【F1技術解説】なぜメルセデスはこれほど遅かったのか(1)“修正すべき欠陥”により5番目のチームに
2024年F1第2戦サウジアラビアGPでメルセデスが苦戦した理由を、F1i.comの技術分野担当ニコラス・カルペンティエルが探り、マシン細部の画像も紹介する(全2回)。
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サウジアラビアでのジョージ・ラッセルとルイス・ハミルトンは、6位と9位が精一杯、5位と7位だった開幕戦バーレーン以上に苦しんだ。このパフォーマンスの悪さは、どう説明すればいいのだろう?
まずは、サウジアラビアGPのレース全体を振り返る。レースは単調な展開に終始したが、そこにはふたつの理由がある。まず、新型リヤウイングとビームウイングを投入したレッドブルRB20が、開幕戦以上の強さを発揮したこと。さらに、元々タイヤの劣化が少なく、1ストップ戦略が主流のジェッダサーキットで、早期にセ−フティカーが導入され、大部分のドライバーがタイヤ交換義務を果たしてしまい、その結果、違う戦略を取る選択肢がほとんどなくなったことだ。
こうしてレースは長いトレインが続く展開となり、1-2を独占したレッドブにとっては公園を散歩するような楽なレースになった。チームはクリスチャン・ホーナーとヘルムート・マルコの権力闘争により混乱の時期を迎えているが、コース上では何の懸念もなく、マックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレスは、3位でレースを終えたシャルル・ルクレールのフェラーリを一度も脅威と感じることはなかった。
レッドブルRB20は決勝レースでのタイヤの持ちの良さが、ライバルに対する大きなアドバンテージのひとつだ。しかしジェッダの路面舗装は滑らかで、タイヤの摩耗が少ない。開幕戦バーレーンでのフェルスタッペンがルクレールに39秒差をつけたのに対し、サウジでは、「わずか」19秒の優位にとどまったのは、おそらくそれが理由だった。
超高速市街地コースのジェッダだが、フェラーリSF-24はバーレーンに続いて「ミディアムダウンフォース」のリヤウイングを装着した。それに対し他のチームはすべて、ローダウンフォースのリヤウイングだった。このウイングが発生するドラッグは明らかに不利な要素のはずだったが、フェラーリはレッドブルに次ぐ二番目にパフォーマンスの良い車だった。4位に入ったマクラーレンのオスカー・ピアストリより、はるかに速かったのだ。
一方でマクラーレンは、5位フェルナンド・アロンソのアストンマーティンより速く、そして6位のジョージ・ラッセルのメルセデスは、そのアストンマーティンにさえ全く太刀打ちできなかった。
W15がバーレーン以上にジェッダで苦しんだ要因はなんだったのか。
「特に高速区間でのコーナリング性能が悪く、コーナーでクルマが跳ねまくっていた」と、メルセデスのトラックエンジニアリングディレクター、アンドリュー・ショブリンは分析する。
「予選一発の速さに苦しみ(注:ラッセル7番手、ハミルトン8番手)、レースでもアストンマーティンやマクラーレンと互角に戦えなかったのは、それが理由だった。(高速S字コーナーの連続する)最初のセクターで、予選でもレースでも大幅にタイムロスしてしまった」
「まだまだ修正が必要な欠陥があり、レース週末だけで適切なセッティングを見つけることはできなかった。次戦メルボルンはこことコース特性が似ているだけに、今からかなり努力しないと、同じような週末になる恐れがある」
(第2回に続く)
この記事は f1i.com 提供の情報をもとに作成しています