ハースと元代表シュタイナーの訴訟が終了。肖像の無断使用などの訴えは棄却される
元ハースF1チーム代表のギュンター・シュタイナーと、元雇用主であるハースF1チームの法廷闘争が和解に至った。
昨年4月に始まった長きにわたる法廷闘争は、双方がさらなる訴訟を起こすことなく問題を解決することに合意し終結した。ハースとシュタイナーの契約が更新されないまま、彼の氏名と肖像が引き続き使用された件をめぐるこの訴訟は棄却されたため、再度訴えを起こすことはできなくなる。
59歳のシュタイナーは当初、ハース・フォーミュラLLCに対して訴訟を起こし、契約が更新されなかった後もチームは金銭を支払う必要があると主張していた。
シュタイナーは訴訟書類のなかで、ハースの人気が高まったのは、とりわけ成長を続けるアメリカのF1市場においては彼の努力によるところが大きいと主張し、チームのファン層と成功は彼の存在を中心に築かれたと述べていた。また、ハースが契約を延長しないと通告した後も自身の氏名と肖像が使い続けられたと主張し、対立をさらに深めた。シュタイナーは、特にNetflixの『Drive to Survive(邦題:栄光のグランプリ)』」シリーズで率直で生き生きとした姿を見せたことから、F1コミュニティでの知名度は高く、この訴訟は幅広い関心を集めた。
しかしながら、メクレンバーグ郡で約29時間にわたる自主的な調停が行われ、紛争は解決した。調停の結果、両当事者は合意に達し、訴訟は“棄却”された。つまり、シュタイナーは今後この件について再度訴えを起こすことはできないということだ。
この解決を受けて、ハースF1チームは、チームとシュタイナー両者が合意に達したことを認める声明を発表した。
「ハース・フォーミュラLLCは、ギュンター・シュタイナー氏とハース・フォーミュラLLCが紛争を解決し、ギュンター・シュタイナー氏が訴訟でこれまで行った申し立てをすべて取り下げ、ハース・フォーミュラLLCに対して主張したすべての請求が棄却されたことを発表する」
「シュタイナー氏とハース・フォーミュラLLCは互いの今後の成功を祈っている。また、この件に関するこれ以上のコメントは差し控える」
この声明は、両陣営が極めて公的な法的紛争の終焉を示すものだが、この一件は、シュタイナーのチーム離脱後に溝が拡大していたことを浮き彫りにした。
シュタイナーは2014年からハースF1の指揮を執り、チームの創設からF1でのレースデビューまでチームを導く上で重要な役割を果たしてきた。彼のリーダーシップの下、ハースは2018年にコンストラクターズ選手権で5位という史上最高の成績を達成し、この功績により、彼はスポーツ界で最もダイナミックで実直なリーダーのひとりとしての評判を確固たるものにした。在任中は特にDrive to Survive(栄光のグランプリ)でファンのお気に入りとなり、シュタイナーはその率直さとユーモアに富んだ振る舞いから傑出したキャラクターとなった。
しかし、任期最後の3年間のうち2年間はコンストラクターズランキングで最下位に終わるなど、一連の期待外れなシーズンを経ることになり、2024年にはシュタイナーに代わり小松礼雄氏がチーム代表に就任した。
法的な争いは解決し、シュタイナーとハースの両者が気持ちを切り替える準備ができていることは明らかだ。新しいリーダーシップと、刷新されたドライバー陣を擁するこのアメリカのチームは、将来に向けて準備を進めている。シュタイナーも同様であり、モータースポーツの世界で今後もその名を残し続けることは間違いないだろう。
この記事は f1i.com 提供の情報をもとに作成しています