“モナコ初参戦コンビ”ハジャーとローソンが躍動。2度のミスから巻き返しダブル入賞、選手権7位に【ルーキー・フォーカス】
ほかのサーキットとはまったく異なるキャラクターのモンテカルロ市街地サーキットはその経験が問われ、ルーキーには厳しいサーキットとして知られている。そのことは、2021年以降のルーキーのモナコGPでの予選とレース結果を見てもわかる。
■予選
・角田裕毅(アルファタウリ:16番手
・ニキータ・マゼピン(ハース):19番手
・ミック・シューマッハ(ハース):ノータイム
■レース
・角田裕毅(アルファタウリ):16位
・ニキータ・マゼピン(ハース):17位
・ミック・シューマッハ(ハース):18位
■予選
・周冠宇(アルファロメオ):20番手
■レース
・周冠宇(アルファロメオ):16位
■予選
・オスカー・ピアストリ(マクラーレン):11番手
・ニック・デ・フリース(アルファタウリ)12番手
・ローガン・サージェント(ウイリアムズ)16番手
■レース
・オスカー・ピアストリ(マクラーレン):10位
・ニック・デ・フリース(アルファタウリ):12位
・ローガン・サージェント(ウイリアムズ):18位
今年は5人のルーキーがF1に参戦。今年がフル参戦初年度となったリアム・ローソン(レーシングブルズ)を含めると6人のドライバーが、初めてモナコGPに参加した。そして、今年もモナコは幾多の厳しい洗礼をルーキーたちに浴びせた。
そのなかでも、最も厳しい出だしとなったのがアイザック・ハジャー(レーシングブルズ)だった。ハジャーは、フリー走行2回目で2度バリアに接触。「あの瞬間はもう終わったと思った」と振り返ったハジャーだったが、ハジャーのモナコGPはここから徐々に息を吹き返していく。
土曜日の予選でフランコ・コラピント(アルピーヌ)、オリバー・ベアマン(ハース)、ガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)がQ1で敗退し、アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)も15番手と接触によりQ2を突破できなかったのに対して、ハジャーはQ3に進出。予選自己最高位となる6番手を獲得した。
さらにチームメイトのローソンも初めてのモナコでQ3に進出し、予選9番手となる。そして、日曜日はこのローソンの存在がハジャーのレースを大きく左右することになった。
今年のモナコGPはレースで3セットのタイヤを使用しなければならないという、例年とは異なる変則的なルールを採用していた。そこでレーシングブルズ勢は、チームプレイを駆使。5番手を走行していたハジャーがピットインしてもポジションを大きく落とさないよう、9番手のローソンが意図的にペースを落とし、前方との間にモナコでのピットストップロスとなる18秒以上のギャップを築いた。
15周目にピットインしたハジャーは、ローソンの前でコースに復帰した。その後もローソンがスロー走行し、20周目に2度目のピットインを行い、義務付けられたタイヤ交換をすべて消化。再びローソンの前でコースに戻ることに成功した。
こうしてハジャーは6位でフィニッシュ。予選に続いて、レースでも自己最高位を更新した。
「今日はチームとして成し遂げたことに本当に誇りを感じている。僕をサポートしてくれたリアムに感謝したい」
そう語るハジャーをサポートしたローソンも自己最高位を更新する8位に入り、今シーズン初入賞。レーシングブルズとしても、今シーズン初のダブル入賞を果たした。12点を獲得したレーシングブルズはコンストラクターズ選手権でアストンマーティンを抜いて7位に浮上。6位のハースと4点差に肉薄。それを支えたのは、ハジャーとローソンという2人のF1モナコGP初参戦コンビだった。