2025.12.27

【F1チーム別技術レビュー:フェラーリ】SF-25が抱える先天的な問題&開発戦略の失敗で、選手権4位に転落


2025年F1イタリアGP ルイス・ハミルトン(フェラーリ)
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 2025年F1トップチーム各マシンのパフォーマンスと開発戦略を、F1i.comの技術分野を担当するニコラス・カルペンティエルが分析した。それぞれのチームはなぜ成功し、あるいはなぜ失敗したのか。今回は、コンストラクターズ選手権4位に沈んだフェラーリについてまとめた。

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 フェラーリは、2025年のF1コンストラクターズ選手権において4位に終わった。その背景には、一連の技術的・戦略的判断の積み重ねによって、SF-25が徐々に本来のポテンシャルを失っていった現実がある。

 2025年の跳ね馬は、率直に言って精彩を欠いていた。シーズンを通して未勝利、ポールポジションもわずか1回。スクーデリアはコンストラクターズ選手権4位でシーズンを終えたが、これはSF-25の競争力(グリッドで4番目に速いマシン)を考えれば妥当な結果である一方、年初に掲げた目標が完全に失敗に終わったことを冷酷なまでに示している。

 後退の大きさを雄弁に物語る数字がある。獲得ポイントが2024年比で254ポイント減、約40%も落ち込んだのだ。スクーデリアは、文字どおり劇的な後退を経験したと言えるだろう。

 この失速の裏にあるのは、技術的要因と人的要因が複雑に絡み合い、SF-25が抱えていた限界が段階的に露呈していったという現実だ。

シャルル・ルクレール(フェラーリ)
2025年F1第3戦日本GP シャルル・ルクレール(フェラーリ)

■先天的に問題を抱えたマシン

 SF-25は、その設計段階から重大な妥協を内包していた。マラネロのエンジニアたちは、空力最適化を狙ってコクピット位置を後方に移動させた。しかしホイールベースに関しては、前年型とほぼ同等に維持するという選択を行った。その結果、ギヤボックスの短縮を余儀なくされ、リヤ周りに確保できるスペースは大幅に制限されたのである。

 このスペース不足は、リヤサスペンションに直接的な影響を及ぼした。リヤダンパーは極めてコンパクトな設計を強いられ、その代償として作動力や応答性が犠牲になった。こうした条件下でのSF-25は当然ながら、高速域における車高制御を適切に行うことができなかった。

 ボトミング(底付き)を避けるため、現場エンジニアたちは常に車高を高めに設定せざるを得ず、その結果としてダウンフォースを失い、パフォーマンスも低下するという悪循環に陥った。

 この傾向を決定づけたのが、中国GPでの失格処分だった(訳者註:5位フィニッシュのシャルル・ルクレールは最低車重違反、6位フィニッシュのルイス・ハミルトンはプランクの異常摩耗による最低数値違反)。

「この失格で、我々は完全にバランスを崩した」と車体開発責任者ロイック・セラは言う。

「車高に安全マージンを取らざるを得なくなったからだ。周知のとおり、F1マシンはこの点に極めて敏感で、1ミリの差が結果を大きく左右する。完全にコントロールできていない状況で安全策を取れば、それがパフォーマンスに甚大な影響を及ぼす。そしてライドハイトを正確に制御できなければ、競争力は確実に損なわれる」

 この構造的制約により、フェラーリは非効率な作動領域に閉じ込められ、短期的に解決できる打開策を持たないままシーズンを戦うことになった。

シャルル・ルクレールとルイス・ハミルトン(フェラーリ)
2025年F1第7戦エミリア・ロマーニャGP シャルル・ルクレールとルイス・ハミルトン(フェラーリ)

■サスペンション変更を優先し、空力を犠牲に

 これらの欠点を修正するため、フェラーリはベルギーGPで新しいリヤサスペンションを投入した。狙いは明確で、ドライバーの信頼感を高め、コーナー進入時の安定性を向上させ、強い負荷がかかる局面でのタイヤ摩耗を抑制することにあった。

 理論上では、このアプローチ自体は決して的外れではない。しかし内部データによれば、期待された成果は最後まで現れなかった。導入後も明確な数値的進歩は確認されず、それなりの改善に留まった。

 その結果、マラネロの技術部門内部では次第にある認識が広がった。問題はサスペンションそのものではなく、そのアップデートに集中したことにより機会損失が生じたからではないか、という疑念である。

 たとえば当初アゼルバイジャンGPに予定されていた改良型フロアは、最終的に投入が見送られた。現代F1において、フロアは依然として最大の性能創出要素として重要なひとつである。このアップデートを断念したことで、フェラーリはダウンフォースと車体全体の気流管理の両面で、構造的な進歩の機会を自ら手放すことになったのだ。

フェラーリSF-25
フェラーリSF-25 ベルギーにおけるサスペンションの変化

■早すぎた2025年の開発停止

 遡ればそれ以外にも、フェラーリ上層部は致命的な結果をもたらす判断を下している。SF-25の開発を、かなり早い段階で打ち切ったのだ。具体的にはシーズン序盤に早くも風洞開発を凍結し、即座に2026年マシンへとリソースを振り向けることを決めた。

 その結果、約6カ月もの間、フェラーリは空力開発が完全に停止したマシンで戦うことになった。ベルギーで投入されたリヤサスペンションも、状況を一変させる切り札にはなり得なかった。一方、メルセデスやレッドブルはより段階的なアプローチを採り、2026年への準備を進めながらも、シーズン後半までアップデート投入を継続していた。彼らはCFD作業も8月まで続け、特に新型フロントウイングの柔軟性に重点を置いていた。

 フェラーリにおけるこの急進的な選択は、技術面だけでなく心理面にも大きな影響を及ぼした。フレデリック・バスール代表はこう認めている。

「我々は非常に早い段階、確か4月末には2026年へ切り替える決断をした。難しい判断だった。残り20戦、あるいは18戦もある状況で、もう空力開発を一切行わないと分かっている状態が、精神的にこれほど厳しいとは、正直なところ私は少し過小評価していたかもしれない」

 この徐々に進行した士気の低下と、構造的に制約されたマシン。その組み合わせが、フェラーリにとっての2025年シーズンの運命を最終的に決定づけたのである。

ルイス・ハミルトン(フェラーリ)
2025年F1第24戦アブダビGP ルイス・ハミルトン(フェラーリ)


(翻訳・まとめ 柴田久仁夫)

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