コース内外で問題を抱えたまま開幕を迎えるレッドブル。5月以降はホーナー関連の2件の訴訟にも対応へ
レッドブル・レーシングは、コース内外に多くの疑問を残したまま2025年シーズンを迎えることになりそうだ。
2月末にバーレーンで行われた3日間のプレシーズンテストで明らかになったように、2025年型マシン『RB21』は、2024年シーズンの後半においてRB20に打撃を与えたのと同じ制約に悩まされているようで、限界までドライブするとかなり予測不可能になる。その上、チームは2種以上のタイヤコンパウンドで機能する基本セットアップを見つけることができなかった。
一方で、燃料が少ない状態でのマックス・フェルスタッペンのラップタイムは比較的競争力があったものの、データ分析によるとRB21はプレシーズンテスト中にマクラーレンに肩を並べることができておらず、純粋なパフォーマンスの面ではフェラーリにも後れをとっていたことがわかった。いくつかの信頼性の問題と、新しいノーズコーンとフロアでのテストの失敗により、レッドブルはテストで最も走行距離が少ないチームとなった。そのため、フェルスタッペンがよいベースラインからオーストラリアGPをスタートできるようにするために、ミルトンキーンズでやるべきことは数多くある。
しかし、レッドブルのシーズンを簡単に台無しにする可能性のある2件の訴訟が迫っている。まず、今から2カ月後、チーム代表のクリスチャン・ホーナーと彼の元パーソナルアシスタントのフィオナ・ヒューイットソンが、ロンドンの法廷で対決することになる。ホーナーはセクシュアルハラスメントで告発されたのだ。ホーナーの弁護団は、最終判決が出るまでこの事件について報道することをイギリスメディアに禁じる、報道禁止命令を出すことに成功した。しかしホーナーは、レッドブルの筆頭株主であるチャルーム・ユーウィッタヤーから多大な支援を受けてはいるものの、不利な結果が出ればレッドブルでの職を失う可能性もある。
また、ヒューイットソンは労働裁判所ではレッドブル・レーシングを相手取って訴訟を起こしており、彼女の訴訟の初公判は2026年1月に予定されている。ヒューイットソンは、ホーナーによる嫌がらせの疑いがある間、レッドブルから適切な保護を受けられなかったと考えており、ホーナーの民事訴訟を支援している同じ法律チームが実施し、ホーナーによる不正行為はなかったとされた内部調査の結果に異議を唱えている。
レッドブルのモータースポーツコンサルタントを務めるヘルムート・マルコは、この2件目の訴訟がすでに法廷に持ち込まれていることを認めており、「それまでに状況が元通りになり、和解条項によって和解が成立することを期待している」と述べた。
被告側が裁判前に和解を試みるとき、それは通常、自らの過失を認めずに原告側に一定額の和解金を支払う用意があることを意味する。しかし、迅速な和解による解決により、レッドブルからヒューイットソンに補償金が支払われると、ホーナーに対する民事訴訟においては、同社が罪を認めたとみなされる可能性があるため、彼女にとっては有利に働くだろう。