タイトル獲得を実感するには「時間がかかる」とノリス。意外な場所で戴冠の喜びを噛み締めたと明かす
マクラーレンのランド・ノリスはモータースポーツで最も困難なこと、つまりF1世界選手権で、わずか2ポイント差でのタイトル獲得を達成したばかりだったが、彼がその偉業を本当に実感した瞬間は、花火やシャンパンのシャワー、あるいは熱狂的な観客の前で訪れたわけではなかった。
それははるかに静かな場所で訪れた。そして、それははるかに予想外のことだった。第24戦アブダビGPで3位に入賞し初のタイトルを獲得したノリスは、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)による4年間の支配を終わらせ、シーズンを通して最後まで接戦だった戦いに終止符を打ち、F1の35人目のワールドチャンピオンとなった。ノリスのタイトル獲得を知らせる記事が即座に出され、祝賀の歓声が響き渡ったが、ノリスにとって、その認識は遅れて来た。結局、歴史は彼がトイレに行く間、礼儀正しく待っていたのだ。
チャンピオンシップの決定戦にはあらゆる混乱がつきものだが、ノリスは自分が成し遂げたことの大きさを認識するまでに、時間とひとりの時間が必要だったと認めた。
「僕たち全員が達成したことを事実だと認めるには、少し時間がかかる」と、ノリスは『F1.com』に語った。
「僕は自分の夢、あの少年の夢を叶えた。6歳の頃、僕はテレビでそれを見て、自分もあれをやりたいと思った。そして、今ここでそれを実現しているんだ。これはクレイジーだよ。だから、まずは両親、母、父、兄弟、姉妹など、最初からずっとそばにいてくれた人たちに心から感謝を伝えなければならない。しかし、本当に大変な旅だった」
「マクラーレンで過ごした長い年月には、よい時も悪い時もあった。でも今年はコンストラクターズタイトルとドライバーズタイトルを獲得し、そのすべてに対して大きな感謝を伝えることができた。いつになったら実感が湧いてくるのかわからないよ」

結局、その答えは磁器と平和に関係していた。
「本当のことを言うと、僕はただトイレに行っただけだ。初めて、少しだけひとりになって、心地よく、穏やかで、静かな時間を過ごした。そして僕は、『ああ、僕はやったんだ、やった、やった!』と思った」
そこは華やかではなかったが、現実だった。世界チャンピオンがついにランド・ノリスに戻った稀有な瞬間だった。
「だからようやくそれがどんな感じなのかを味わうことができ、ほんの数秒でもいいから世界の頂点にいるような気分を味わえて、そして僕にあれほど多くのことを注いでくれたみんなに恩返しができるなんて、本当に素晴らしいことだ」
「それは僕の両親から始まるが、エンジニア、メカニック、ファクトリーの全員についてもそうだ。彼らはこのようなことを達成するために、本当に懸命に仕事をした。今日は、言葉で感謝を伝えることにはなるが、言葉でありがとうと言うよりも、チャンピオンシップというアクションがそれ以上に大きな意味を持っている。そして僕は世界に向けて彼らに感謝している」

ノリスのチャンピオンシップは決して楽なものではなかった。フェルスタッペンとチームメイトのオスカー・ピアストリは執拗に彼を追い詰め、ピアストリは15ラウンドにわたってランキングをリードし、マクラーレンに繊細な内部バランスの調整を迫った。メキシコシティとブラジルでの連勝に代表されるシーズン後半の猛烈な活躍が、最終的に勝敗を分けたが、ノリスは途中で傷を負ったことを認めた。
「マックスとオスカー。オスカーのことを忘れてほしくない。彼らはふたりとも今シーズンに、僕の人生を地獄にしたんだ」
「僕がやってきたことのほとんどは、彼らが時々僕のお尻を叩いたのが理由だった」
「自分自身に問いかけてみなければならない。彼らはどうやって僕をここまで大きく負かしたのだろうか? いかにして、彼らはこのコーナーを僕よりずっとうまく通過できたのだろうか? こうしたすべてのことだ」
ノリスは、フェルスタッペンは依然として、ほとんどの人が到達できないベンチマークだと指摘した。
「マックスはすでに多くのことを達成していて、誰もがそのことを理解している。彼は4度の世界チャンピオンだ。正直に言って、マックスはF1で最高のドライバーのひとりだと僕は考えている。彼は懸命に取り組んでいる。彼は素晴らしいドライバーだ。彼はあらゆる面で必要なものをすべて持っている」

しかし、F1キャリアの初期段階にいるピアストリも、同様に手強いことが証明された。
「そしてオスカーは、言ってみればまだ新人だ。彼はまるでもう20年間もやってきたかのようにドライブする。彼も僕の人生を非常に困難なものにしたよ」
「チームメイトとして、僕たちは自分たちの生活を困難なものにしたと思う。そのおかげでマックスはチャンピオンシップで追いついてきて、僕たちふたりの状況が難しいものになった。でも彼らにどのように感謝を伝え、称賛し、祝福すればいいのかわからない。何をしたり言ったりするのが本当に正しいのか、僕にはわからない」
ノリスは、勝利には複雑な感情が伴うことを認めた。特にチームメイトと熾烈なタイトル争いをした場合はそうだ。
「難しい状況だ。オスカーと一緒に祝いに行きたいけれど、同時に彼はチームメイトだから難しい」とノリスは打ち明けた。
「彼が今、色々なことを考えていることはわかっている。将来いつかは僕も彼と同じ立場になり、同じことを考えるだろうし、彼もここに座って話すことになるだろうと思う」
「僕はオスカーとマックスの両方に敬意と称賛を示さなければならない。マックスは既にそうされているので必要としていないが、オスカーには必要だ。なぜなら、多くの人がすでに彼にふさわしい敬意と称賛を与えていると思うからだ。でももちろん、彼らにお祝いと感謝を述べ、称賛の意を表すことなしには、インタビューも何もできない」
ノリスにとって、世界選手権タイトルは派手にやって来たわけではなく、静かな微笑みと深呼吸、そして閉ざされた扉の向こうでのささやくような実感とともにやって来たのだ。それが最大の夢であっても、実現したことを実感するにはひとりの時間が必要なときがある。
