2025.05.30

【F速プレミアム】
グランプリのうわさ話:レースエンジニアと不仲説が囁かれるハミルトン


2025年F1第8戦モナコGP ルイス・ハミルトン(フェラーリ)
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 事件はサーキットの外でも起きている。もちろん、サーキットの中で起きているのは言うまでもない。水面下で蠢くチーム、ドライバー、グランプリにまつわる未確認情報を調査員が独自に調査。送られてきた報告書を公開する。
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 ハミルトンはフェラーリに馴染むのに時間がかかっているほか、レースエンジニアのリカルド・アダミとのコミュニケーションに問題を抱えていると多くの人々が考えている。モナコで『F1 TV』は、アダミとハミルトンがまだ完全に打ち解けていないことを示すいくつかの瞬間を捉えた。最初の瞬間は予選で、ベテランのハミルトンがアダミから誤った情報を得て、うっかりフェルスタッペンをブロックしてしまい、その過程で3ポジション降格のペナルティを受けたのだ。

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 レースでは、2回目のピットストップ後に大きな後方集団の後ろに回ることになり、4位争いから脱落したハミルトンはアダミにトップ集団との差を尋ねたが、伝えられたのはトップ集団のドライバーたちが使用しているタイヤのコンパウンドだけだった。イライラしたハミルトンは言った。「君は僕の言っていることを理解しているんだろう?」とハミルトンは質問を繰り返し、望んでいた答えを得た。

 その後レース終了まで、ふたりの間にそれ以上のコミュニケーションはなかったが、ハミルトンはフィニッシュラインを越えるとアダミに、「僕に腹を立てている?」と尋ねた。しかし、すぐには返答がなかったため、両者の間の不和についての憶測がさらに広がった。

 しかし、回答はあったのだが放送はされなかった。フレデリック・バスールは後に、次のように説明した。「ドライバーがターン1とターン3の間で何かを尋ねたときは、コーナリング中に話しかけるのを避けるために、トンネルから出てくるまで返答するのを待たなければならない。我々は寝ているわけでも、ピットウォールでビールを飲んでいるわけでもない。それは、コースの一部セクションでは、ドライバーと話をしないという合意があるからだ」そのため、後にルイスと話したとき、彼はまったく動揺していなかった。

■テレビ映えする悪役

2025年F1第8戦モナコGP フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)
2025年F1第8戦モナコGP フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)

 チームとのやり取りのなかで、何が放送され、何が放送されないかについて正当な不満を抱いているもうひとりのドライバーは、フェルナンド・アロンソだ。このベテランドライバーは長年、「どんな物語にも悪役が必要だが、F1は僕がその分野で最高の悪役だと決めつけた。だから、彼らは僕とチームの間のネガティブなメッセージだけを放送するか、完全に文脈を無視して放送するんだ」と不満を漏らした。

 そのわかりやすい例は、フリー走行でのことだった。アロンソが、他のドライバーがスローダウンラップでシケインやターン1をカットするのは、単にタイヤを温存するためであり、必ずしもクイックラップを走っているクルマの邪魔にならないようにするためではないと不満を述べたのだ。

 怒ったアロンソは「シケインをカットするドライバー全員に気を散らされるから、これは許されるべきではない」と無線で伝えたが、そのメッセージが『F1 TV』で放送されると、すぐにアロンソ自身がシケインをカットするリプレイ映像が放送され、彼のコメントが嘲笑されることになった。

 もちろんこれには違いがあった。アロンソは実際にはクイックラップを走っていたが、シケインでブレーキングが遅すぎたために不本意にコースオフしてしまっただけで、タイヤを温存するためではなかったのだ。それにもかかわらず、『F1 TV』はこの機会を利用して“アロンソは悪役”という物語を続けた。

 レース中には、タイヤ交換のためにピットインし、トラフィックのなかに戻ることになって、レースエンジニアから「急いで」と言われたアロンソが、「今はプッシュできない」と怒鳴り散らす映像も放送されたのだ……。

■抜本的な改善が求められるモナコGPのパドック

2025年F1第8戦モナコGP パドック
2025年F1第8戦モナコGP パドック

 来年のモナコGPのパドックは、過去20年間にわたって私たちが慣れ親しんできたものとはかなり異なるものになる予定だが、新たな物流上の課題を克服する最善の方法については、チーム間で合意が得られていない。グランプリのプロモーターとFOM(フォーミュラワン・マネジメント)が、状況を変える必要があると最初に警告を受けたのは、レッドブルが2026年に傘下の2チームが港の浮きプラットフォーム上にホスピタリティを設置することをもはや望まず、パドック内の通常のホスピタリティユニットを使用する意向を示したときだった。

 これだけでもFOMにとっては克服できない課題だが、キャデラックが選手権に参入することで、さらなる苦境に陥った。このアメリカのチームも、独自のホスピタリティユニットを持つことになるからだ。11チーム、FIA、F1、ピレリのすべてが素晴らしいホスピタリティユニットを持っているが、限られたスペースにそれらすべてを収容する余裕はない。特に、パドッククラブは利用可能なスペースの少なくとも4分の1を占めている。

 レース主催者は、オーストラリア、日本、マイアミなどの一部のフライアウェイレースで使用されているような仮設構造物の設置を提案したが、F1の情報筋によると、3チームがこの計画を拒否し、モナコはスポンサーにとって年間で最も重要なイベントであるため、スポンサーに可能な限りの快適さと豪華さを提供する必要があると主張したという。つまり、F1はよい解決策を持たぬまま行き詰まっている。



(Translation: AKARAG)

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