アントネッリ大健闘の2位。隙を見せず王者の猛追を凌ぐ【F1サンパウロGP決勝の要点】
「キミ、ここまで来たら、あとは君に任せるよ」
2025年F1第21戦サンパウロGPの決勝終盤、アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)はマックス・フェルスタッペン(レッドブル)の猛追を受け、67周目には両者の差はわずか0.6秒まで縮まっていた。チェッカーまで残り4周。担当エンジニアである“ボノ”ことピーター・ボニントンも、ここまで来たらドライバーに託すしかない。
託された19歳のF1ルーキー、アントネッリはファイナルラップのターン1でもフェルスタッペンに隙を見せず、最後は0.362秒差で逃げ切って、自己ベストの2位表彰台を獲得した。

インテルラゴスは初体験のサーキットだったにもかかわらず、アントネッリは初日から果敢に攻めた。スプリント予選はランド・ノリス(マクラーレン)から0.1秒差の2番手。翌日のスプリントは路面のあちこちに水溜まりのある難しいコンディションだったにもかかわらず、ノーミスの走りで2位チェッカーを受けた。さらに決勝レースに向けた予選でも、自己ベストの2番グリッドを獲得した。
決勝での最大の危機は、セーフティカーラン終了からのリスタート直後、6周目のターン1だった。アントネッリ、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)、シャルル・ルクレール(フェラーリ)が3ワイドで飛び込んでいく。
インから刺してきたピアストリがブレーキをロックさせ、アントネッリ車の左側に接触。その衝撃でアントネッリはアウト側に弾かれ、スピン状態でルクレールのマシンにぶつかった。
これでアントネッリは、3番手に後退。それでも「ラッキーだった。その後も少し変な感じはあったけど、トラブルにはならなかったからね」と、レース後に本人がコメントしたように、奇跡的にダメージはなかったようで、アントネッリのレースペースは落ちなかった。

今季F1デビューを果たしたアントネッリはシーズン序盤からコンスタントに入賞を重ね、6月のカナダGPでは初表彰台となる3位を獲得した。しかしカナダGP以降はリタイアやノーポイントのレースが続いた。それ以上にチームメイトのジョージ・ラッセル(メルセデス)に対しては、予選で2勝18敗、レースは1勝19敗と、大きく負け越している状況だった。
それが今回のサンパウロGPでは、スプリントも含め、予選・決勝ともにラッセルを圧倒しての2位表彰台だった。昨年、同じプレマ・レーシングでFIA F2を戦ったオリバー・ベアマン(ハース)も、同じようにチームメイトのエステバン・オコン(ハース)を凌ぐ走りで、前戦メキシコシティGPの4位に続く6位入賞を果たした。
8位に入ったアイザック・ハジャー(レーシングブルズ)、残念ながらリタイアに終わったもののニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)と互角に戦い続けるガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)を含め、今年はルーキーの当たり年だと改めて感じされられた。
