フェルスタッペンとメルセデスの交渉はほぼ確実か。加入前提の質問に慎重な受け答えをしたウォルフ【代表のコメント裏事情】
2026年に向けたシート争いが、F1第11戦オーストリアGPで大きく動き出したようだ。
まず、ジョージ・ラッセル(メルセデス)がイギリスのSky Sports F1とのインタビューで「メルセデスがトップに返り咲くために、(レッドブルのマックス・)フェルスタッペンのような選手と話し合いを行うのは普通のこと」と、暴露した。
金曜日の国際自動車連盟(FIA)の記者会見に、メルセデスのトト・ウォルフ代表が出席したため、会見はこの件に関する質問が相次いだ。
Q:ラッセルが述べたように、フェルスタッペンとの交渉が、ラッセルとの契約締結が遅れている理由ですか?
ウォルフ:「それはここで話すべき内容ではない」
Q:ラッセルが2026年の契約を獲得するために、彼は何をすべきでしょうか?
ウォルフ:「何もない。彼は10年ほど前から私たちのプログラムの一員だ。常に私たちが設定した期待に応えてきており、今もそうだ。にもかかわらず、彼の契約に関する噂が飛び交っているが、すべては計画通り進んでいる」
Q:フェルスタッペンとの議論は現在進行中ですか、それともすでに終了しましたか?
ウォルフ:「私は常にドライバーを支持している。彼が言わないでほしいことを私が言うようなことはしない」
これらの発言を総合すると、メルセデスがフェルスタッペンと話し合いを行っていることは、ほぼ間違いないようだ。そのうえで、次の質問が飛ぶ。
Q:ジョージとマックスがメルセデスで一緒に走る可能性はありますか?
ウォルフ:「(ニコ・)ロズベルグと(ルイス・)ハミルトンを率いた経験があるので、あらゆるラインナップを考えている。ふたりのドライバーが激しく争うことには、長所と短所がある。それがうまくいった例も、うまくいかなかった例もある。契約の状況に関しては、私たちのスポーツは常にプレッシャーにさらされている」
そして、続いては「交渉しているかどうか?」ではなく、「交渉している」ことを前提に、次のように質問へと移っていった。
Q:フェルスタッペンがメルセデスに移籍するかどうかを知らせる期限はいつですか? もしフェルスタッペンがメルセデスへの移籍を決断した場合、シートを失うのはラッセルですが、それともアンドレア・キミ・アントネッリですか?
ウォルフ:「あなた方は、あたかも(フェルスタッペンが)加入することを前提に質問しているが、それには応じられないよ。交渉は閉じたドアのなかで行われるものなので、公の場で話をするつもりはない」
頑なウォルフもこんな質問に、つい口を滑らせた。
Q:今年3月に、あなたは「我々は(フェルスタッペンと)浮気はしない」と言っていましたが、この数カ月間で、あなた側またはレッドブル側で何か変化はあったのですか?
ウォルフ:「何を持って『浮気』というのか、私にはその定義がわからないが、私は何も変わっていない。その意味では浮気はしていない。でも、会話したことが浮気となるのなら、それはある」
ウォルフがここまで慎重になるのは、フェルスタッペンはレッドブルと2028年までの契約を結んでおり、違約金なしで獲得するには契約解除条項が発令するまで待たなければならないからだろう。その解除条項の詳細は不明だが、オーストリアGPでフェルスタッペンがリタイアした後のレッドブル首脳陣の落胆ぶりと、フェルスタッペンのさばさばとした表情を見ていると、すでに条件は整い始めているのかもしれない。