入念に練られた主張ではない。彼らが本当に危機に陥った場合、10チームよりも11チームあった方が状況はよくなるからだ。危機が始まった際により多くのチームがあれば、それだけ多くのチームが生き残るだろう。

 イメージ主導のスポーツにおいて、現在の10チームは彼らの評判とイメージに注意しなければならない。前述したとおり、新チームに対する彼らの反対には貪欲さとカルテル形成の両方の匂いがするが、より重要なのは、それがF1ファンの顔を平手打ちするような行為だということだ。

 すべての調査が示しているのは、世界のF1ファンたちの大多数が、新しいチームがグリッドに参入するのを望んでいるということだ。新チームは新たな関心を呼び、新人ドライバーたちにはより多くのチャンスが訪れる。アメリカのチームであるアンドレッティの場合、F1が歴史的に苦戦してきた世界の地域において、新たな市場シェアがもたらされる。

 10の富裕で安定したF1チームと、F1の現在の黄金寺時代を根本的に築いた数百万人のファンと、どちらがより重要だろうか?

 それゆえ、既存の10チームは、現時点ではますます大きくなるケーキを分け合うことについてそれほど恐れるべきではないだろう。新チームが彼らの存在を脅かすだろうと恐れるべきではない。

 確立されたチームを現在の財政状況の下で運営できないのなら、F1でビジネスを行うことはできない。

(Peter Nygaard/Translation: AKARAG)

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