F1メディア委員会、故意のフェイクニュースの監視と取り締まりを検討
F1のメディア委員会は、インフルエンサーらが故意に誤情報を発信する行為を監視し、取り締まる有効な手段を探っている。最近ヨーロッパで報じられたふたつのニュースが、事実とは異なっていたことが後に判明した。
ひとつは、2025年にフェラーリに移籍するルイス・ハミルトンがエンツォ・フェラーリが人生最後の20年間の大半をすごしたマラネロの家に滞在する特権を得たという報道だ。
フィオラノ・トラックのすぐ隣に建ち、多数の部屋を備え、数十人を収容できるその家で、フェラーリ社の創設者は晩年を過ごした。彼が事業を営んでいたオフィスは、1988年8月に彼が死去して以来、そのままの状態で残されている。
家全体は、エンツォ・フェラーリの人生と遺産を記念する博物館として維持されており、そこに誰かが宿泊するのは、極めてまれなことだ。この家のベッドルームを使用したことがあるドライバーは、ミハエル・シューマッハーのみだった。彼はフェラーリ在籍中、フィオラノで午後9時までテストを行い、サーキットのそばで簡単な夕食をとってから、この家に泊まった。
あるイタリアのインフルエンサーが、フェラーリはハミルトンに同じことを許可したと発言、ソーシャルメディアで公開したそのストーリーに基づき、イギリスの日刊紙やイタリアでF1を放送しているテレビ局『Sky Italia』などが報道を行った。
しかしこれについて、フェラーリの広報責任者は、この報道は真実ではないと発言した。話題作りをしたい何者かの空想から生まれたストーリーだということが判明したわけだ。
先週には、ラスベガスGPに関して、真実でないうわさが広まった。サンパウロGPでアレクサンダー・アルボンとフランコ・コラピントが複数のクラッシュを起こした結果、ウイリアムズはラスベガスGPで2台を走らせることができないかもしれないという話だった。
だが、これは誤った情報であり、発信源は、あるアマチュアカメラマンだった。彼はF1を趣味として自身の資金で活動しており、以前から事実確認をすることなく無責任な発言をすることで有名だった。
彼がソーシャルメディアに投稿すると、その話があっという間に拡散されたため、ウイリアムズはそのうわさは事実無根であるとして否定せざるを得なくなった。
新たに設立されたF1のメディア委員会は、F1に関する無責任な情報拡散に対処することを目標として掲げている。対策として、フェイクニュースを発信するインフルエンサーのアクセスを制限することが検討されているほか、認定を受けた企業と契約することなく、個人的利益のために記事を書いたり発言したり撮影する人々を監視する手段をFIAに提供することについても、議論が行われている。