2025.11.17

ヨーロッパを離れプレッシャーから解放された3人と、普段以上の緊張感に包まれたボルトレート【ルーキー・フォーカス】


2025年F1第21戦サンパウロGP ガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)
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 通常であれば、ヨーロッパラウンド以外のフライアウェイ戦は、ルーキーたちにとって厳しいレースとなる。それはルーキーたちのほとんどがジュニアカテゴリー時代にヨーロッパでレースをし、ヨーロッパ以外のサーキットでの走行経験がほとんどないからだ。

 そんな中、F1第21戦サンパウロGPでは、不利なはずのルーキーたちの活躍が目立った。土曜日の予選でアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)がルーキーとしての今シーズン最高位となる2番手を獲得すれば、アイザック・ハジャー(レーシングブルズ)も5番手に入る大躍進。オリバー・ベアマン(ハース)も8番手に続いた。

アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)
2025年F1第21戦サンパウロGP予選 2番グリッドを獲得したアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)

 この3人は日曜日も、予選に負けない走りでレースを盛り上げた。アントネッリはセーフティカー明けの再スタートでオスカー・ピアストリ(マクラーレン)と接触した際に2番手の座を失うが、ピアストリが接触に伴うペナルティを受けたため、再び2番手に浮上。レース終盤はピットレーンからスタートしたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に迫られるも冷静に対処して、2位でフィニッシュした。ベアマンはふたつポジションを上げて6位でチェッカーフラッグを受け、ハジャーも8位入賞を果たした。

 サンパウロGPでルーキーたちが活躍した理由について、トト・ウォルフ代表は自チームのアントネッリを例に挙げ、こう説明している。

「地元のヨーロッパから離れて、プレッシャーから解放された面があるのではないか」

 確かに、アントネッリはイタリア人で、第7戦エミリア・ロマーニャGPでは高校の同級生が大勢サーキットに駆けつけた。イギリス人のベアマンとフランス人のハジャーにとっては、インテルラゴスは初めてのコースだが、その分プレッシャーもヨーロッパラウンドに比べて軽減されていた。

オリバー・ベアマン(ハース)
2025年F1第21戦サンパウロGP オリバー・ベアマン(ハース)
リアム・ローソンの7位とアイザック・ハジャーの8位を祝うレーシングブルズ
【写真】2025年F1第21戦サンパウロGP リアム・ローソンの7位とアイザック・ハジャーの8位を祝うレーシングブルズ

 その証拠に、ルーキーのなかで、サンパウロGPでQ3に進出できなかったのはガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)だけだった。ブラジル・サンパウロ出身のボルトレートにとって、インテルラゴスは地元だ。

 しかし、スプリントでクラッシュしたボルトレートはマシンの修復が間に合わなかったため、予選に出走することができず、日曜日のレースは最後尾からのスタートとなった。それでも多くの地元のファンの前で、F1ドライバーとして初めての母国レースをスタートしたボルトレートだったが、1周目のターン10でランス・ストロール(アストンマーティン)と接触し、ウォールにクラッシュして、リタイアとなった。

「初めてのホームレースだったので、家族やファンの前でいいレースをしたかったから、本当に残念。少なくとも堅実なレースはしたかったから、まさか1周目にクラッシュするなんて……」

ガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)
2025年F1第21戦サンパウロGPスプリント クラッシュを喫したガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)

 ボルトレートのスプリントでのクラッシュは単独で起きたものあり、レースでのストロールとの接触もやや楽観的すぎたように見える。ウォルフが言うように、地元ではドライバーたちがいつも以上にプレッシャーがかかっているのかもしれない。

 初の母国グランプリを終えたボルトレート。そのボルトレートを含めたルーキー勢が残り3戦でどんな走りを披露するのか。チャンピオンシップ争い同様、こちらも注目したい。

ガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)
2025年F1第21戦サンパウロGP ドライバーズパレードでブラジルの国旗を掲げたガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)


(Text : Masahiro Owari)

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