ライバルチームからエール。地元紙のフェラーリ代表批判にウォルフが持論「彼は最高のマネージャーのひとり」
メルセデスF1のチーム代表であるトト・ウォルフは、2025年F1第11戦オーストリアGPの終わりに、フェラーリのチーム代表であるフレデリック・バスールを熱心に擁護した。バスールは、個人的な問題により日曜日のレースを欠席して帰国せざるを得なかったが、ここ数週間イタリアのメディアから非難を浴びており、なかにはスクーデリアからの即時辞任を求めるメディアもあったからだ。
バスールの長年の友人であり、元レーシングドライバーのスージー・ストッダートとの結婚式では彼に花婿介添人を務めてもらったウォルフは、「もし私がこの立場にいなかったら、フレッド(バスールの愛称)を起用するだろう」と公言し、バスールのことをどれほど高く評価しているか示した。
もし新しいチーム代表がフェラーリに加わることになれば、イタリアのチームがふたたびゼロの状態に戻ることから、メルセデスにとっては最大の利益が生ずるだろうが、ウォルフはバスールの将来に関する質問に対する長い答えのなかで、バスールより「優れた人材を獲得することはできない」と主張した。
ウォルフはまず次のようにコメントした。「一般的に、チームというものは回転ドアのような感じで、次々と入れ替わっていく。クリスチャン(・ホーナー/レッドブルチーム代表)と私だけが生き残った恐竜のような存在だと思うが、F1では時間を買うことはできないと考えている。そして、上級幹部には事態を把握する時間を与える必要がある」
今週末のフェラーリの状況が、誰の頭にもあったことを明かしたウォルフは、次のように認めた。「今日はジャン・トッドについて話した。ジャン・トッドは、私の記憶が間違っていなければ1993年にチームに加わり、彼らが初タイトルを獲得したのは2000年のことだった。つまり、そこにたどり着くまでに8年かかったということだ」
その後ウォルフは、自身が指揮を執るメルセデスの例も挙げた。
「我々を見てほしい。3年連続でタイトル争いをしていない状況を、私は楽しんでいない。我々は能力がないわけではないし、勝利をあげて本当に素晴らしい週末を過ごしたときもあれば、まずまずの状態のときもある。そして状況がよくないときには、ある意味ではトップがよい仕事をしているかどうか、誰も疑問視しないものだ」
そしてバスールの状況に話を戻したウォルフは、フェラーリに促した。
「彼に余裕を残してほしいし、彼にやらせることだ。彼に組織を再構築させてあげてほしい。ロイック(・セラ、新テクニカルディレクター)が来て6カ月か7カ月だ。彼らはただ集中する必要があるだけだ」
「フレッドは私が知るなかで最高のレーシングマネージャーのひとりだ。彼は素晴らしい人格者で、率直な人物だ。私は彼を大いに尊敬している。彼は政治をしたり嘘をついたりもしないし、自分の発言の意味をつねに理解している。これを実行するには、信頼を得る必要があるし、私がこの立場に居なかったら、彼を起用していただろう」
ウォルフはその後、フェラーリの運営は他のチームの運営とは異なることを認め、次のように語った。
「フレッドは、フェラーリを率いることは、イタリアではサッカー代表チームを率いるようなものだということを、充分に理解している。そして、メディアから厳しく監視されることになる。おそらく、そのためにはもう少し厚い皮膚を育てる必要があるだろう。その重圧のなかで、もし彼が勝ったら、彼はイエス・キリストになるし、そして負けたら敗北者の烙印が押される」
「イタリアはそういうところだが、それは高い情熱の成す素晴らしいことでもあるし、それを受け入れなければならない。そしておそらく、彼が学ぶ必要があるものなのだろう。しかし現段階においては、フレッドにこのチームを率いるための自信を与えるべきだ」
そしてウォルフは、フェラーリの取締役会に明確なメッセージを送った。「彼らはこれ以上優れた人材を獲得することはできないだろう!」