2024.05.15

F1マイアミGP技術解説:マクラーレンの勝利を支えた大型アップグレード(2)サイドポッドが変更された“Bスペック”


2024年F1第6戦F1マイアミGP ランド・ノリス(マクラーレン)がF1初優勝
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 2024年F1第6戦マイアミGPに、マクラーレンが大規模なアップグレードを持ち込んだ(フロントウイング、フロントサスペンション、フロントコーナー、フロアボディ、サイドポッド・インレット、コーク/エンジンカバー、クーリングルーバー、リヤサスペンション、リヤコーナー、ビームウイング)。F1i.comの技術分野担当ニコラス・カルペンティエルがこれを分析、マシン細部の画像も紹介する(全2回)。

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 新しいサイドポンツーンはランド・ノリスのマシンにのみ投入され、オスカー・ピアストリは次戦イモラでフルバージョンの恩恵を受けることになっている。英国ウォーキングのファクトリーは昨年、新しい製造工場を開設して生産能力を増強したものの、一部の納期は大幅に短縮できるほどではない。最近のF1では、チーム間のマシン性能差は非常に小さくなっている。そのため最近のアルピーヌのように、たとえそれが2人のドライバーのうちの1人だけに利益をもたらすアップデートであっても、開発を進めることに躊躇しない。

マクラーレンMCL38
マクラーレンMCL38比較写真

 エンジンカウルは、サイドポンツーンの再設計に合わせて微妙に形状変更されている。一見して明らかなのは、上向きの膨らみがより顕著になっていることだ(下4枚のマイアミでのノリスとピアストリマシンの写真比較での赤い矢印を参照)。 さらに上の3、4枚目の画像の緑色の矢印で示された領域のフロアも再設計されている。

マクラーレンMCL38
マクラーレンMCL38比較写真

 サイドポンツーン上部も、形状変更を施された。平らな部分 (青色で塗られた部分) はより幅が広く、新しいボディワークの後方に向かって長く伸びている。 その結果、空気の流れの通り道を刻む「樋」の始まりが遅く、短くなっている。

 これらの空力変更によって、ラジエターの取り付けを見直す必要に迫られた。空力効率の向上を、何よりも優先したということだ。実際、アップデートされたMCL38はドラッグ(前面からの空気抵抗)を軽減しつつ、ダウンフォースを増大させるという二律背反の使命にうまく対応しているように見える。リヤウイングが今までより薄くなっているのが、目に見える成果の一つだろう。

 とはいえ、この「Bバージョン」が空力効率に優れていたとしても、レッドブルを追い越せるほどの速さではなかった。たとえDRSが開いている状態でも、DRSなしのマックス・フェルスタッペンのRB20とほぼ同じ速さしか出せなかった。なのでノリスはセーフティカーの介入によってレースの先頭に立ったことに、大いに感謝するべきだろう。

マクラーレンMCL38
マクラーレンMCL38比較写真

 ただし幸運がノリスに有利に働いたとしても、彼がわずかなミスも犯さず、巧みなドライビングでしっかりチャンスを掴んだことも確かである。セーフティカー明けのノリスはハードタイヤでフェルスタッペンに対して1周あたりコンマ3秒速いペースを刻み続けた。

 さらにレース前半では、前を走っていたセルジオ・ペレスが17周目にピットに向かった後、ノリスはそれまでのタイムよりも1秒から1秒半速くなっていた。

 つまりマイアミでのマクラーレンは、本当に速かったということだ。 ただしマイアミの週末はタイヤの熱管理が非常に難しく、パフォーマンスに大きく影響した。そんな状況では、アップデートによる純粋なパフォーマンス評価は決して簡単なことではない。実際、ハードタイヤを履いた初日金曜日のMCL38は非常に速かったが、ソフトタイヤでの土曜日はそれほどではなかった。そして決勝レースの日曜日になると、再び劇的に競争力を回復した。マクラーレンに限らず、すべての車がピレリタイヤに関連する似たような変動を経験したのだ。

「マシンの進化は、予想どおりに進んでいるよ。でもマイアミは僕らのすべてをさらけ出すサーキットではなかった」とノリスは語った。

「次のイモラや他の場所なら、本当のポテンシャルをもっと理解できるはずだ。最終的な判断を下す前に、高負荷と低負荷の両方のサーキットで走ってみる必要がある」

 はたしてマクラーレンの速さは、本物なのか。まずは次戦イモラでのパフォーマンスを見てみよう。

ランド・ノリス(マクラーレン)
2024年F1第6戦マイアミGP ランド・ノリス(マクラーレン)

この記事は f1i.com 提供の情報をもとに作成しています



(翻訳・まとめ 柴田久仁夫)

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